堀江由衣

堀江由衣

【堀江由衣 インタビュー】
うざいと言えるのは、
それはそれで
気の置けない人ということ

それぞれの経験を思い出しながら
聴いてもらってもいいと思う

すごく透明感のある歌声が印象的だったのですが、そこも意識されたのでしょうか?

特に意識しなかったのですが、歌としては技術的に難しいところがいろいろありまして。それに冒頭の《ねぇ、気付いて大事な人は誰》はどんなテンションで歌うのか、これは自問自答しているのか、いろいろな考え方があるので、試行錯誤しながらレコーディングしました。でも、オケの感じやミックス作業を経て、よりさわやかにキラキラした曲になった印象があります。

作曲編曲の中野領太さんは以前にも「光の海へ」(2019年7月発表のアルバム『『文学少女の歌集』』収録曲)を担当されていますね。

曲を選ばせていただく時は、こちらから指名させていただく時以外、作曲家さんや作詞家さんが誰なのかはあえて知らないままのことが多いんです。先入観がないほうがいいので。だから、レコーディング現場に行って、そこで初めて作曲家さんがどなたか知ることが多いんです。ただタイトルは、私がしっくりくるまで何度も考えてもらったので、作詞の金丸さんにはすごく頑張っていただきました。

“〜の話”というところは、アニメ作品のタイトルとかかっていて。

そこは私からの提案でした。それに『先輩がうざい後輩の話』はどこか素朴な感じがあって、面白おかしいストーリーの中で心の機微を丁寧かつ素敵に描いていると思ったので、曲名にもそうした素朴さやストーリーを感じさせるものがいいなと。

アニメとすごくリンクしていて、この楽曲がアニメの一部になっていると思いました。

そうなればいいなと思って作らせていただきました。

あと、Dメロで《当たり前の帰り道、当たり前の連絡も突然なくなるかもしれない》と出てくるところは、今っぽいなと思いました。

そうですね。急にハッとさせられる部分だと思います。スマホでのやりとりが多く、それだけに関係が途切れるのも簡単な世の中で、そこでもう一歩踏み出していれば…みたいな意味もあるのかなと思います。

Dメロなのでアニメのエンディングでは流れないから、ぜひフルサイズで聴いてほしい部分ですね。

はい。ここでハッとさせられるからこそ、冒頭の《ねぇ、気付いて大事な人は誰》が引き立ってくるんだと思います。この作品自体、微妙な距離感で揺れ動く人間関係が描かれているので、この曲の歌詞でも“好き”とか直接的な言葉は使われていないんです。好きとか嫌いとか以前の段階というか。聴く方それぞれの経験を思い出しながら聴いていただいてもいいと思います。

ビジュアルは田舎の冬の通学路みたいなイメージで、きっと誰もが“実家の近く”と思うんじゃないかと思います。

まさにそんな感じです。私は東京出身ですけど、“実家の近く”と言われたらそうかもと思ってしまうような懐かしさのある景色です。

何気ない風景だけど、それが先ほどおっしゃっていた素朴さとも通じますね。

そうですね。デザイナーさんとスタッフさんがロケハンしに行ってくださって、その日はすごく天気が悪かったようで、“寒いからニットとマフラーの衣装がちょうどいいと思います”と言われたんですけど、撮影当日はすごくお天気が良く、暑くて大変でした(笑)。

では、最後に『先輩がうざい後輩の話』のエンディングテーマということで、堀江さんが思う“うざい人”の経験を教えてください。

先輩と後輩の話で言うと、自分が新人だった頃は先輩の役者さんはすごい方ばかりで、絶対に失礼があっちゃいけないと思って緊張感を持って接していました。もちろん先輩方に対しては今もそうなのですが、いざ自分が後輩たちに接する時は、自分自身あまり先輩という感覚がなくて…。普通に同業者のお友達くらいの感覚で、ついつい話しかけちゃうんですよね。だから、何人かからは“うざい人”と思われていたりしないだろうかと不安です(笑)。でも、逆に“うざいです”と言える人は、それをユーモアにできる感性がある人だし、それだけの関係性ができているということだから、それはそれで気の置けない人なのかなと思います。それは『先輩がうざい後輩の話』と通じるところがあるかもしれません(笑)。

取材:榑林史章

配信シングル「虹が架かるまでの話」2021年10月16日配信開始 KING RECORDS
    • ※配信先の詳細は、オフィシャルHPをチェック
堀江由衣 プロフィール

ホリエユイ:“ほっちゃん”という愛称で親しまれ、キュートなルックスに加え、その透明感のある声が魅力的な超人気声優のひとり。代表作に『ラブひな』の成瀬川なる役や『とらドラ!』櫛枝実乃梨役、『化物語』羽川翼役など。ソロアーティストとして多数の作品をリリースしており、2012年9⽉に発売したアルバム『BEST ALBUM』はオリコンデイリーチャートで最⾼3位を獲得。また、ライヴは⽇本武道館、幕張メッセ、国⽴代々⽊競技場第⼀体育館などをはじめ、2018年には『KING SUPER LIVE 2018』で東京ドーム公演や上海公演に出演。堀江由衣 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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