重厚な
アフリカンジャズロックを聴かせる
ジンジャー・ベイカーズ・
エアフォースのデビューライヴ盤
『ジンジャー・ベイカーズ・
エアフォース』

ジンジャー・ベイカーのスタイル

クリームのメンバーの中で最年長のジンジャー・ベイカーは、結成時からジャズのテクニックとアフリカのリズムを混ぜ合わせた独自のスタイルを形成しており、ロックにおけるドラミングの基礎を築いた名プレーヤーである。

66年末にリリースされたクリームのデビューアルバム『フレッシュ・クリーム』所収の「トード」は、前後に短いテーマがあるだけで、それ以外はドラムソロという構成になっており、ロック作品でドラムソロが登場した最初期の例となった。この時、ベイカーの手数の多いスタイルはすでに確立されているのだから、まさにロックドラムの先駆と言えるだろう。また、この曲はライヴテイク(68年にリリースされた『クリームの素晴らしき世界(原題:Wheels Of Fire)』所収)はスタジオ盤と比べ3倍以上の長さになっている。ベイカーはダブルバスドラムを駆使して、ジャズ的なフレーズというよりはアフリカのリズムに影響されたポリリズム的なリズムを叩き出しており、この頃すでに後のGBAの構想を練っていたのかもしれない。

クリーム解散後

クリームの分裂後、ジンジャー・ベイカーはクラプトン、トラフィックのスティーブ・ウィンウッド、ファミリーにいたリック・グレッチという4人のメンバーでブラインド・フェイスを結成するものの、アルバム1枚をリリースするだけで解散する。その理由はクラプトンがアメリカ志向の音楽を極めたいと考えていたからである。彼は緊迫したライヴの即興演奏より、歌を中心にしたレイドバックサウンドをやりたかったのだ。

クラプトンとは逆に、ベイカーとウィンウッドはブラインド・フェイスの音楽に可能性を感じており、特にアルバム『ブラインド・フェイス』の最後を飾る15分にも及ぶベイカー作「ドゥ・ホワッツ・ユー・ライク」は、メンバー全員にソロがまわるなど、ベイカー、ウィンウッド、グレッチの3人はこの曲に見られるジャズロック的なスタイルを推し進めたいと考えていたのである。そういう意味では「ドゥ・ホワッツ・ユー・ライク」のサウンドこそが、まさにGBAの基礎となっている。

GBAの結成

ベイカーはグループをギター中心にはせず、ホーンセクションとパーカッションを複数使いたかったので、ウィンウッドの人脈からテナーサックスとフルートのできるクリス・ウッドを呼び、オルガン&アルトサックスのグレアム・ボンドとドラム&パーカッションにはフィル・シーメンとレミ・カバカに加入を呼びかけた。ギタリストはデニー・レインに決まり、シーメンとレコーディング経験のある管楽器奏者のハロルド・マクネアーの加入も決定、当時クリス・ウッドが交際していたジャネット・ジェイコブス(のちに結婚する)を女性ヴォーカルに据えてGBAは結成された。

OKMusic編集部

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