チューリップ
『TAKE OFF(離陸)』に見る
“和製The Beatles”っぷりと
日本的情緒
歌詞に描かれた細やかな機微
《君はもうみつけただろう/くちぐせだった 愛のくらし/ぽくは ずっとずっと同じ/くものようにただ浮かんでいる/しあわせは しあわせさ/ほんのささやかなものだって/汽車をまつ そんな時/ふと思い出す 君のほほえみ》(M3「そんな時」)。
《いつものように 君を駅におくる/だけど立ちされずに/僕はタバコをつけて 白いけむり/白い息がのこる/いつも いつでも 君と会える/でも別れは いつもいつもつらいものさ》《いつものように 君を駅におくる/だけど立ちされずに》(M5「サンセット通り」)。
《自分の大きな夢を追うことが/今までの僕の仕事だったけど/君を幸せにするそれこそが/これからの僕の生きるしるし》《ただ風の中に たたずんで/君はやがてみつけていった/ただ風に涙をあずけて/君は女になっていった》《君の家へ続くあの道を/今 足もとにたしかめて/今日から君は ただの女/今日から僕は ただの男》(M10「青春の影」)。
《若い日 この人生は/ぼくのものだと 信じてた/でも今 すべての人は/心をよせるべきさ/ぼくの人生は 君のものであり/君の人生は ぼくのものさ/だってほほえみは とてもみじかく咲いて/悲しみはいつもいつでも すぐにやってくるから》(M12「悲しみはいつも」)。
代表曲なだけあってM10がそれが顕著に出ていると思う。単なる男女の恋物語だけではないばかりか、そこにある機微も細やかに描いているのは、チューリップの大きな特徴と言える。この情緒を指して“日本的”と言い切ってしまうのはやや乱暴かもしれないけれど、その辺はリバプールでは生まれない、彼らの結成の地である九州・博多ならではものなのではないだろうか。
TEXT:帆苅智之