初代タイガーマスク 佐山サトルと長
与千種の遺伝子が一騎打ち! スーパ
ー・タイガーと間下隼人の兄弟弟子対
決に決着はつくか? 【10.21ストロン
グスタイルプロレス後楽園大会見どこ
ろ!】

1981年4月23日、東京・蔵前国技館での衝撃のデビューから40年。節目となる今年、初代タイガーマスクこと佐山サトル総監率いるストロングスタイルプロレスでは「初代タイガーマスク40周年記念」を開催しており、10月21日(木)の後楽園ホール大会で第3弾を迎える。
今大会では団体史上初めて女子の試合が3試合組まれ、しかも全試合の半分を占めることとなった。メインイベントは「ダブルメインイベント」と銘打たれており、男女1試合ずつがマッチメークされている。男子のストロングスタイルと女子のストロングスタイル。ファンの関心をより集め、より評価されるのはどちらか。本欄では、今大会の見どころを探ってみる。
▼第1試合<シングルマッチ 20分1本勝負>
梅咲 遥(ワールド女子プロレス ディアナ)vs松井珠紗(アクトレスガールズ)
今大会のオープニングを飾るのは、女子プロレスのシングルマッチだ。梅咲遥はストロングスタイルプロレスとの協力体制が発表されたディアナの若手ナンバーワン。将来のスター候補と言っていい逸材だ。
梅咲は初代タイガーマスク佐山サトルのチャリティー精神を継承、協力体制を結んだSareee(現サレイ=WWE)の誘いからディアナ入り。アイドルとプロレスラーにあこがれ、先に地元のアイドルグループでデビューし、プロレスラーに転向した。Sareeeからはフィジカル、メンタルの両面から指導を受けているだけに、今後の活躍が大いに期待されるレスラーなのである。
ストロングスタイルプロレスには、タイガー・クイーン衝撃のデビューから急きょ組み込まれた9・5新木場大会以来2度目の参戦。新木場では大御所ジャガー横田、大型の優宇に囲まれた3WAYマッチで小柄な体格をものともせず奮闘、これがジャガーに認められ、今大会の第1試合を任せられることになったのである。
対する松井珠紗は、アクトレスガールズ所属。女優との兼業レスラーだが、昨年、ジャガーも出演した舞台「リング・リング・リング」で主演を務めた。これは、かつて長与千種が演じた舞台の令和版リメイクで、松井は長与が演じた“長与千種”に扮したのだ。膨大なセリフを完璧にこなした姿は感動もの。ジャガーも彼女の努力家ぶりを認めており、プロレスにおいての可能性も見出したという。
梅咲と松井、ポテンシャルの高い2人による闘いが、ストロングスタイルプロレス10・21後楽園の口火を切る!
▼第2試合<タッグマッチ 30分1本勝負>
宮本裕向(666)&ロッキー川村2(パンクラスイズム横浜)vs佐野 直(フリー)&阿部史典(プロレスリングBASARA)
第2試合は男子タッグマッチ、宮本裕向&ロッキー川村2組vs佐野直&阿部史典組だ。
大日本10・18後楽園でBJW認定デスマッチヘビー級王座を防衛し、デスマッチファイターとして名高い宮本だが、実はストロングスタイルプロレスとも接点があった。06年、旗揚げ2年目に開催された「掣圏真陰流トーナメント」において、総合経験のないプロレスラーが優勝。突貫ファイトで頂点に上り詰めたのが宮本だったのだ。以来、参戦機会こそなかったものの、15年の時を経た今年、7・29後楽園にプロレスラーとして初登場。第1試合でタッグマッチながらもパンクラスismの伊藤崇文を破り、今回が2大会連続の参戦となる。
宮本と組むのは、ロッキー川村2。川村は昨年6月の無観客試合以来の参戦で、待望のストロングスタイルプロレス復活となる。9・20ディアナ横浜でのストロングスタイルプロレス提供試合では間下隼人がスーパー・タイガーと兄弟弟子対決をおこなっており、この試合で間下に敗れたのが川村だった。よって、リベンジのチャンスを狙っての再登場と言ってもいいのだろう。以前は間下に圧勝してきた川村だけに、負けたまま引き下がるわけにはいかない。今大会では因縁の間下がメインで闘うとあって、川村もインパクトを残しておきたいところである。
宮本&川村組と対するは、佐野直&阿部史典組だ。佐野はストロングスタイルプロレス初参戦。すでに20年以上のキャリアの持ち主で、インディー畑を渡り歩きながらもプロレス界に生き残った。新人時代にはスーパー・ライダーのコーチを受けており、今回まさかのストロングスタイルプロレス初参戦となる。キャリアの中ではキック、格闘技選手との対戦経験もあるだけに、このリングでどんな試合を見せるのか、観客からの反応も含め興味深い。
