『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第五十七回 -
「アバウト・タイム
~愛おしい時間について~」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:みねこ美根

「素敵な人生を」(2013年『アバウト・タイム~愛おしい時間について~(About Time)』)

昔に戻って、やり直したいと思ったことはある?

私はある。バックトゥザフューチャーみたいに、今に影響が出てしまわないかが心配だけど、それがないのなら、人にすぐ連絡したり、自分の考えをハキハキ喋ったり、おどおどしないで生きてくればよかったって思う。

でも戻ることはできないから、今から堂々とした人間になろうと最近、買い物のとき、店員さんに話しかけられても動じない精神を鍛えまくっている。店員さんに話しかけられたときに、気になっていることがあれば些細なことでもなるべく質問してみるチャレンジ。「これはどんなふうに他の服と合わせたら良いですか?」とか「この香りだと、ハンドクリームだけなんですか?」とか「画面のサイズ以外に何が違いますか?」とか。店員さんってすごいぞ、答えてくれる!話しかけられないようにビクビクしなくていいし、知らないこと知れるし、心にゆとりがあるみたいに錯覚できる!店員さんどうもありがとう。

今回紹介するのはそんなふうにこれまでの自分を少し変えたくなるような映画、「アバウトタイム~愛おしい時間について~」です。

突然タイムトラベルができるように!?

21歳の誕生日、ティムは父親に「私たちの家系の男はタイムトラベルができる能力がある」と秘密を告げられる。タイムトラベルを駆使してガールフレンドを作ろうとするティムであったが、なかなかうまくいかない。そんなある時、働き始めたロンドンで知り合ったメアリーに恋をする。カフェで知り合い意気投合、電話番号をゲット。しかし帰宅後に、脚本家の同居人ハリーが手掛けた舞台の初演が大失敗したことを知り、ハリーを助けるために過去に戻るティム。舞台は成功するも、タイムトラベルによって、メアリーと出会わない道を選んでしまったことに気が付いたティムは、なんとかメアリーと出会おうと、知り合った時の会話を手がかりに探し始める…。と言う話。

SFラブコメかと思いきや、家族、特に父親との絆も大きく描かれ、前半はハラハラドキドキ、後半は自分自身に引き寄せてしみじみと味わえる。

時間ものSFが苦手なあなたも楽しめる

私は、タイムトラベル系を観ると、少しやもやしてしまうことがある。積み上げてきた”現在”が、時間を遡ることで、違う”現在”になってしまい、今に戻ってきたときに、全然違う世界になっていると、悪い”現在”だったとしても変えちゃってよかったのかな…と考えてしまう。それが少し切ない。あと、タイムトラベルのルールも厳しいと緊張してしまう。少しの分岐が未来を大きく変えてしまうようなルール厳しめトラベルは、余計にどきどきする。でも、この映画は、筋書きが破綻しない程度に厳しすぎないルールで、望めば元の世界にもどることもできる。少しだけ過去を変えるようなちょっとしたタイムトラベルは、些細な変化になるだけなので、思ってもみない方向に悪影響を及ぼすこともあまりなく、心配いらない。なので、もし、私みたいにタイムトラベル系がもやもやしちゃう人であっても、本作なら、安心して映画のストーリーに集中することができる。

親子の絆

今回、ティムと父親が好きな卓球を、大きなモチーフとして指輪を作った。この映画の凄いところは、映画の着地点だ。ただのハラハラドキドキ恋愛モノだけではなく、ティムの成長とともに映画の視野も広がり、ここに来るか!というところに行きつく。ティムは、同じようにタイムトラベルの力を持つ父から、能力のルール、使い方を学ぶが、映画の最後には、私たちにも、毎日を過ごす上で大切なことを教えてくれる。ぜひそれを、多くの人に知ってほしい。次の瞬間から、時間が輝きだすはずだ。そして、”次へ一歩踏み出すこと”についても触れている。これは個人的にタイムリーで、とても胸に迫るものだった。

人生は予測できない

この映画のすごいところは、予測不可能なところ!大体「まーこういう流れかな?」と想像がついてしまうところ、そんなスキを与えないくらい、結構なスピードで話が進んでいく。どんどん舞台が変わってたくさんの場面に切り替わるので、全く飽きない。そして、好きな人の前でしどろもどろになるティムが、少し時間を戻って堂々とやり直すシーンは、なんだかうらやましいぞ。最初っから堂々と生きていきたいね。みんな予測不可能な人生なのは同じなんだから、少しでも自分に自信を持って、進みたい。

2022年もよろしくお願いします。
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モチーフ:卓球台とラケット、思い出の浜辺、二人の人影、ポージーへのプレゼントのくまのぬいぐるみ、誕生日会の風船、キットカットのための紫のカップケーキ、ママの育てる植物、パパの本、壊れた傘
音楽:Ben Folds「The Luckiest」
   Ellie Goulding「How Long Will I Love You」
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◆みねこ美根 オフィシャルHP
https://powerpop.co.jp/minekomine/
※気になったら「ミネコミネ」で検索してください!

◆みねこ美根 配信リンク
https://lit.link/minekomine

◆みねこ美根 オフィシャルTwitter
https://twitter.com/me_chat_3ne

◆連載『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』一覧ページ
http://bit.ly/2VrGl0a
〝美根〟 プロフィール

ミネ:オルタナティブ・シンガーソングライター。6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2017年より“みねこ美根”名義で本格的に活動を開始し、22年4月に改名。その後も「零れる光」をはじめ、「本当は人魚」「この世界に」など配信シングルを精力的にリリースし、23年11月に待望の1stフルアルバム『焔心の砦』を発表。同年12月には東京・duo MUSIC EXCHANGEにてワンマンライヴ『A Special Day of Mine 【焔心の砦】』を開催する。〝美根〟オフィシャルSNS

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