進化するRASについて来れんのか⁉️
『ZEPP TOUR 2021「BE LIGHT」』横浜
公演レポート

2021.12.4(SAT)『RAISE A SUILEN ZEPP TOUR 2021「BE LIGHT」』@KT Zepp Yokohama
RAISE A SUILEN初となるツアーライブ「BE LIGHT」。その追加公演の千秋楽となる横浜公演が2021年12月4日(土)にKT Zepp Yokohamaにて開催された。チケットは既にソールドアウトで満員御礼の会場内は、開演前からファンの熱気に包まれていた。場内BGMには彼女たちがこれまでのツアーで演奏してきた楽曲たちが使われており、待ちきれんとばかりにその音源に合わせてヘドバンする人の姿が非常に印象的で、エネルギッシュな一夜になりそうだと予感させる。約1年をかけて全国6都市を巡ってきたツアー。彼女たちが2021年に歩んできたこの道は、まさにツアータイトルの通り、光り輝く未来へと続くまっすぐな一本道だったのだ。
当初は東名阪ツアーとしてZepp Hanedaからスタートした本公演だったが、札幌・福岡・千秋楽の横浜の追加公演が発表され、6都市を巡る全国行脚にパワーアップして、そして今日再び関東へと帰ってきた。前述の通り、開演を待ちきれんとばかりのファンの熱気が場内には既に充満されており、戦闘準備は万端と言ったところ。開演前の注意事項を告げるアナウンスが響き渡ると、割れんばかりの拍手が場内から起こり、メンバーの登場を今か今かと待ちわびる。
そんな喝采の音をかき消すように紡木のDJスクラッチの音が聞こえてくると、そのままライブは1曲目の「EXPOSE ‘Burn out!!!’ 」へと突入。激しく点滅する照明に合わせてステージ上のメンバーも息のあったヘッドバンギングを見せると、すかさず間奏で小原にスポットライトが当たり、ギターソロで魅せつけてくる。最後にRaychellから「こんばんは、RAISE A SUILENです。」とひと言あると、間髪入れずに「Domination to world」を披露。
撮影:ハタサトシ
小原のギターソロから始まり、Bメロでは倉知がエモーショナルなピアノの音色を奏でる。「さぁ、Zepp Yokohama!ひとつになろうか!」というRaychellの叫びを合図に、まるで自己紹介のように各パートのソロ演奏が行われると、「HELL! or HELL?」を歌唱。続いて紡木から「さぁ、楽しい楽しい灼熱 Bonfire!のお時間ですよ〜!」とアナウンスがあると、通称:灼Bonダンスの振り付けをレクチャー。「ちょっと難しいかもしれませんが、まぁノリとバイブスさえあればOKです!」とフォローを入れるが、そこは流石と言うべきか、千秋楽ともなれば皆、振り付けも完璧にこなし、会場の一体感が高まっていく。
ここまで4曲続けて披露してきたが、まだまだ勢いは止まらないのがRAISE A SUILENだ。続く「SOUL SOLDIER」では小原が速弾きでフロアを沸かせ、「A DECLARATION OF ✕✕✕」でも、イントロで各ソロパートのパワフルな演奏を披露し、サビの「♪3,2,1, JUMP!」の合図でZeppが揺れる。7曲目の「Keep the Heat and Fire Yourself Up」は日本を代表するラウドロックバンド、 Fear, and Loathing in Las Vegasのカバーだ。今回のZeppツアー追加公演から初披露された曲目だが、ライブ当日の公演終了後にガルパにて実装されるというサプライズもあった。普段のRAS以上により激しく、転調後の高速ラップや緩急のついた展開など難しいカバーではあるが、そんな曲も安定感バツグンで歌い上げていった。
7曲続けて披露したところで、ようやく紡木から「皆さん、”アゲ”してくれてますかー?」と、全員ステージ中央に集まり、MCパートに入る。今回のライブはアンコール無しの一発勝負なので、最後まで全力で駆け抜けていこう!と会場を叱咤激励。小原から「1年かけて巡ってきたツアーだけど、みんなはどこが印象深い?」とメンバーに投げかけると、Raychellがすかさず「うーん……ココ?」とニクいマイクパフォーマンスで会場を沸かせる。また「皆さん千秋楽、楽しんでますか〜」と場内を見渡すと「RASのライブなのにポピパの法被着てる、度胸ある人がいるね」と客席をイジりつつ「まぁ、今日は花ちゃんの誕生日だからいいか!(笑)」とライブ当日がちょうど花園たえの誕生日であることもピックアップ。倉知からは「絶対に可愛いから捨てないで!と福岡のライブでメイクさんに言われて〜…」と今日の髪飾りが福岡銘菓『チロリアン』の包装紙に使われてたモールであるという土産話を語ると「でも、それって結局お菓子のゴミでしょ?」とメンバーに一蹴されるなど、演奏中とはまた違った雰囲気のRASでツアーを振り返っていった。
撮影:ハタサトシ
