『RADIO CRAZY presents THE GRAND
SLAM』オフィシャルレポートーー10-
FEET、スカパラ、マンウィズらのコラ
ボが連発

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM 2021.12.25(SAT)京セラドーム大阪
12月26日(日)前半レポートはこちら
Creepy Nuts 撮影=渡邉一生
『RADIO CRAZY』2日目、後半戦はCreepy Nutsからスタート。サウンドチェックでDJ松永が高速スクラッチでフロアのテンションを上げていくと、本編でも松永は単独で「DJ松永ルーティーン」として超絶技巧を見せつけていく。そこからR-指定が登壇し、「よふかしのうた」へと繋ぐ。何とも言えないスリルを孕んだリリック、体を大きく揺さぶるリズム、あっという間に京セラドームがクラブへと変貌してしまう。
Creepy Nuts
「『THE GRAND SLAM』、飛び跳ねろ!!」と、ライブでお馴染みの「合法的トビ方ノススメ」へ。中毒性の高いメロ、緩急鋭いリズム、アップダウンするポップなノリ、あっという間にオーディエンスみんなを巻き込んでしまうテクニックはさすが!
Creepy Nuts 
「この場所が今年のライブ納め。一年の経験値の集大成を見せつつ、手の付けられないヤンチャぶりと正月休み目前のはしゃいだ感じも見せたい」と、今年のライブ活動について振り返りつつ、フロアを煽るR-指定。今なお続くコロナ禍でのライブシーンで演者はもちろん、オーディエンスも経験値を積み新しい楽しみ方を習得してきたはずとし、「現時点での最大限を見せつけてやりましょう!」と、煌々と光る照明の下で放ったのが「Bad Orangez」だ。大きな手拍子が響くなか、気持ちよさそうにさらりと胸熱なワードを放つR-指定の表情がたまらなくいい!
Creepy Nuts
ラストは「生業」。R-指定は地元大阪、そしてコロナ禍という状況でも大きな会場でライブができることに感謝の気持ちを伝えつつ、好きなラップとDJを突き詰めてきたからこそ今の場所にいられると、改めてヒップホップに懸けた思いを語る。そして猛者たちが集うこのイベントで自分たちは何で対抗できるのかを考え、ラップとDJ、自分たちの「生業」で勝負をしたいと強い思いを告げ、「ラップの上手さを堪能して」と怒涛のワードを詰め込んだラップを披露。ただただシンプルに自らの「生業」を見せつけたステージ。ロックやポップだけが全てじゃない、音楽の楽しさを体現した2人のステージに観客は賛美の大きな拍手を届けた。
Creepy Nuts
MAN WITH A MISSION 撮影=酒井ダイスケ
広いフロアのあちこちでMAN WITH A MISSIONタオルが掲げられるなか、お馴染みの「ガウ」ポーズでステージに姿を現した5匹の狼たちは初っ端からスケール大きく、躍動感あふれるギターが響く「Change the World」で観客を圧倒していく。
MAN WITH A MISSION
ギラつくレーザー、攻撃的なリズムがオーディエンスの脳天を刺激する「database feat.TAKUMA(10-FEET)」では盟友10-FEETのTAKUMAが「楽しんでいけよーー!」とゲストに乱入! かと思えば、「今年モ大変オ世話ニナリマシタ。年ノ瀬ニオ忙シイナカ、オ集マリクダサイマシテ誠ニアリガトウゴザイマス」と、御歳暮でも届きそうな丁寧な口上を切る狼たち。一年の終わりに大きなイベントに出演できたことに感謝の気持ちを伝えつつ、今年一年を懸けて少しずつライブシーンが良くなっていることを実感し喜びの声を漏らす。
MAN WITH A MISSION
そして、「世界中ガ待チ望ンデイル世界ヲ、我々ノ手デ手繰リ寄セテイキマショウ」と「yoake」へ。眩い光が輝くなか、タイトルのままに聴く者の思いを昇華させるようなスケールの大きなサウンドは京セラドームの広い空間にピタリとはまっている。
MAN WITH A MISSION