佐野と組むのはストロングスタイルプロレスのレギュラーとして完全に定着した阿部だ。僧侶レスラーとして異色の経歴を持つ阿部だが、小気味いいファイトでファンの信頼を獲得している。佐野とのタッグで生まれる化学反応も、大きな見どころとなるだろう。
▼第3試合<タッグマッチ30分1本勝負>
ジャガー横田(ワールド女子プロレスディアナ)&井上京子(ワールド女子プロレス ディアナ)vs倉垣 翼(フリー)&網倉理奈(アクトレスガールズ)
ストロングスタイルプロレスのアドバイザーでタイガー・クイーンのコーチでもあるジャガー横田が、ディアナ総帥の井上京子と最強タッグを結成する。ほかのリングで組まれればメインイベントという豪華チームと対するのは、倉垣翼&網倉理奈組。こちらもジャガーによるマッチメークだ。
ジャガーにパートナーとして指名された京子はストロングスタイル2度目の参戦。前回は7・29後楽園で、欠場者が出たため急きょ、ジャガーvs京子vsデボラKの3WAYマッチがおこなわれた。突発的な出場ながらも女子プロ黄金時代の主役でもあった京子の醸し出す迫力は健在だった。よって、今回も説得力十分のファイトが期待できそうだ。
そんなジャガー&京子組に真っ向勝負を臨むのが、倉垣である。倉垣は女子レスラーの中でも1、2を争うパワーファイターと言っていい。2人まとめて担ぎ上げるアルゼンチンバックブリーカーは圧巻だ。
ジャガーが倉垣のパートナーに選んだのは、意外にもアクトレスガールズの網倉理奈。プロレスと芸能の二刀流が基本線のアクトレスガールズはディアナのリングにも選手を参戦させており、そこでジャガーの目に留まったのが網倉だった。もともとは「アクトレスガールズをバカにしていた」というジャガーだが、試合を見るたびに評価に変化が生じていったという。それが第1試合出場の松井珠紗であり、ジャガー自身と対戦する網倉だ。まだまだキャリア不足の感は否めないものの、アクトレスガールズの中では比較的大柄で、なんといっても元気の良さが彼女のセールスポイント。ジャガーが抜擢した要因もそこにある。選ばれた網倉には男子の試合に挟まれた環境でいかに自分らしさを表現できるか。ある意味、この試合の主役にもなりえる存在だ。
▼第4試合<UWAアジアパシフィックヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]将軍岡本(第5代UWAアジアパシフィックヘビー級王者/VOODOO-MURDERS)vs[挑戦者]河野真幸(VAMOSTAR)
第4試合はUWAアジアパシフィックヘビー級選手権試合。第5代王者・将軍岡本が河野真幸を挑戦者に迎える2度目の防衛戦だ。
岡本は9・5新木場で高岩竜一を破り初防衛に成功、7・29後楽園で敗れた借りを返してみせた。また、それ以上に90年代の新日本ジュニアを飾ったジュニアヘビー級の主役から得た勝利は大きく、関係者からも大きな評価を勝ち取った。そこで迎えるのが岡本よりも体格でまさるスーパーヘビー級の河野である。
河野は4・22後楽園でスーパー・タイガーの保持するレジェンド王座に挑戦。惜しくもベルトには届かなかったが、団体の頂点を争うにふさわしい闘いを見せつけた。その河野が今回はUWAアジア王座に照準を絞ってくる。岡本にとって難敵であることに間違いはないだろう。
が、岡本は河野以上にケンドー・カシンに目が向いている。7・29後楽園でタッグを組むもチームワークの成立しなかったカシンとの対戦を熱望しており、カード発表の会見でも、このマッチメークに激怒したのだ。平井丈雅代表は新間寿会長の「呼んでやれよ」との発言からも「考える」としているが、困惑の表情を隠せない。それだけに、岡本は河野からの完全防衛で納得させるしかないだろう。試合後の動向も注目されるタイトルマッチだ。
▼ダブルメインイベント1<スペシャルシングルマッチ 60分1本勝負>
タイガー・クイーン(一般社団法人 初代タイガーマスク後援会)vs彩羽匠(Marvelous)
