寺島拓篤

寺島拓篤

【寺島拓篤 インタビュー】
すごくいい曲だし、
エンディングらしい
エンディングになった

11枚目となるシングルの表題曲「Reincarnate」はTVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』エンディング主題歌第二弾で、カップリング曲も同アニメのアプリ主題歌という『転スラ』尽くしの一枚に。また、9月22日には昨年開催したオンラインライヴの映像作品もリリース。オンラインだからこその良さとライヴ感が詰まった同作についても語ってもらった。

『転スラ』的には
ど真ん中すぎるタイトル

「Reincarnate」は仲間を守るために自分が魔王となって戦うことを決めた、主人公のリムルの決意と覚悟が感じられる楽曲だと思いました。

まさしくそれはアニメ制作側から意識してほしいと提示されたテーマのひとつで、“覚悟と罪を背負っていくリムルの強さ”というオーダーがあったので、作詞をする上では一番大きなテーマでした。

ちなみに、寺島さんが第1期で手がけた「Nameless Story」(2018年10月発表のシングル)と「メグルモノ」(2019年2月発表のシングル)の時は、どういうテーマで作詞をされていたのですか?

「Nameless Story」は『転スラ』の序盤の面白さのひとつとして、リムルが魔物に名前をつけるとその魔物が進化して強くなるというのがあったので、そこにスポットを当てました。「メグルモノ」はリムルたちが持つスキルのネーミングが“捕食者(クラウモノ)”とか“心無者(ムジヒナルモノ)”と“モノ”とついているのが面白いと思って、作中で使われていない“○○○モノ”を探して、転生とかリムルを取り巻く環境とかいろいろなことともかけて“メグルモノ”とつけたんです。

そして、今回は第2期の肝である、リムルが魔王になるにあたっての決意と覚悟をテーマにしたと。

そうなんですけど、ちょっと勘違いをしていて…

と言いますと?

第2期第1部のファルムス王国と戦って仲間を一度失う…というところをイメージして書いていたんですけど、僕の担当する第2期第2部はそのあとの話だったんです(笑)。途中で気づいて“あっ!”と思ったのですが、どう考えたって楽曲のテンションがそこにぴったりで。それで、ファルムス王国とのうんぬんの話を受けて、最終的に希望へとつながる曲にしようと。

そういう勘違いもあって、こういう極上のミディアムバラードになった?

そうなんです。でも、すごくいい曲だし、エンディングらしいエンディングになったと思いました。今まで『転スラ』のエンディング主題歌は明るくてさわやかな曲ばかりだったんですけど、この曲は入り方からして今までと違っていて。その部分では、スイッチを切り替えて書かなきゃいけないと思いましたね。今までの『転スラ』では見せていなかった部分というか、まさに第2期第1部の後半で、今まであんなに元気いっぱいに楽しくやっていた仲間たちを失うという非常につらい展開があって、そこから続く話のエンディングテーマなので、うまく表現できたらと。

Aメロはすごく重苦しさがあるのですがサビは抜けるような爽快さがあって、そこがとてもドラマチックですね。

はい。きれいに展開していくので、その流れをいかに歌と歌詞でも表現するかっていう。僕にとってはあまり歌ってきたことがないタイプの曲だったから、すごく考えながら作ったし、すごく考えながら歌いました。

ラスサビの歌詞は特定のキャラクターをイメージしているような雰囲気ですけど。

“風”という言葉を使っていて…つまり暴風竜ヴェルドラを表しています。最初は全体を通して、リムルの今までの活躍や生き方を見ていたヴェルドラの視点で書いていたんですけど、原作を読み直しているうちにだんだん仲間たちのほうにも意識が向いて、リムルを取り巻くみんなのことを書けないかなと思った時に、それを一番俯瞰から見ているのがリムルのユニークスキルである大賢者であることに気づいたんです。大賢者もラファエルに進化したり、とても重要な存在なので、今回は大賢者の目線で書こうと途中で切り替えて書き直しました。

確かに最初からいるのは大賢者くらいですよね。

そうなんですよ。最初からずっとリムルの側にいて、いつも助けてきたので。作中でスポットが当たることはあまりないけど、僕の中では一番の功労者だし、みんなにも大賢者を好きになってもらいたいと思って。

あと、指をパチッと鳴らすような音が入っていますが、あれはどういった意味があるんでしょうか?

第2期第1部のエンディング主題歌「STORYSEEKER」(STEREO DIVE FOUNDATIONが2021年2月発表したシングル)にも使われている音で、作曲編曲を手がけてくださったR・O・Nさんが第1部とのつながりを意識して作ってくれました。さりげないけど耳に残る音で、本当にセンスがいいなと思いましたね。

また、MVは青空をバックに歌っているシーンが印象的でした。やはり『転スラ』と言えば青空ですよね。

確かにアニメの中でも青空が印象的ですからね。って、実は気づいていなかったですけど(笑)。MVは歌詞のキーワードとして“花”もあったので、最初はロケでリアルな花を見せたいと思ったんですが、この時勢もありロケはなしになって。でも、撮影当日ゲリラ豪雨もあったから、結果的に外に出なくて正解でした(笑)。スタジオで映像を投影する手法になったんですけど、すごく精細で美しい映像だったし、これはこれで印象的なものになったなって。

“花”というキーワードもあるんですね。確かに歌詞には“花”とか“種”や“芽”が出てきますね。MVにも花びらが出てくるし。

作中で“魔王種の発芽”とか、植物をイメージさせるワードがたくさん出てきて、「メグルモノ」でもキーワードとして入れ込んでいたんです。なので、ここでひとつ花を咲かせてみようかと。作品における花は何かとなると、それはやっぱりリムルを取り巻く仲間たちのことだと思って。それは先ほど話した、大賢者が俯瞰から見たリムルと仲間たちというものにも通じるし。

ジャケット写真などビジュアルも花だし、丸くなっているのも何か意味があるんですか?

曲名の“Reincarnate”を直訳すると“転生”とか“生まれ変わる”という意味なので、デザイナーさんが円で輪廻転生を表現してくれました。

それにしても“Reincarnate”というタイトルはストレートですよね。

はい。『転スラ』的にはど真ん中のタイトルすぎて、僕としては“ここで使ってしまっていいのか?”という葛藤もありました。今後アニメが続くとしたら、主題歌を担当する人たちも困るんじゃないかと思うくらい、とても大事なワードを使ってしまったと今さらビビッています(笑)。

最後に英語の歌詞がありますが、あそこは何を歌っているのですか?

もしも自分がリムルの仲間だったとして、大事な人に対して思うことは何かと考えた時、それは“生まれ変わっても一緒にいたいよね”ということなんじゃないかと。リムルも実際に失って改めて気づいたことだし、誰にでも当てはまることだし。それを日本語で言うとメッセージが強すぎるし、照れくさいので英語にしました。
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OKMusic編集部

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