中盤にはライブでおなじみの「FLY AGAIN -Hero’ s Anthem-」「INTO THE DEEP」と、ダイナミックなロックチューンを立て続けに連投。「我慢セザルヲエナイ状況下デモ、ミナサマト一年ノ締メヲゴ一緒デキテ、マジデウレシイデス」とメンバーもご機嫌だ。
MAN WITH A MISSION
そして、声を出して共にライブを楽しめるがそう遠くない未来にやってくるはず、その時にはステージの声が掻き消されるほど、大きな声を出してほしいと願い、「Remember Me」へ。楽曲に込めた思いは観客1人1人に確かに届いているようで、会場全体が大きな多幸感に満ちていくのが伝わってくる。
MAN WITH A MISSION
そしてラストは「Emotions」。これまでに何度となく聴いてきた曲も、一年の締めくくりだと思うといつも以上に力が漲ってくる。全力で振り切る拳、誰よりも広く高く掲げる両手、声の代わりに手のひらが腫れそうなくらいに大きく打ち鳴らす手拍子。5人の音に負けないくらいに応戦するオーディエンスの姿に鼓舞され、最後の一音までフルスイングのライブを届けてくれた彼ら。来年こそ「1、2、3、ガウ!」、大きな声で叫びたい!!
MAN WITH A MISSION
東京スカパラダイスオーケストラ 撮影=渡邉一生
イベント後半戦への幕間にはFM802のDJ加藤真樹子が登場。集まってくれた観客に感謝しつつ、規制があるなかでも大いにイベントを楽しんでほしいと思いを伝えると、「世界に誇るライブバンドで、これまでにいくつもの伝説のステージを作ってきたライブバンドの登場です」と、東京スカパラダイスオーケストラを呼び込む。
東京スカパラダイスオーケストラ
彼らがイベントに出演するとなると、その日の出演者の顔ぶれから期待してしまうのがゲストを交えての「歌もの」ライブだ。もちろんこの日もゲストが登場したが、ド頭から「ロック大忘年会」の名にふさわしい贅沢なステージが繰り広げられていく。

東京スカパラダイスオーケストラとTAKUMA(10-FEET)
「闘うように楽しんでくれよ!」、赤く髪を染めてイケオジ度が増した谷中敦(Baritone sax)がさっそく呼び込んだのはTAKUMA(10-FEET/Vo.Gt)だ。「閃光 feat.10-FEET」ではぎゅっと心温めてくれるTAKUMAの歌声に思わず笑みが漏れる。捲し立てるGAMO(Tenor sax)の口上に続いて、TAKUMAが<Be brave Be brave>とあの名フレーズを歌い出し、「hammer skafeat.東京スカパラダイスオーケストラ」(10-FEET)へ。スカパラバージョンでの演奏はひと味違い、ホーン隊が加わることでより凄みを増したグルーヴィなサウンドとなって観客を興奮させる。「もっともっとイケる?」、TAKUMAの煽りに乗っかるスカパラメンバーのプレイもとにかく躍動的だ。

東京スカパラダイスオーケストラとMAH(SiM)
腰を揺らすレゲエのリズムにつられ、続いて登場したのはMAH(SiM)。「GUNSHOTS」(SiM)をピッチの早いスカパラ流にアレンジして届けていく。スカパラホーンが加わった贅沢なライブ、もちろんMAHは大先輩のライブであっても自らのスタイルを崩すことはなく、ビッチに観客を煽りまくる。
東京スカパラダイスオーケストラとキュウソネコカミ
お次はシックな黒のスーツに身を包んだちょっとおすましバージョンなキュウソネコカミ。「大切な仲間、バンドのこと、友達のことを歌った曲」と、選んだ楽曲は「メモリー・バンド」。今はこの場にいない仲間を思う、優しくて温かな言葉の数々とグッドメロディ、思わず楽しくて涙が出てしまう。
東京スカパラダイスオーケストラとトーキョー・タナカ、ジャンケン・ジョニー(MAN WITH A MISSION)
スカパラ流ロック大忘年会はまだまだ続く。先ほどライブを終えたばかりのMAN WITH A MISSIONからトーキョー・タナカ(Vo)、ジャンケン・ジョニー(Gt.Vo.Raps)が参加し、ライブでもお馴染みの「DOWN BEAT STOMP」を披露。ご機嫌すぎるリズムに観客も思いのまま自由に音に乗っかって踊りはしゃぐ。
