L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

【angela インタビュー】
“シリアスな作品=angela”
ということで指名してもらえた

初のデジタルシングル「ひとひらの未来」は、1月30日にWOWOWで放送される長編アニメ作品『永遠の831』の主題歌。不思議な力を持つがゆえ“自分は何者で、どこに行くのか?”と葛藤する主人公を、そしてリスナーをも一歩前に進ませる、美しい情景の見えるミディアムチューンとなっている。予定目白押しの2022年と、その先の20周年に向け、angelaは楽しみながら進み続ける。

“いろんなもの詰め込みました”感が
結果的にangelaらしさになった

「ひとひらの希望」はデジタルシングルということですが、このリリース形態ってangelaでは初めてでは?

KATSU
そうですね。アニメの挿入歌がオンエアが終わった直後に配信リリースされるパターンはあったんですけど、デジタルリリースとしては初めてです。
atsuko
最初から“何月何日リリース!”って銘打つかたちはね。デジタルリリース自体に関して、私は全然後ろ向きじゃないんですよ。時代に沿っていけばいいと思っているタイプなんで。ただ、配信だとカップリングがないっていうのは大きい。
KATSU
CDという形態がなくなっていくだろうっていうのは、ここ数年の動向を見ていても確信していたので、一歩踏み出した感はありますよね。もともとはCDを出したくて音楽を始めたので“ついに来たか!”っていう気持ちもありますけど、これで今後一切CDというかたちでは出さないというわけではないですから。
atsuko
それにデジタルリリースになっても、みなさんスマホとかPCに取り込んでいただく用のサムネイルとして、アーティスト写真は新しくあったほうがいいよねと。それで今回も撮り下ろしたんです。

そのアーティスト写真を拝見しても、今回は“シリアスなangela”であることが明らかですが、この曲が主題歌になっている長編アニメ『永遠の831』もSF要素を交えつつ、かなりシリアスなストーリーですよね。

KATSU
クライムサスペンスっていうのが初めてで。どちらかと言うと“アニソンを作る”というよりも、“ドラマの曲を作る”ような感覚でした。
atsuko
普段こういうタイアップのお仕事って、担当のディレクターが持って来てくださることが多いのに、『永遠の831』は別のディレクターさんからお話があったんですよ。しかも、私たちが彼と過去にご一緒したお仕事は『アホガール』だったのに(笑)、我々がやっている他の楽曲とかも聴いてくれていた上で、“この作品にはangelaが合うんじゃないか?”と思い出してもらえたことが嬉しかったですね。
KATSU
キングレコードとしても神山健治監督と初めてご一緒する作品というところが大きかったみたいで、“シリアスな作品=angela”ということで指名してもらえたのは、18年真面目にやってきた甲斐があったなぁと。
atsuko
ただ、今回すごく難しかったのが、先方からのリクエストが少し曖昧で…“テンポは速すぎず、遅すぎず。曲調は明るすぎず、暗すぎず”と。

ええ! それは難しい。

atsuko
どこを攻めるべきか、ちょっと悩みますよね。その中で『永遠の831』の世界を表現しながらも、angelaがやる意味みたいなものを出していくにはどうしたらいいだろうかと悩みました。
KATSU
流行りのピコピコしたデジタルロックも合うと思いつつ、スタッフ伝いに“脚本や絵を描いていた時、監督はSimon & Garfunkelを聴いていたよ”というのを聞いて、余計に分からなくなって! 確かに「スカボロー・フェア」とかを聴くと、“あぁ、なるほどな”って納得できる世界観でもあるんですよね。

神秘的でミステリアスなところは通じるものを感じます。実際に聴かせていただくと、同期重視の淡々とした空気感から始まり、和の匂いも交えつつバンドサウンドへの展開もあって、なかなか複雑な構成だなという印象でした。

atsuko
まさに、その“いろんなもの詰め込みました”感がangelaらしさになった気がするんですよね。
KATSU
主人公のスズシロウが朝靄の中で新聞配達をしている情景が目に浮かんじゃったんで、幕開けはそういった世界観に合う音楽にしようと。僕、中学生の時に三日間だけ新聞配達を手伝ったことがあって(笑)、みんなが寝静まっている時にひとりで出かけていく心細さとか、夜が明けて蒼い空がどんどん金色に輝いていく景色とかが印象に残っているんですね。だから、作品のテーマや登場人物の想いを歌うというよりも、楽曲の持つ空気感が『永遠の831』という作品にリンクしたものになればいいなと。

それで冒頭の歌詞が《朝靄に霞む》なんですね。確かに夜明け前から空が白む時間帯に外を歩いていると、世界に自分ひとりが取り残されたような気持ちになったりします。

KATSU
それです! で、サビで楽曲の雰囲気が急展開するのは、季節の変化を表しているんですよ。『永遠の831』って“終わらない8月31日”というのがテーマにあるので、最後に季節を前に進めることで主人公が一歩踏み出す感じを表現できれば、この曲がエンディングに流れた時に良い締めになるんじゃないかと思ったんですね。それで春のムードを出したら、結果的に和になったんです。やっぱり日本人にとって、春って始まりとか出発とかのイメージが強いじゃないですか。そういう世界観重視な作り方は、今までとは違うスタイルだったんで結構苦労しましたけど。
atsuko
私もシナリオを読んだ時、“自分は何者なんだろう?”とか“何のために生まれたんだろう?”“どこから来てどこに行くんだろう?”っていう、誰もが根底に持っている普遍的な問いを考えさせられるアニメだと感じたんです。観終えたあとには“さぁ、君はどうする?”と言われているような気がして、最初に歌詞の第一稿を出した時に“もうちょっと前向きさが欲しいです”というリクエストもいただいたのもあり、“歩き出す”っていう言葉を入れました。あとは、情景がきれいだなという印象もあったので、それこそ“朝靄”とか“桜”とかっていう、周りの景色が見えるような単語も使っていますね。

“火影”とか“光”とかもそうですよね。ちなみに1番の《色の無い未来》と2番の《色の有る未来》というサビの対比は何を指しているんでしょう?

atsuko
未来って希望を持たなければ色がないのに、希望を持って一歩を踏み出すと、急に色がつくような気がするんですよね。主人公のスズシロウは意図せず周りの時間を止めてしまえる能力を持ってしまって、最初は自分が何者なのか、どうすればいいのか分からないんですよ。言わば“色の無い未来”だったのが、後半では自分が一歩を踏み出すことによって未来が色づいていく…っていう、そういう対比を出したかったんですよね。

なるほど。atsukoさんのヴォーカル表現も美しい景色や世界観の中にエモーションを滲ませているようで、いつもとは少し違って聴こえました。

atsuko
私、どちらかと言うと大声でワーッ!と歌うタイプのヴォーカリストですからね(笑)。歌い始めはあまり感情を入れず、機械的なエフェクトもかけられているので、“なるべく淡々と歌ってほしい”というオーダーがあって。Bメロあたりから靄がだんだん晴れて世界が見えてきて、サビに向けて季節も変わっていく中で“ひとひらでもいいから未来に希望を持って進んでいきたい”という想いを表すには、あんまり感情が入りすぎないほうがいいのかなと思ったんです。そういう“抑えてはいるけれど沸々と燃えているよ”みたいなところを出していくのは難しかったですね。サビで感情的に歌っても、2番ではまた落として淡々と歌わなければならないし、特にライヴだと気持ちがあふれがちだから、初披露になる1月の『永遠の831』先行試写会・舞台挨拶に向けて頑張って練習します!
L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)
配信シングル「ひとひらの未来」

OKMusic編集部

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