MONGOL800が久々のワンマン『etc.wo
rks 3 RELEASE PARTY!!』 で届けてく
れたもの

MONGOL800 ga LIVE『etc.works 3 RELEASE PARTY!!』

2021.12.21 中野サンプラザ
今年4月にコンセプトアルバム『etc.works3』をリリースしたMONGOL800。他アーティストとのコラボ曲や、トリビュート盤参加曲などをまとめた恒例シリーズも、いよいよ第3作目。今回は2011年以降の“外仕事”に加え、近年発表したデジタルシングルや、アルバム未収録楽曲をコンパイルした1枚になっている。そして、本来であれば同作のレコ発ライブを4月に沖縄で行なう予定だったのだが、新型コロナウイルスの影響を鑑みて、公演を中止することに。その仕切り直し公演が、12月21日(火)、中野サンプラザで開催された。
SE「Enjoy Yourself」が流れる中、カチャーシーをしながらキヨサクと髙里悟、そしてサポートギターのKubotyが登場。「東京ー! あーそびーましょー!」という清作の第一声を合図に、1曲目の「太陽雨」からスタートダッシュをかける。真っ白な光がステージを照らす中、力強い2ビートで駆け抜けると、その勢いを加速させるように「Endless summer」へ。陽性なサウンドが、冬の東京を真夏の楽園に変えていく。
そこにNARI(SCAFULL KING)とSeasir(DOBERMAN)によるホーン隊・THE BRASS BROTHERSと、“自称・パーティーダンサー”こと粒マスタード安次嶺というお馴染みのメンバーが姿を現わし、「今日は拍手と心の声をダダ漏れでお願いします!」となだれ込んだのは、サンボマスターの「青春狂騒曲」。常夏の南国を思わせるダンサブルなビートと、底抜けに明るいホーンの音色、そして、キレキレのロックダンスを魅せつけながら、オーディエンスを先導していく粒マスタード安次嶺のパフォーマンスに、会場のテンションがどんどん引き上げられていく。さらに、ソウル・フラワー・ユニオンの「海行かば 山行かば 踊るかばね」でお祭りモードをより高めると、「今宵は宴じゃー!」と始めたのは「PARTY」! ステージ前に飛び出したTHE BRASS BROTHERSがサックスとトランペットを賑々しく吹き鳴らし、Kubotyがパンチの効いたギターソロを弾き倒せば、フロアは完全にダンスホールに。オーディエンスはその場で楽しそうに踊りまくっていた。
圧倒的な高揚感が途切れることなく続いていたのだが、DREAMS COME TRUEの「a little waltz」では、軽やかな3拍子の上で踊るフルートとフリューゲルホルンが心地よい風を運び、「宝物」では、シンプルかつまっすぐなバンドサウンドに乗せられた<その笑顔が宝物>という温かなメッセージを届けていく。また、怒りと悲しみをポジティブに叩きつける「OKINAWA CALLING」や、抜けるような青空とロマンティックな星空が目に浮かぶウェディングソングの「honeymoon」といった沖縄の景色を彷彿とさせる曲が続く中、ダメ押しと言わんばかりに披露されたのは、HYの「隆福丸」。荒波のようなリズムチェンジと、大海原を力強く突き進んでいくようなアンサンブルを繰り広げた。
この日のMCで、『etc.works』を制作する際に「オリジナルアルバムぐらいのエネルギーを注いでいる」と明かしたキヨサク。それと同時に、外仕事をする際には「自分達にしかできない調理方法をする」とも話していて、アレンジされたどの曲も確実にモンパチらしさはあるのだが、それでいて、新鮮な印象も与えてくれるところは、カバーやコラボによるいい化学反応が生まれている証拠だろう。
感染対策のため、オーディエンスは声を出せない状況ではありながらも、「手拍子から何から、めちゃくちゃ伝わってますよ。なんならちょっと熱くないですか?」とキヨサクが話せば、悟も「目が笑ってるから」と、マスクで顔が隠れていても、観客がしっかりとライブを楽しんでいることが分かり、少し安心した様子。しかし、「あまりこの状況に慣れたくないのが本心」とキヨサク。「来年こそは歌ってほしいですよ」という彼の一言に同意するように、客席から大きな拍手が送られていた。
そんなMCの後、3人が披露したのは「小さな恋のうた」だった。キヨサクは、Dメロの部分でマイクスタンドを一旦客席に向けたのだが、そのまま元の位置に戻す。「ここでお客さんに歌ってもらうのを5年以上やっていて……5年以上、なまけていました(笑)。今日は通常営業で行きます。心の声で歌ってください」。その言葉に応えて心の中で、もしくはマスクの下で口だけ動かしていたオーディエンスは、かなり多かっただろう。それは、次の「face to face」や、続けて放たれた「あなたに」も同様で、決して声は聴こえないけれども、観客がモンパチの音楽を思う存分楽しんでいることが伝わってくる、熱くて、それでいて温かな空気が流れていた。悟の力強いドラムロールと、大音量のクラップが響き渡る中、「改めて音楽を必要としてくれてありがとうございます」と、キヨサクが感謝を告げ、「Light」へ。それが微かなものであろうとも、光のさすほうへ進んでいこうとポジティブなメッセージを力強く飛ばし、本編を締め括った。
ライブ当日はクリスマス直前ということもあり、アンコールでは「この時期にしかできない」楽曲が続々と演奏された。鈴の音が鳴り響き、ステージ全背面に満天の星空を思わせる照明が灯る中、「冬の思い出」をTHE BRASS BROTHERSを交えて披露。柔らかなベースの音色から始まるメロウなクリスマスナンバーを届けると、「もう1曲、プレゼントしたい曲がありまして。新曲のような、CMで聴いているような……」と、キヨサクが作曲・歌唱しているJTのCM曲「想うた~親を想う~」を、モンパチバージョンで。どっしりとしたハチロクのリズムと、温かな歌声が中野サンプラザに響き渡らせると、さらに「もう一曲」と贈られたのは「snow white」。様々な有名クリスマスソングのフレーズを組み込んだ、まさにこの時期にふさわしいラブ&ピースな曲を届けていく。そんなメンバー達の足元やアンプ付近に、サンタクロースに扮した粒マスタード安次嶺がプレゼントを置いていくところも微笑ましかった。そして、キヨサクが叫ぶ。
「Merry christmas and happy new year! Don't worry be happy new year!」
ラストナンバーは「DON'T WORRY BE HAPPY」。前年に引き続き、ウイルスの猛威が世界を覆い続けていた2021年。少しずつ明るい兆しが見えているのか、いないのか。そんないまいち煮え切らない状況なのもあって、もしかしたら去年よりも今年のほうが苦しかったと感じていた人も少なくなかっただろう。決して明るい1年ではなかった。そんな年の瀬に、“来年こそはきっと大丈夫”と、心を晴れやかにさせてくれる、未来に希望を抱かせてくれる最高の大団円だった。
MONGOL800は、来年3月から全国ツアー『MONGOL800 -etc.works- TOUR2022』を開催することを発表。タイトルの通り、今回のツアーは『etc.works』の収録曲が主役で、セットリストをファン投票で決定することになっている。現在、特設ページでリクエストを受け付けているのだが、同ページには、“選ばれた楽曲次第ではゲスト出演者も?!”という一言も。確実にレア曲連発になるであろうライブを楽しみにしていたい。

取材・文=山口哲生 撮影=SARUYA AYUMI

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