東京スカパラダイスオーケストラとトーキョー・タナカ、ジャンケン・ジョニー(MAN WITH A MISSION)
「僕らは同じ悲しみを抱えています。コロナの悲しみ。誰かにぶつけるとぎくしゃくしてしまう。悲しみを共有することで、優しくなったり、思いを共有できる。乗り越えたときに、絆が生まれる」と、MAN WITH A MISSIONと共作した「S.O.S. [Share One Sorrow]」へ。スカパラ✕マンウィズ、生粋のライブバンドだからこそ生まれた音楽はダイナミックに熱い思いのまんまぶつかってくる。スクリーンには訳詞が流れ、音の魅力だけでなく言葉に込めた思いもしっかりと心に染み込んできた。
東京スカパラダイスオーケストラ
ラストはスカパラメンバーだけで「Paradise Has No Border」を。ステージを右に左へ、観客一人一人を漏らすことなく盛り立てんとする彼らの心意気は圧巻で、2021年大阪最後のステージも惚れ惚れするパフォーマンスの連続だった。
マカロニえんぴつ 撮影=田浦ボン
サウンドチェックでレミオロメン「粉雪」を歌ってみたり、観客に気軽に声をかけたりとマイペースな素振り見せていたマカロニえんぴつだが、本編1曲目「girl my friend」から軽快なロックサウンドを打ち鳴らし、観客をあっという間に笑顔にしていく。
マカロニえんぴつ
ライブハウスとは違う、スタンドエリアまでずらりと並んだ京セラドームでのライブに最初こそは戸惑いつつも「気持ちの距離は変わらない。あなたに向けて歌います!」と、11月にデジタルリリースされたばかりの「なんでもないよ、」では心象風景をリアルに描いた言葉の数々があっという間に聴く者の心を捕らえ、柔く穏やかな表情を生んでいく。
マカロニえんぴつ
続く「恋人ごっこ」でははっとり(Vo.Gt)のちょっぴり高くて甘い歌声、ドキドキと跳ねる心臓の音に似た高野賢也(Ba.Cho)のリズム。そこに彩りを添える長谷川大喜(Key.Cho)の音色、田辺由明(Gt.Cho)のリアルな心象風景を描くメロディ、その全部が愛おしくてたまらない気持ちを作り上げていく。
マカロニえんぴつ
MCでは、2021年は多くの人にもっと前へもっと前へと背中を押された一年だったと振り返るはっとり。「来年も走らせてください!」と、今以上に前のめりな姿勢で突き進みたいと思いを語り、最後を締める曲として披露したのは今年リリースしたメジャー1stシングル「はしりがき」。ここで文字にしてみて驚いた……。彼らはまだメジャーデビューして1年と少しばかり。しかも『RADIO CRAZY』に初出演したのは2018年。ブレイクが期待されるアーティストが登場する「登竜門」とされる「LIVE HOUSE Antenna」が初めての舞台だったが、そこからの躍進はご存知の通り。気付けば2021年、京セラドームでトリ前を務めている。それだけの実力と、人気を兼ね備えているという証なのだけれど、改めて彼らの注目度の高さに驚かされる。
マカロニえんぴつ
来年1月にはメジャー1stフルアルバム『ハッピーエンドへの期待は』のリリースが決定し、初の単独日本武道館や大阪城ホール公演など、バンド史上最大規模の全国ツアーも決まっている彼ら。この勢い、来年もまだまだ加速が進みそうだ。
■10-FEET
10-FEET 撮影=渡邉一生
2日目もいよいよ最後のステージ。強烈な寒波が訪れたこの日、夜にもなると外の気温は雪がちらつく極寒の天気に。それでも観客はこれから始まるステージを向けバンドタオルを掲げ、今か今かとその時を待っていた。と、その前にステージMCにFM802のDJ浅井博章が登場。ライブシーンの未来に向けて前向きなメッセージを届けてくれた出演者たちに、そして協力してくれたリスナーたちに感謝の言葉を伝える。そして熱量高く、呼び込んだのは大トリの10-FEET!