初代タイガーマスク佐山サトルが生み出した女性版タイガーマスクのタイガー・クイーン。7・29後楽園でいきなりメインに抜擢され、山下りなに劇的勝利。クイーンの評判から急きょ開催された9・5新木場では、こちらもメインでディアナの佐藤綾子を破り、ここでもポテンシャルの高さを見せつけた。初代タイガーの空中殺法を全面的に再現させたデビュー戦と、場外へのムーンサルトアタックで初代もやらなかった大技を繰り出しオリジナルへの道も歩み始めたのである。
さらに、協力関係のある10・10ディアナ後楽園では、大ベテランに囲まれ初めてのタッグマッチ、しかも男女混合マッチ(ジャガー横田&越中詩郎組vsタイガー・クイーン&西村修組)を経験した。そして迎える第4戦は、ダブルメインイベントとして早くも超ド級の豪華カードが実現することとなった。佐山&ジャガーの遺伝子と長与千種の遺伝子が一騎打ちで激突するのである。そのカードとは…“タイガー・クイーンvs彩羽匠”。
彩羽はリアルタイムではないものの、クラッシュ・ギャルズの映像を見て長与にあこがれ、長与の起こした新団体Marvelousに戦場を求めた。現在は女子プロ界のトップともいえる存在で、スターダム10・9大阪城ホール大会では、同所でおこなわれる26年ぶりの女子プロでメインを務めた。
しかも彩羽は、ストロングスタイルプロレスの女子部門を継続させた立役者とも言っていい。20年3・19後楽園でおこなわれた朱里&安納サオリ組vs松本都&彩羽匠組。この試合の成功がなければ、現在の女子路線は継続しておらず、クイーンの誕生もなかったはずだ。それだけに、佐山と長与の遺伝子を継ぐ両者の対戦は刺激的かつ、時代の流れを考えれば運命的でもある。
佐山、長与とも男女の差こそあれ、80年代の国民的スーパースターで、タイガー・ブームの頃、ジャガーはすでに全日本女子プロレスのトップに君臨していた。そして、初代タイガーデビューから40年、クラッシュブームから38年。両者の動きや技を直伝された2人が男女の垣根と時空を超えて激突する。こんなに夢のあるマッチメークもないだろう。と同時に、これはクイーンにとってデビュー以来最大のピンチ到来でもある。4戦目にして初めてピンフォールを奪われるのか? 初代タイガーのシングルでの敗戦は、ダイナマイト・キッドからの反則(フェンスアウト)負けただ一つだったが…。クイーンvs彩羽は、“タイガー・クイーン元年”、最大の注目カードだ!
▼ダブルメインイベント2〈スペシャルタッグマッチ 60分1本勝負〉
スーパー・タイガー(ストロングスタイルプロレス)&関本大介(大日本プロレス)vs船木誠勝(フリー)&間下隼人(ストロングスタイルプロレス)
「ダブルメインイベント2」と銘打たれた10・21後楽園のファイナルは、スーパー・タイガー&関本大介組vs船木誠勝&間下隼人組である。藤田和之との一連の闘いに一応の決着をつけ、レジェンド王座を団体に奪還したスーパーだが、こんどは身内からの反逆が待っていた。弟弟子の間下が打倒スーパーに名乗りを上げたのである。
スーパーと間下は7・29後楽園、9・5新木場でタッグ対戦。両試合ともスーパーが間下を直接返り討ちにしてみせたが、ディアナ9・20横浜でのストロングスタイルプロレス提供試合においてもタッグで対戦。このときは間下が変型フィッシャーマンズスープレックスホールドでロッキー川村2をフォールし一矢報いた。となれば、次はスーパーからの直接勝利一本にターゲットを絞らなければならない。間下自身の調子も上向きだ。
とはいえ、試合はタッグマッチ。パートナーが新間寿会長も推薦する関本大介、間下と組むのは「佐山さんのいないリングは俺が守る」と宣言、実行してきた船木である。両者とも、初代タイガー欠場で混迷したリングでレジェンド王座の価値を上げてきた立役者だ。
以前は大会の中盤で組まれることの多かったタイトル戦をメインに定着させ、団体の看板王座にしたのが、この2人(船木&関本)と言っても過言ではないだろう。それだけに、間下にとっては、またスーパーにとっても試練の一番と言えるのだ。タイガー・クイーンvs彩羽匠の大一番と比較されることも必至。女子の試合が大会の半分を占める状況で、生え抜きのスーパーと間下にかかる責任と期待は大きい。決着はつくのか、それとも…。
このように、注目ポイント目白押しの10・21後楽園。“初代タイガーマスク40周年イヤー”のクライマックスになりそうだ!
著者:新井宏

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