【ChouCho インタビュー】
“こんなにいろんな曲を
歌ってきたんだ!?”と実感した
タイアップ曲だと作品の持つパワーに
引き出してもらうことができる
サビの抜け感とか、確かにとても気持ち良かったです。そんな最新曲からデビュー曲の「カワルミライ」まで10年の歌声が堪能できるアルバムですが、ご自分で聴いても変化って感じます?
感じますね。「カワルミライ」とか結構キーが高いんですよ。でも、だんだん低音が増えている気がするので、声は太くなったんじゃないかな? 特に自分で作った曲の場合、裏声のパートは高くても地声の部分はそんなに高くしていないんですね。やっぱり自分の歌いやすい音域で作っているので、メロディーが難解でも音域自体は歌いやすい。逆に「DreamRiser」とかは自分の音域より少し高めなんです。
ちなみに、今回のアルバムの中で最初にご自分で作曲したのは?
Disc2の1曲目の「kaleidoscope」(2017年8月発表のシングル)ですね。それまで作詞だけだったり、作曲してもカップリング曲だったから、作品にしっかり寄り添って作れたことで、すごく達成感を感じました。しかも、タイアップ曲で作詞作曲するのは初めてだったのに、すごく評価が高かったんです。主題歌になっていた『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』のファンの方からも温かい感想がいただけて、この曲をきっかけにその後もたくさん作詞作曲できるようになったので、ここで自分の中の何かが弾けた感じがします。それで1曲目に置いたところはありますね。
なかなかアッパーでパワーのある曲ですが、2曲目の「BLESS YoUr NAME」(2015年4月発表のシングル)はさらにアツくて、ChouCho史上最もロックな曲ですよね。
そうですね。それまでに歌っていた曲と全然違うハードなロックナンバーだったので歌うのが難しくて、めちゃくちゃ練習した記憶があります。パワーのいる曲は本当に激しい!
そこからミステリアスな「灰色のサーガ」に続き、バラードの「オレンジ色」に至る展開からして、もう振り幅が広すぎです。
それは自分でも改めて感じましたね。「灰色のサーガ」なんて変拍子がふんだんに入っていますし、ミステリアスな感じなのにサビは結構前向きで。「オレンジ色」はアコースティックに近かったりするから、“こんなにいろんな曲を歌ってきたんだ!?”と実感しました。
さらに「フロンティア」みたいなデジタリックなビートの曲もあったり、民族調の「ハルモニア」、ダンサブルな「Asterism」などもあって本当に多種多彩ですが、ChouChoさんご自身が好きな曲調ってどのあたりなんでしょう?
それが“いろんな曲を歌いたい”っていう気持ちが強いんです。正直言って“これをやりたい!”というのは特になくて、曲を作る時も常に新しいところを探してますね。やったことがないものを見せたいから、そういう意味では「灰色のサーガ」はすごく手応えを感じられたんです。異色な曲調だけれど自分らしさもちゃんとありつつ、しっかり作品にも寄り添えたので。
では、タイアップ曲の場合でも作品の世界観と、自分の作りたいものやこだわりとの擦り合わせに悩むことはない?
ないですね。むしろ、タイアップがあるほうがイメージも湧きやすいし、その期待に応えたいっていうパワーが湧くんです。燃えるというか(笑)。逆に何もないほうが、今回の「Aurorise」みたいに悩んでしまう。あと、作品の持っているパワーに引き出してもらえることも多いので、タイアップ曲を作るのはすごく好きですね。
ベースになる作品があることで、自分の力だけでは開けられない引き出しを開けてもらえる感覚があるのかもしれないですね。
本当にそうですね。それは「kaleidoscope」の時から感じていて、やっぱりストーリーとかキャラクターの想いに助けてもらえる部分は大きいんです。作品に込められたメッセージを楽曲に落とし込むのも好きだし、それを聴いてくれた人が“このキャラクターの想いってこうだよね”って共感してくれると、すごく達成感を感じるんです。
では、この中でご自分がリスナーとして惹かれる曲を、あえて挙げるとすると?
