最強のメンバーが集結した
タワー・オブ・パワーの3rdアルバム
『タワー・オブ・パワー』
本作『タワー・オブ・パワー』について
サウンド面では、最も若いサックスのレニー・ピケットをメインに据えた印象的なホーンセクションはもちろん、ベースのフランシス・ロッコ・プレスティア(2020年9月29日逝去)とドラムのデビィッド・ガリバルディの卓越した技術に心を奪われた。当時、ティム・ボガート&カーマイン・アピス(ベック・ボガート&アピス)、ジェリー・ジェモット&バーナード・パーディー(キング・カーティス&キングピンズ)の2チームが最高のリズムセクションだと思っていたのだが、本作収録の「ホワット・イズ・ヒップ?」の演奏を聴いて、ロッコ・プレスティア&デビッド・ガリバルディのコンビにガツンとやられた。未だに僕は本作の彼らふたりの絡みを聴くたびにアドレナリンが出まくるが、これは彼らのファンなら誰しもが間違いなくそうだろう。
他の曲もいい曲、いい演奏が目白押しであるが、ファンクナンバーの「再起しろよ(原題:Get Yo' Feet Back on the Ground)」「ソウル・ヴァッシネイション」はよく練られたアレンジが聴きもので、メンフィスソウル風味の「ボス・ソーリー・オーバー・ナッシン」と同傾向の「つらい別れ(原題:So Very Hard to Go)」ではブルース・コンテのギターワークが光る。レニー・ウィリアムスのノリまくるボーカルは絶好調だし、ゲスト・ピアニストのジェイ・スペルのツボを押さえたプレイも素晴らしい。
本作のあとにリリースされた4thアルバム『バック・トゥ・オークランド』(’74)は録音が格段に良くなっていて、ロッコのベースとガリバルディのドラムがクリアな音で処理されているだけに、彼らの凄さがよりリアルに迫ってくる。ベースかドラムをやっていて彼らの演奏を聴いたことがないという人は、この機会にぜひ聴いてみてください。
TEXT:河崎直人