磯貝サイモン 山村隆太、Skoop On
Somebodyら豪華ゲストを迎えた楽しく
も深い余韻を残した15周年記念公演レ
ポート 

磯貝サイモンデビュー15周年記念SPECIAL LIVE

2021.11.22 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
シンガーソングライター・磯貝サイモンのデビュー15周年記念公演が、11月22日にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催された。久しぶりのバンド編成でのライブ、有観客、そして配信でも多くのファンが見つめる中、6人編成のバンドと共に登場したサイモンは、1曲目から気合満点。“今日はお祭りみたいなものです”と言いながら、最新アルバム『silver lining』からの楽曲を中心に、エレクトリック・ギターとキーボードを使い分けながら、伸びやかな歌声でファンを魅了する。デビュー曲「君はゆける」を、落ち着いたアコースティックなグルーヴで聴かせるなど、15年間の年輪が音に刻まれた、人肌のぬくもりを感じさせる素敵な演奏だ。
磯貝サイモン
そして、早くもライブのハイライトがやってくる。“大人の15周年”と題して、カントリーやブルーグラスの楽器をふんだんに取り込んだコーナーでは、サイモンを筆頭にバンドメンバーがマルチプレーヤーぶりを発揮。ペダル・スティールギター、マンドリン、アコーディオンで聴かせる「ほくろときみのラブストーリー」や、サイモン自らマンドリンを弾く「パレードを歩くその日まで」など、土くさいルーツミュージックと洗練されたポップスの融合した、磯貝サイモンにしかできない世界観が心地よく、楽しい。おばあちゃんの思い出を綴った「あんよがじょうずピコピコピ」など、ユーモアの中に切ない感情をそっと忍ばせる後味の深みも、15年間で磨き上げたソングライターの匠の技だ。
ゲスト:椎名慶治
ゲスト:ISEKI
ハイライトはさらに続く。ここからは、あらかじめ予告されていたゲストが次々と登場し、15周年に華を添える贅沢な時間だ。先陣を切って飛び込んできた椎名慶治(SURFACE)は、デビュー当時の所属事務所の先輩で、サイモンの素顔をよく知る男の一人。強烈なマシンガントークで笑わせ、圧巻のボーカルでねじ伏せ、天性の華やぎでステージを盛り上げつつ、「ホントのハジマリ」「よーいドン」の2曲でサイモンと息の合った掛け合いを聴かせてくれた。続いて登場したISEKI(キマグレン)とは、マンドリンとアコースティックギターで、2年前に作ったという未発表の共作曲「暗闇にセイハロー」と、キマグレンの代表曲でもある「LIFE」を披露。デビュー時期も近く、気の置けないミュージシャン仲間の友情を感じさせるあたたかい空気感で、会場のムードを和ませつつ盛り上げてくれた。
ゲスト:山村隆太
三番手に登場した山村隆太(flumpool)は、サイモンがflumpoolのツアーサポートメンバーとして支える間柄。歌詞が好きだという理由で山村が選んだ、サイモンの初期楽曲「ビューティフル」を、まるで自らの持ち歌のように伸び伸び歌う山村。もう1曲は、サイモンが大好きなflumpoolの楽曲という理由で、flumpool自体でもほぼライブ演奏されたことがないという「プレミアム・ガール」を披露。なるほどサイモンが好きなのもうなずける、ポップセンス溢れる名曲だ。
ゲスト:Skoop On Somebody
そしてゲストコーナーの最後を飾るのは、サイモンが敬愛してやまないSkoop On Somebodyの二人だ。緊張気味のサイモンを、大人の余裕で包み込みながら、Skoopの二人もお気に入りだという「その手錠を外す前に」を、KO-ICHIROのピアノをバックに、TAKEとデュエットするサイモン。続いてのSkoop On Somebodyの楽曲「Amanogawa」は、サイモンが腕によりをかけたこの日だけのスペシャル・アレンジで、メロウ&ポップな最上級の音空間を実現。彼にとっても、オーディエンスにとっても、二度と出会えないかもしれない至福の時だ。
各ゲストコーナーには“サイモン楽曲”“ゲスト楽曲”の2曲が用意され、それぞれの持ち味がたっぷり楽しめる。4組で80分に及んだ贅沢な時間の中で、素晴らしい演奏はもちろん、ゲストによってめまぐるしく変わるサイモンの表情と心情を、ぜひ配信ライブのアーカイブで確かめてほしい。再びサイモン+バンドに戻ると、ラストは「CRAZY FOR YOU」「忍者ユトリくん」など、立て続けに明るくポップなバンドサウンドを連ねて、幸せいっぱいのフィナーレへ。声は出せないが、客席は総立ちで、あたたかい手拍子が鳴りやまない。
アンコールは、サイモンがライブサポートメンバーとして参加しているゆずの二人からの、真心こもった電報メッセージを読み上げることから始まった。シンガーソングライターのみならず、マルチプレーヤーとしてのサイモンの才能が、いかに多くのアーティストに愛されているかを知ることができる、心あたたまる一幕。サイモンがブズーキを弾きながら歌う「サイテーなスタート」の、軽快なカントリータッチの演奏も素晴らしい。そして長いライブを締めくくる最後の1曲は、「ありんこみたいに生きていこう」。フォーク・バラッドのように、ゴスペルのように、深い祈りと願いを繰り返す楽曲に、“死ぬまで歌い続けていきます”と宣言した、直前のMCに込めた思いが重なる。全22曲、約3時間45分。磯貝サイモンの15周年記念公演は、楽しくも深い余韻を残して幕を下ろした。
このライブの配信映像アーカイブは、11月28日(日)23:59まで視聴可能だ。多彩な才能で音楽シーンに確かな足跡を残し続ける、シンガーソングライター・磯貝サイモンの魅力をストレートに伝える豊かな時間。未体験の方は、ぜひ観てほしい。
取材・文=宮本英夫 撮影=鈴木友莉

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