ハンブレッダーズ、梅田サイファーと
最高を最高で超えていく一夜を創出「
これが俺らの生きがいなのかなって」

梅田Shangri-La 16th Annversary ✕ “ライブハウスで会おうぜ”ツアー vol.6 2021.8.19(THU)梅田Shangri-La
ハンブレッダーズが8月19日(木)、大阪・梅田Shangri-Laにて『梅田Shangri-La 16th Annversary ✕ “ライブハウスで会おうぜ”ツアー vol.6』を開催した。
同ツアーは、昨年4月に配信リリースされた楽曲「ライブハウスで会おうぜ」のMVに登場する関西のライブハウス10カ所を巡るというテーマで、第6回目となるこの日はハンブレッダーズに加え、ゲストアーティストに梅田サイファーが出演。昨年、FM802の『RADIO∞INFINITY』内にて「ハンブレッダーズのフレンド申請」というコーナーを担当したムツムロ アキラ(Vo.Gt)が、番組に梅田サイファーのKZを招いたことをきっかけに対バンが実現した。
梅田サイファー
開演前のバックヤードから、気合い十分の掛け声が漏れ聞こえた先攻。「『ライブハウスで会おうぜ』、ハンブレッダーズが俺に声を掛けてくれて、今日の夜が実現しました。我々、梅田の歩道橋からやってきた梅田サイファーです。こんなご時世やからできひんこともいっぱいあるけど、今日は手を上げたり、手を叩いたり、飛び跳ねたり、できることを選んで最高の夜にしませんかShangri-La!?」(KZ)、「俺たちはいつでもヤバいライブができると証明しましょう、よろしくお願いします!」(R-指定)、「手を貸してもらって良いですか!?」(KennyDoes)と、いきなりの重低音にビリビリと共振する会場。ド頭のブチ上げ「ビッグジャンボジェット」から矢継ぎ早のラップリレーで、ゲストどころか完全にワンマン状態だ。
梅田サイファー
続く「梅田ナイトフィーバー’ 19」でも一切容赦なしの総攻撃で、後に控えるハンブレッダーズに余力など残させてたまるかと言わんばかりの独壇場。会場の熱気が上がるほどにメンバーのテンションも上がる倍々ゲームで、「SPACE INVADER」では所狭しとステージを駆け巡り全員でジャンプにクラップと、彼らを対バン相手に、先に舞台に立たせたことを、心底後悔しそうな盛り上がり。
梅田サイファー
「去年の秋頃、ムツムロさんにラジオに呼んでもらって。その後、いろんな状況があったけど1年経たずに俺たちをライブに呼んでくれて……まずはハンブレッダーズが今日この場所を作ってくれたことに最大の拍手を送りましょう! ライブハウスで会おうぜと言って、やっと会えました」(KZ)
梅田サイファー
そんな感謝を述べた後は、「メンタルが10代やったらどんなことも乗り越えられるヒップホップのマッチョソング」(KZ)と再び切り出し、テークエムとR-指定のナビゲートから「無敵ライクセブンティーン」へ。目まぐるしく主役と見せ場が変わる展開で、一瞬たりとも飽きさせることなく引き込んでいく。メンバー全員の足が地に着く瞬間がないほどに飛び跳ね、「急かされるのはゴメンだぜ」でも、人数も言葉数も刺激も興奮も、全ての感情の物量作戦で根こそぎ見る者のハートを奪っていく梅田サイファー。「この空間だけは、全部忘れてマジでハイになりましょう!」(R-指定)との宣言通り、「マジでハイ」ではマジで灰になりそうなぐらいの燃え上がるハンズアップで、Shangri-Laをとことん亜熱帯化。
梅田サイファー
「これだけ人数がおったら、まとまらないことだってあるんです(笑)。そういうのも含めてお楽しみください。我ら、大人数でラップとDJと言葉と音楽だけであなたをブチ上げに来ました梅田サイファーです、改めてよろしくお願いします!」(R-指定)
「今日、初めてヒップホップやラップに触れた人、どれくらいいますか? トラウマになってないかちょっと心配なんですけど(笑)。ラッパーの歌詞はリアル過ぎてしんどいときもあったりすると思うんですけど、今日はハンブレッダーズのエモーショナルな気持ちを受け取るお客さんに、この曲を聴いてもらいたいなと思って、急きょセットリストを変えさせてもらいました」(KZ)
梅田サイファー
板の上も下も関係なく会場中の同志がその人差し指を天に捧げた「NO.1 PLAYER」では、ピュアな情熱を秘めたメロウな楽曲にひときわ胸をつかまれる。「最後は<また会いましょう>という曲です。良かったら一緒に揺れていってください」(KZ)と放った「いつかまた」でエンディング。音楽には、ヒップホップには、こんなにも力がある。その懐の深さと愛を存分に感じさせた、胸いっぱいのエンディングを迎えた梅田サイファーのライブだった。
ハンブレッダーズ
そして、大きな拍手で迎えられ登場した本日の主役が、「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました、大阪のハンブレッダーズです。マジで最高でしたね、梅田サイファーありがとう!」(ムツムロ、以下同)と一声掛け、オープニングを飾ったのは「口笛を吹くように」。とことん場を沸かせた梅田サイファーを前にしても、動じることなくどっしりとしたビートを鳴らした1曲目から、半年以上かけてじっくりとホーム(=ライブハウス)を回ってきたバンドの志が音になる。コロナ禍においてむやみにあおることは限りなく少なくなったライブシーンかもしれないが、フロアには自ずと突き上がった幾つもの拳があって、言葉を交わさずともライブというかけがえのない空間が作り出されていく。やる側も観る側も見出したであろう自分にとっての音楽の、ライブの価値を、共に作っていくような美しい光景は、「ユースレスマシン」の高揚感を彩るのにもふさわしく、「ロックンロールにはルールがないんで、好きなように、あなたのペースで楽しんでいってください」と告げた「ユアペース」では、その言葉を体現するようにでらし(Ba.Cho)のベースラインが縦横無尽に駆け巡る!