10-FEET
「そして伝説へ」、バンドのいつものSEが京セラドームの雰囲気にめちゃくちゃに似合っていて、それだけで思わずニヤついてしまう。「よいしょーー!!」、気合いたっぷりに「VIBES BY VIBES」へ駆け込んでいく3人。SEがドームの景色に映える、なんて思っていたけれど、この1曲だけで会場はあっという間にライブハウスと同じ熱量に達している。広いドームの会場でも、『京都大作戦』の広い野外会場でも、3人がライブに懸ける熱量の大きさは何も変わらない。ただただ目の前で待ってくれていたファンに全力で立ち向かうだけ。その姿のなんて頼もしいことか……。来年で結成25周年、確かな貫禄がビシビシと伝わってくる。
10-FEET
「淀川」バージョンで鳴らす「RIVER」では、スマホのライトを使って会場を無数の光で照らし美しい景色を作り上げるサプライズが(KOUICHI/Dr.Choの小ボケも炸裂!)。続く「アオ」はライブで聴くと感情が大きくたかぶるのに、じっくりと歌詞を読みこむと涙が溢れる、不思議な魅力を持った喜怒哀楽が交錯する楽曲だ。聴くたびに印象を変えるこの曲、この日は聴く者の心に優しく寄り添ってくれるようで、じっと聴き入る観客の姿が印象的だった。その後も「ハローフィクサー」など、ダイレクトに攻め込んでいくKOUICHIのドラム、NAOKI(Ba.Vo)の荒ぶるベースライン、ドラマチックな楽曲の展開に視線も耳も釘付けになってしまう。
10-FEET
MCでは「言葉」への思いを語るTAKUMA(Vo.Gt)。ネットの中の世界や日々の生活、色々な言葉に翻弄されるし、傷つけたかもしれない言葉もある。文字だけでは伝わらない言葉にもっと想像力を高め、カッコよく優しい人になろうと、言葉を繰り出すボーカル、バンドマンだからこその想いを伝える。そして、ラジオならではの声のトーンや質感、温度感にも特別な思いがあると語るTAKUMA。『RADIO CRAZY』が音楽、ラジオが好きな人が用意してくれた場所だからこそと、自らの言葉でしっかりと思いを伝えていく。
10-FEET
「帰りたくないような、名残惜しくなる夜にしよう」と「シエラのように」へと繋げるも、泣きそうな顔をして、優しく強く歌うTAKUMAの姿に目が離せなくなってしまう。次曲「その向こうへ」、いつもなら共に声を上げてモッシュやダイブで盛り上がりを見せるライブの定番曲だが、コロナ禍で規制があるなかでも観客の満面の笑顔は隠せない。その笑顔を生むため、3人のプレイはより激しさを増していく。
10-FEET
ラストは駆け込むように「goes on」へ! ビシっとかっこよく終わると思いきや、まさかのステージがぐるりと回転!? バンドセットが真後ろに向くと、ステージにはノリノリで踊るFM802のDJ陣やキュウソネコカミが登場するというまさかの仕掛けに会場は大盛り上がり。いつだって遊び心を忘れない、10-FEETらしいライブはアンコール「ヒトリセカイ」まで全8曲。明日も、明後日も、来年も頑張ろう、そう思わせてくれるロックがそこにはあった。
10-FEET
『RADIO CRAZY』2日目、この日も全10組のステージは記憶に残るドラマの連続ばかり。今日も最高、ライブハウス最高。このテンションのまま、27日もきっと満塁ホームラン連発になること間違いない!
『RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM​』
取材・文=黒田奈保子 撮影=FM802提供(渡邉一生、田浦ボン、酒井ダイスケ)
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