【ALI PROJECT インタビュー】
今回はいろいろな要素が
入っているので聴き応えがあると思う
もう人間でいることが嫌になった!
私、妖怪になりたい!
カップリングの「ノスフェラトゥ」は民族音楽のような雰囲気が印象的でした。
本当にそうですね。アリプロはたまにこういったエスニック系のサウンドをやっていますけど…片倉三起也さん、最初はイリナのバラードを作ろうという気持ちだったそうです。いわゆるきれいなバラードにしたいと。でも、私が“ノスフェラトゥ”というタイトルをつけたいと言ったものだから、吸血鬼のルーツであるルーマニアが頭に過ったのか、こういったエスニックな感じになりましたね。
タイトルから提案されることはよくあるのですか?
たまにあります。例えば“毒味役”というタイトルで作ってほしいとか(2020年7月発表のアルバム『人生美味礼讃』収録曲)。こういう時はまだタイトルしか頭にないから、いざ曲ができてから“うわ〜、どうやって歌詞を書こう?”と頭を悩ませることになるわけです(笑)。今回の「ノスフェラトゥ」はなんとなくイメージがありましたけど。
吸血鬼を意味する“ノスフェラトゥ”というタイトルをつけたのは、『月とライカと吸血姫』のタイアップ曲ではないけど、どこか意識された部分があるのでしょうね。
実は曲名に“ノスフェラトゥ”とつけるアイディアは20年前からあったような気がする。吸血鬼をテーマにした歌はこれまでに一曲だけ「血の断章」(2008年8月発表のアルバム『禁書』収録曲)という曲があるのですが、今回は表題曲がこういうタイアップだし、儚げな世界観なら“ノスフェラトゥ”とも合うと思って。
昔、『吸血鬼ノスフェラトゥ』というドイツ映画を観たことを思い出しました。
ありましたね。たぶん、当時そういったところからインスパイアされて、“ノスフェラトゥ”をタイトルに使いたいと思ったんだと思います。あと、“ノスフェラトゥ”という言葉がきれいだと思ったのもありますね。
歌詞としてはどういったことを歌っているのですか?
人間は出会ったり別れたりを繰り返して運命の人を探すけど、吸血鬼同士はそんなことをせずとも出会えそうな気がするんです。儚くも永遠みたいな感じで。
歌詞に出てくる“エフェメラル”が“短命”とか“儚さ”を意味しているんですね。
そうです。その対比として“永遠”を意味する“エターナル”が出てきます。“エフェメラル”が“ノスフェラトゥ”の語感と似ていると思ったのもあります。実は“エフェメラル”という言葉もずっと前から使いたいと思っていて、実際に使ったのは今回が初めてだと思います。
ただ、曲を聴くと人間は限りある命で吸血鬼は不老不死で、どちらも非常に切ない感じがします。
でも、私は吸血鬼のような不老不死になりたーい。だって、もう人間でいることが嫌になってしまって(笑)。私、妖怪になりたいです!
妖怪にせよ、吸血鬼にせよ、不老不死になったら孤独をずっと抱えていかないといけないので、それはすごくつらい気がしますけど。
その悲しみを味わってみたいじゃないですか。それって実際にそうなってみないと、想像だけじゃ分からない感情だから。何百年も生きていると退屈かもしれないけれど、いろんな時代を生きていけるのは楽しそうだし、時間があるからフランス語もドイツ語も覚えるだろうし(笑)。
なるほど。何百年ではありませんが、アリプロも来年はメジャーデビュー30周年イヤーとのことで。どんな30年でしたか?
光陰矢の如しでした。何ひとつ変わっていないと思います。来年はコンサートができたらいいなと思っていて、今回の曲もその時にぜひ披露したいので、その時はぜひ遊びにいらしてください。
取材:榑林史章
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シングル「緋ノ月」2021年10月20日発売
Lantis
- 【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
- LACM-34176
- ¥2,420(税込)
- 【通常盤】(CD)
- LACM-24176
- ¥1,320(税込)
アリプロジェクト:作詞&ヴォーカル・宝野アリカと、作曲編曲・片倉三起也によるユニット。 独創的なメロディーとアレンジ、文学的な歌詞、先鋭的なビジュアルで、幅広いファン層を魅了する。多数のアニメ主題歌を手掛け、毎年オリジナルアルバムをリリースし、全国ツアーを行なっている。2017年には活動25周年を迎え25周年記念シングル「卑弥呼外伝」、25周年記念ベストアルバム『血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror』をリリース。次なる展開に向けて常に飛躍する、飽くことなき探究心を携えたアーティストユニットである。ALI PROJECT オフィシャルHP
「緋ノ月」 Music Clip Short Ver.