ハンブレッダーズ
「梅田サイファー、ありがとうございました! ホントただのファンなんですよ。ここ3年ぐらい日本語ラップしか聴いてないというくらい、むちゃくちゃ好きで。この後、俺たちがちゃんと良いライブをすれば今日は良い日になると思うので、今年1月に出したメジャー1stシングルを聴いてください!」
疾走感✕グッドメロディというハンブレッダーズのうまみを存分に抽出した「COLORS」、そして「見開きページ」と畳み掛けていく様子を、バーカウンターの中から手を上げ、見届ける梅田サイファーのメンバー。取ってつけたように旬のメンツが集められたイベント、ではなく、ハンブレッダーズが出会ってきた盟友を呼び寄せた一夜だからこその、このシチュエーションがたまらない。
ハンブレッダーズ
曲順を間違え演奏をストップする一幕もありつつ、仕切り直して「フェイバリットソング」を始めれば即座にグッドヴァイブに包まれる姿に、ライブハウスを主戦場にしてきたバンドの強みと頼もしさを感じながら、リハーサル中に「ハンブレッダーズ、めちゃくちゃ印踏むよね」と韻警察=梅田サイファーに指摘されたというエピソードには場内も大ウケ(笑)。それを受けて、ハンブレッダーズの楽曲群の中でもより韻を踏んでいるという楽曲「常識の範疇」を披露し、木島(Dr)を主軸としたグルーヴィーなバンドサウンドに支えられ、ムツムロが一気にまくし立てる!
ハンブレッダーズ
ここで一旦照明が落とされ、ハンブレッダーズのメロウサイドで魅せるゾーンへ。「パーカー」では、夕暮れ時を彷彿とさせるオレンジの光もろともエバーグリーンな輝きを放ち、肩を揺らしながらその世界観に浸るオーディエンス。「ファイナルボーイフレンド」でも、ロックバンドの範疇を超えた素晴らしいソングライティングに聴き惚れながら、こみ上げる感動が連れてくる鳥肌を受け入れる。
ハンブレッダーズ
「Shangri-La、16周年記念イベントとして今日は企画させてもらってます。おめでとうございます! 人生初のワンマンライブをここでやったんですよね。ホントでも……最高でしたよね、梅田サイファー。俺が今、高校生ならバンドをやってたか分からないなって思うぐらいヒップホップが好きで。くしくも俺たちが青春時代に出会ったのがロックンロールだったんで、今もそれをやっている感じです。でも、それを恥ずかしいともカッコ悪いとも思ってなくて、正直、ロックバンドが一番カッコ良いだろと思ってやってるんで。今日、梅田サイファーを見に来た人たちが、ちょっとでもロックも良いなと思ってもらえたら。これが俺らの生きがいなのかなって思います」
梅田サイファーへのリスペクトと、ロックバンドとしてのプライドと。「ワールドイズマイン」では、ハンブレッダーズがなぜ愛されるのか、なぜ生き残るのか――その全ての理由が刻まれたような最大級のエモーションを創出。「ロックンロールは全ての音楽の中で、一番弱虫のためにある音楽なんだ!」とぶちまけた「弱者の為の騒音を」では、その口上からすでに感動マシマシで、ムツムロが終始絶賛し続けた梅田サイファーのライブが生み出した巨大な熱量を、さらに拡大させるような怒濤のパフォーマンス。そして、「KZさんが良いねと言ってくれた曲を」と最後に捧げたのは「銀河高速」。ロックバンドの無敵感をたたえたこの曲を聴いていると、ハンブレッダーズとまだまだどこまでも行ける気がしてくる、最高の景色をもっともっと見られる予感がする。
ハンブレッダーズ
「楽しかったー! また(梅田サイファーと)一緒にやれたらいいですね。俺たちはずっとライブハウスで遊んできたし、大事なものをもらってきたんで、最後にライブハウスへのラブソングやって帰ります。またライブハウスで会いましょう!」
アンコールはこの曲しかないでしょうという「ライブハウスで会おうぜ」! 心のシンガロングが聴こえてくるような一曲で、やっぱり音楽は不要不急じゃない、これがあるのとないとじゃ人生大違いと再確認するような、最高を最高で超えていく一夜が幕を閉じた。
『梅田Shangri-La 16th Annversary × “ライブハウスで会おうぜ”ツアー vol.6』
なお、今後のハンブレッダーズは、9月21日(火)東京・Zepp Tokyoにて『ワンマンライブ “トーキョーイズマイン”』を開催。10日13日(水)京都・KYOTO MUSEより対バンツアー『ハンブレッダーズ 秋のグーパンまつり2021』をスタートさせる。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=ハヤシマコ

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