「それじゃ、そろそろ次の曲いこうか!」というRaychellの掛け声でライブを再開すると「Takin‘ my Heart」や「Beautiful Birthday」など、エモめの選曲から後半戦はスタート。「まだまだ横浜ついて来れんのか?」「OK、ついてきな!」と「OUTSIDER RODEO」を披露すると、フロアもステージも1つになって、会場全体でヘドバンする様に圧倒される。
続く「DRIVE US CRAZY」はRaychellの「♪Wow! Wow!」というアカペラから入ると「みんな、心の中で歌え〜!」と絶唱。まるで”まだまだ全力で行けるよな?”と互いに誓い合うかのように右の拳を高く突き立て、彼女の伸びやかな歌声を全身で浴びると「さぁ、ラストスパートだよ!お前ら行けるのか?!」「横浜、全力でかかってこい!」と畳み掛けるように語りかける。曲の最後にステージが見えなくなるほどのスモークが焚かれると、そんな彼女のアツいシャウトだけが会場に鳴り響いた。
再び、各ソロパートによる演奏リレーが始まると、小原はまるで琴を弾くようにギターを置き、超速弾きで魅せると、夏芽はドラムの音に合わせて場内とのコール&レスポンスを楽しみ、倉知も会場のボルテージに応じるように膝で鍵盤を叩くなど、手を変え品を変え、音だけでなく全身を使ったパフォーマンスで我々を楽しませてくれる。続く「!NVADE SHOW!」のサビでは飛び跳ねるような、まだまだパワフルなパフォーマンスで、フロアと全力でぶつかり合っていく。
撮影:ハタサトシ
最後のMCパートでは来年のRASが楽しみになるニュースが飛び込んできた。まずは2022年4月に9枚目となるニューシングルの発売をアナウンス。そして来年2月には、今回のツアーでカバーした Fear, and Loathing in Las Vegasをゲストアクトに迎えたスペシャルライブの開催も決定。これまで度々、メディアでのインタビューなどでそのパフォーマンスに影響を受けて来たと公言するアーティストとのコラボに、会場に居合わせたファンも興奮を隠せないでいた様子だ。また「最後の発表の前に、ここでスペシャルゲストを呼び込みたいと思います!」と呼ばれて姿を現したのはMorfonica Vo.の進藤あまねだ。「あまねちゃんが来たって事は、皆もうわかるよね?」とモニカとのツーマンライブの開催も決定。『Mythology Chapter 2』と題されたように、再び富士急ハイランド・コニファーフォレストを舞台に来年6月18日、そして翌日の19日にはRASの単独ライブの開催も宣言。「2022年もRASらしく、全力でブチ上げて行きますのでよろしくお願いします!」と来年の活動が早くも待ち遠しくなる嬉しい告知が立て続けに発表された。
撮影:ハタサトシ
「終わりたくないけど、次に進むために曲を弾き続けます」と最後に「R・I・O・T」を披露。今日の「R・I・O・T」には、まるでウイニングランのような余裕を感じた。今夜のライブはRASにとって2021年最後のアクトとなったわけだが、まさに今年の集大成のような、そんなステージだった。思えば今年はJAPAN JAMのような”アニソン”の枠をはるかに越えた大舞台も経験した。もちろんRASにとって初のツアーとなった今回の公演だってそうだ。これらの経験が彼女たちを”バンド”として大きく成長させた。今夜のパフォーマンスはそんな成長の何よりの証だったと思う。
「こんな状況だけど、皆を明るく照らせるような場所になればいいなって、そんな想いを込めてツアータイトルをBE LIGHTとしました」と最後にツアーを振り返ってRaychellが語る。加えて「だけど、こうやって全国を巡って出会った皆さんに、逆に私たちが勇気や元気を頂いていました。皆さん1人1人の存在が私たちにとってBE LIGHTでした!」と胸の内をさらけ出すと、夏芽は「声も出せないし、タオルも回せなかったりする状況だったけど、皆の魂は伝わってます!」と続いた。「悔いはありません!お家に帰ってお風呂に入って寝ます!!」と紡木らしく笑いを誘う場面もあったが、やはり改めてRASの2021年を振り返ってみても大躍進の1年だったのではないかと思う。
場内は当然、ディスタンスを守った人数制限が敷かれた中での開催となっていたが、そんな制約を忘れさせるほどに、アツく激しいライブは久々だった。正直に言ってしまえばモッシュがしたかった。今すぐにでもモッシュピットに突っ込んで、揉みくちゃになりたいくらいに楽しいライブだったからこそ、全てが良くなった時には、我々は覚悟をした方が良いのかもしれない。彼女たちのツアーは終わったけれども、それでも2022年はやってくる。更にパワーアップしたライブは僕たちを待ってはくれない。
僕たちはRAISE A SUILENに付いていけるのか?
いいや、食らいついていくだけだろう。
RASは僕らのことを”BE LIGHT”だとしてくれるのだから。
レポート・文=前田勇介 撮影:ハタサトシ

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