かぐや姫、その真の姿を
『かぐや姫LIVE』で確信

『かぐや姫LIVE』('74)/かぐや姫

『かぐや姫LIVE』('74)/かぐや姫

南こうせつが2年半振りのオリジナルアルバム『夜明けの風』をリリースしたということで、今週は氏のキャリアのスタート地点、かぐや姫のライヴアルバムを取り上げる。本文でも書いたが、特にこうせつ氏の柔和の印象と、巷で言われている“四畳半フォーク”的なイメージで、勝手に“ザ・フォーク”なグループだと思っていたのだが、本作を聴いて驚いた。このグループのメンタリティーはパンクに近いと思う。

シングル「神田川」が大ヒット

先週のチューリップに引き続き、自分はかぐや姫をリアルタイムで聴いていた世代ではないので、まずはグループの成り立ちを軽く調べるところから本稿作成の準備を始めてみたのだが、思いのほか、かぐや姫が硬派なグループであることを知った。これもまた先週に引き続き、生粋のファンの方々にとっては“何を今さら…”という話だろうが、その辺はご容赦いただいて、筆を進めさせてもらいたい。

“硬派”という言い方が正しいかどうか分からないし、“思いのほか”というのも主観であるから、まず、筆者のかぐや姫に対するイメージがどうであったかを軽く述べておかなければならないだろう。自分にとってかぐや姫と言うと“ザ・フォークグループ”である。メンバーは3人。南こうせつ(Vo&Gu)、伊勢正三(Vo&Gu)、山田パンダ(Vo&Ba)(調べて分かったことだが、このメンバーでのかぐや姫は第2期とのこと)。基本的なスタイルはドラムレス──つまり、ビートはなく、アコースティック楽器の伴奏で歌う。歌詞は概ね日本語で、物語性が強く、日本独特と言える情緒の成分も多い。主旋律の音符ひとつひとつに丁寧に言葉が乗っている。そんな感じだろうか。漠然とした印象をもうひとつ付け加えるなら、あらゆる方面にフレンドリーなグループというイメージもある。それは、こうせつ氏をはじめとするメンバーの柔和な表情を、今に至るどこかで見ているせいだろう。もしかすると、そんなかぐや姫に対するイメージを自分と共有してくれる人も少なくないかもしれない。

ただ、そんなイメージからすると意外に感じたのは以下の記述。少し長めだが、引用させてもらう。[シングル『神田川』(中略)は、最終的に160万枚を売り上げる自己最大のヒット曲となる。この年NHK紅白歌合戦に出場の話が来るが、歌詞に登場する「クレパス」が商標であることから、「クレヨン」への変更を要請され、出演を辞退。「神田川」は後に東宝において映画化されるが、主役のイメージが歌と大きく違いすぎたと南こうせつは話している]。さらに[その次のシングルとして南こうせつが考えていたのは「22才の別れ」か「なごり雪」であったが、すでに映画化が決まっていたためレコード会社側が一方的に決めた「赤ちょうちん」をリリース。(中略)その後も映画化の話が絡み「妹」がシングルになるなど、アーティストの意思が無視されることが続き、それが原因で解散が早まったという]とある。

紅白歌合戦出場辞退? 映画と歌とのイメージが違いすぎたという話はまだしも、アーティストの意思が無視されたことが原因で解散? 第2期かぐや姫の活動概要をまとめたものを見ただけでもその波乱万丈さを察するし、それと同時に、彼らがそこに抗っていたことがよく分かる。その姿勢はロック、あるいはパンク的と言ってもいいし、インデペンデント精神も感じられる。上記で引用した文章の引用元を遡ってみると、シングルではなく、アルバム中心のグループを目指していたこと、ライヴ指向であったことを、こうせつ氏が語っている記述も見つけた。1973年の邦楽シーンと言うと、シングルの年間売上は、1位:宮史郎とぴんからトリオ「女のみち」、2位:宮史郎とぴんからトリオ「女のねがい」と、まだまだ演歌、歌謡曲中心ではあったわけだが、そんな中、かぐや姫は当時のメインストリームとは異なる方向を見ていたグループではあったと言える。同時期のアーティスト、吉田拓郎やGARO、井上陽水らと並んで、邦楽シーンの変革者であったと言っても過言ではないかもしれない。フォークグループではあったのだろうが、凡百のそれとはまるで性根が違ったようだ([]はWikipediaからの引用)。

OKMusic編集部

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