宇多田ヒカル「君に夢中」の歌詞の意味は?愛という危険な魅力を表現した歌

宇多田ヒカル「君に夢中」の歌詞の意味は?愛という危険な魅力を表現した歌

宇多田ヒカル「君に夢中」の歌詞の意
味は?愛という危険な魅力を表現した

ドラマの世界に溶け込む宇多田ヒカルの歌声
宇多田ヒカルの新曲『君に夢中』が2021年11月26日に配信リリースされました。
この楽曲は現在放送中のドラマ『最愛』の主題歌としても注目を集めています。
不可解な事件と過去の記憶、次々と巻き起こる事件に翻弄される主人公・の心情とリンクしたような歌詞は必聴です。
▲宇多田ヒカル-君に夢中【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
圧倒的な歌唱力と切ない歌声でより物語に深みを与える宇多田ヒカル。
ドラマの展開とも見事にマッチし、主題歌が流れるタイミングも完璧で、SNSでも話題になるほど。
曲も本編の一部と思えるほど自然にドラマの世界に溶け込んでいます。
彼女の楽曲は、過去の作品もドラマとのマッチングが非常によく、曲のイントロすらも作品の一部に思える程に、ドラマの世界にハマっていました。
単なる主題歌ではなく、ドラマの世界を意識して細やかに作り込まれているからこそなせる技ではないでしょうか。
では。彼女が紡ぎ出す物語の世界を、さっそく読み解いていきましょう。
「最愛」のイメージと相反する危険な魅力
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
歌い出しから『最愛』の世界観と重なります。
「君に夢中」「人生狂わすタイプ」まさに、最愛の人を中心に紡がれるドラマの物語そのものです。
最愛の人と聞くと、好きな人や大切な人と過ごす幸せなイメージがありますが、ドラマの『最愛』は皮肉なほどにそのイメージからかけ離れています。
真田梨央(吉高由里子)は、ある日の出来事がきっかけで人生が狂い始めました。
断片的な記憶ながら忘れがたく、けれど忘れてしまいたいような辛い記憶を植え付けられた彼女は、初恋相手である宮崎大輝(松下洸平)と離れ、上京する道を選びます。
15年という時を経て大輝は梨央と再会しますが、それは慶事と重要参考人という皮肉なものでした。
大輝は警察官として梨央に接しながらも、私情を全く挟まずに捜査することもできません。
結ばれなかったとはいえ、過去には想い合っていた2人。
恋愛感情は仕事に御法度ですが、人間ですから、どうしても完全に打ち消すことはできないものです。
そして梨央も、15年振りの再会、そして警察という立場を通しての再会に戸惑いつつも、どことなく怪しさを感じさせる素振りで翻弄します。
15年前には純粋な少女だった彼女が、どことなく誘惑する様な雰囲気を醸し出している。
それだけで時の流れと、彼女がどれだけ深い闇を抱えているかを考えさせられます。
もしかしたら15年前から、大輝にとって梨央は特別で危険な「人生狂わす」ような存在だったのかもしれません。
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
15年後、梨央は母の会社を引き継いで社長になっていました。
大会社の女社長。傍から見れば成功者のように見えるでしょう。
梨央自身も過去の記憶は封印したかったのだろうと思います。
「才能には副作用」それはまさに、栄光の陰で彼女が隠し続ける過去。
「靴と鎧を脱ぎ捨てる」という歌詞の通り、表舞台に立つ時には武装をして、隙を見せないように、弱みを見せないように気を張っているのです。
だからこそ1人の時間にはすべてを脱ぎ捨て、素の自分に返るのでしょう。
「オートロック」で厳重に施錠し、誰も立ち入らせないプライベート空間にしか、15年前の面影を残した梨央は開放できないのかもしれません。
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
出会った時こそノーマークで意識していなかった人ほど、あとあと深みにハマってしまうものです。
劇的な出会いでないからこそ、かえって危険なのかもしれません。
サビで何度も登場する「君に夢中」というフレーズ。
タイトルにもなっていますが、夢中になりすぎて人生さえも壊しかねない存在というのは非常に厄介です。
しかし、その厄介さも含めて、強く惹かれていくものなのかもしれません。
自分を守ろうとするほどに見失っていく本当の自分
ただの初恋相手だけならロマンチックな話。
しかし、15年前の失踪事件をきっかけに、梨央も大輝も淡い恋の思い出に浸ってはいられなくなりました。
互いに想いを寄せていたからこそ、警察と重要参考人という巡り合わせは辛いものになります。
2人を取り巻く運命の非情さが歌詞に上手く現れていますね。
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
事件を調べれば調べるほど、梨央や梨央の父親、大切な異母弟である優(高橋文哉)など、最愛の人たちばかりが怪しく見えてきます。
それぞれが何かしらの秘密を抱え、それを互いに見せ合えない関係。
しかもそれは、相手を想ってこそなのです。
嘘を吐き続ける内に、本当の自分を見失ってしまうのは悲しいことです。
しかし梨央はまさに、そんな状況にあるのではないでしょうか。
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
『最愛』はかけがえのない人を疑わなくてはならない悲しみや、自分のせいで最愛の人の人生が狂っていく様を描いた作品です。
ただのミステリードラマとしてだけでなく、真実の裏に愛がある、その重さを描いているところが非常に魅力的。
愛は人を幸せにし、満たしてくれると同時に、人を狂わせ、破滅させる諸刃の剣でもあるのです。
愛しい人を守ろうとした行動が、その人を傷付けることになるかもしれない。
守りたい人を傷付けてしまうもどかしさ、ふがいなさ。
そんな人間らしい葛藤が、作品に深みを加え、美しくも悲しい物語を作り上げているのです。
真実に迫るほどに加速する痛み
人を欺くために嘘を重ねている内に、どれが本当の「私」だったか忘れてしまう悲しさは、真実を追い求めるほどに不安に囚われ、翻弄される梨央や大輝の姿と重なりますね。
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
「来世でもきっと出会う」と確信できるほど、強く惹かれ合う存在。
人生を狂わされるほどの相手であっても、来世もまた出会いたいと願ってやまないほどに強く惹かれ合っているのです。
君に夢中 歌詞 「宇多田ヒカル」
https://utaten.com/lyric/un21113001
強い愛は時として人を壊します。
『最愛』の根底にあるものも愛。
辛い過去を乗り越えられたのは、愛しい人がいたからで、事件の根底にあるものもおそらく愛です。
愛は憎しみと表裏一体。些細なことが悲劇を生み出すこともあるのです。
『最愛』のラストに待ち受ける真実は一体何なのか。
闇と謎を抱えた梨央の心に寄り添うように『君に夢中』のメロディが優しく物語を包み込みます。
自分にとってかけがえのない人が、犯人かもしれない。
そんな不安と向き合わなくてはならない辛さ。
真実を追い求めることは、死者の無念を晴らすだけでなく、最愛の人を追い詰めることになるかもしれないのです。
15年前、一体何があったのか。追い求める真実が明らかになるのは間もなくです。
12月9日からは公式YouTubeでMVも解禁されました。
ドラマの世界観に寄り添った優しくも切ない音色を、ぜひご堪能ください。

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