…難しい! でも、自分が聴いていてすごくホッとするのは「風のソルフェ」ですね。コロナ禍で運動不足になっちゃうからお散歩をよくしていたんですけど、歩きながら聴いてみたら、散歩にすごく合うんですよ! 落ち着くというか…とても癒される曲だなぁって思います。
その“癒し感”が、やっぱりChouChoさんの個性になっている気がするんですよね。なんとなくスローな曲が多いイメージを持っていたんですが、初期とかは結構アッパーな曲も多いじゃないですか。
そうなんですよね。シングルってアップテンポが多くて。
それってどんな曲調でもどこかで癒しを感じてしまうから、イメージが勝手に脳内変換されていただけなんだなと、今回のベストアルバムを聴いて確信できました。この10年、本当は多彩な楽曲を歌ってこられたんだなと。
そう言っていただけて嬉しいです。自分で聴いても“いろんな曲をやってきたなぁ”って思います。難しい曲も多いんですけど、全部いい曲だし。いい曲とたくさん出会ってきたからこそ、自分もいろんな曲が書けているのかなって。
しかも、どれも最後は前向きなんですよね。そして、初回限定盤のBlu-rayには7月にオンラインで行なわれた10周年ライヴの映像も6曲収録されていて、こちらでも柔らかな表情が印象的でした。
バンドメンバーと円形になって、お互いを見ながら歌っているんですよね。カメラワークも凝っていて、歌っている顔や演奏してる手元とかも結構映っているんです。そういう意味では目で観て楽しめるライヴになっているし、選曲も代表曲と最近の自作曲を盛り込んだ、それこそ10年のダイジェストのようなものになってます。ようやくアコースティックライヴは再開できたんですけど、バンドでの有観客ライヴはまだずっとできていないので、来年はこのアルバムを引っ提げて、しっかりバンドライヴをしたいですね。ただ、体力がないと歌えない曲も多いので、それまでに運動して体力をつけておかないと(笑)。「明日の君さえいればいい。」とかってやさしい曲に聴こえて、実は結構アップテンポで体力がいるんですよ!
そういう曲、実はChouChoさんって多いですよね。
そうなんです。10年間の私の歩みをまとめたようなアルバムなので、ずっと応援してくださっている方はもちろん、私を知らない方も聴いてライヴに遊びにきてもらえると嬉しいです。10年を凝縮した自己紹介のような作品だから導入には持ってこいなんですよね。いろんな曲があるので、どんな人でも気に入る曲が見つかるはずです!
“やったことがないものを見せたい”とおっしゃっていましたが、今後はどんな新しいChouChoさんが見られるんでしょうか?
今後もすごい曲が出ますよ! “ChouChoがこんな曲を!?”ってなるだろうし、制作していて自分も面白かったです。めちゃくちゃいい曲ができたので楽しみにしていてほしいですし、今後もどんどん新しい一面を見せていけるような曲を作っていきたいですね。
取材:清水素子
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アルバム『ChouCho the BEST』2021年12月8日発売
Lantis
- 【初回限定盤】(2CD+Blu-ray)
- LACA-39862~3
- ¥5,170(税込)
- 【通常盤】(2CD)
- LACA-9862~3
- ¥3,850(税込)
『ChouCho 10th Anniversary Tour 〜ChouCho the BEST〜』
[2022年]
6/19(日) 大阪・Music Club JANUS
6/25(土) 東京・ヒューリックホール東京
チョウチョ:2011年夏、TVアニメ『神様のメモ帳』OP主題歌「カワルミライ」でメジャーデビュー。『氷菓』『ガールズ&パンツァー』『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』など、話題のアニメ主題歌を次々と担当する一方、アーティストへの楽曲提供も行ない活動の幅を広げている。ジャンルを問わないナチュラルで艶のある歌声が高く評価され、海外のアニメイベントの出演やハイレゾ配信等、今後も幅広い音楽シーンで活躍が期待されている。ChouCho オフィシャルHP
Aurorise ,
Here comes The SUN(self cover)
[ChouCho the BEST試聴動画]
「Aurorise」
「Here comes The SUN」
「カワルミライ」MV
「灰色のサーガ」
「kaleidoscope」
「風のソルフェ」MV