【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#237
歌手・小泉今日子の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

映画も本も音楽も、文化や芸術に分類さ
れるものは、本当に、時間も何もかも飛
び越えられる

より

2021年4月5日からスタートした、本をテーマにした小泉今日子によるトーク番組『ホントのコイズミさん』(オーディオストリーミングサービス「Spotify」のポッドキャスト)。今回の名言は、その第一回を記念して行われたインタビューからの抜粋である。小泉は、仕事の間に20〜30分余裕ができ、マネージャーに寄りたいところを聞かれると、必ず「本屋さん」と答えるほどの読書家。2005年からは、読売新聞の読書欄で書評を担当し、高い人気を得る。書評の依頼が来た時、「そんなのできるわけがない」と思ったものの、小泉が「恩師」と呼ぶ演出家の久世光彦の後押しがあり実現したという。久世からは「時々、『読んだよ』って。いつもそうやって見守ってくれましたね。たまには叱ってもくれましたし。私は、そういういい大人たちにいっぱい出会って、本当にいろんな扉を開けてもらった」と振り返る。

小泉が『ホントのコイズミさん』をやることにしたのは、「私の好奇心の扉を開いてくれた、そういう一人の大人でいたい思いがあるかもしれない」と語り、「映画も本も音楽も、文化や芸術に分類されるものは、本当に、時間も何もかも飛び越えられる」という言葉に繋がる。「100年前の文学を読んで、100年前の映画を見て、私たちは感動することができるでしょう? それってすごいこと」と語る小泉。ここで、「大きな役割でいうと“過去と未来を繋いでいくこと”なんだろうな」と自分が生まれてきた意義を見出している。「子供を産んで育てられている人は、血を繋げていくことができている。でも、それをできなかった私は、せめて文化とか、想いとか、何か別のことを繋いでいかなければならないのでは」と小泉。これは多くの表現者や表現に触れる者が心すべきことではないだろうか。
小泉今日子 (こいずみきょうこ)
1966年2月4日生まれ、神奈川県厚木市出身。歌手、女優、歌手、文筆家、プロデューサー、株式会社明後日代表取締役。1981年、オーディションテレビ番組「スター誕生!」に出場し合格。1982年、シングル『私の16才』にてアイドル歌手としてデビュー。1983年、テレビドラマ「あんみつ姫」(フジテレビ)で主演に抜擢され女優デビュー。1984年、「渚のはいから人魚」がヒットし「第35回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。1991年、テレビドラマ「パパとなっちゃん」で主演。同作の主題歌「あなたに会えてよかった」は作詞と歌唱も担当し約158万枚のセールスを記録する。「第33回日本レコード大賞」にて作詞賞とゴールドディスク賞を受賞。2005年、読売新聞の読書委員に就任し、日曜読書面で書評を執筆する。2011年、映画『毎日かあさん』で、元夫の永瀬正敏と夫婦役で共演し話題を呼ぶ。2013年、連続テレビ小説「あまちゃん」に出演。劇中歌「潮騒のメモリー」がヒット。2015年、制作会社明後日を設立。2016年、舞台『日の本一の大悪党』で演出とプロデュースを手掛ける。2017年、テレビドラマ「監獄のお姫さま」で主演。2021年、上田ケンジとユニット・黒猫同盟を結成。「Spotify」オリジナル・ポッドキャスト番組『ホントのコイズミさん』のオリジナルテーマ曲を作成。同年、アルバム『Un chat noir』をリリースしてデビュー。2022年1月、TikTokでの配信を開始。2022年2月4日、公式YouTubeチャンネル「小泉今日子」を開設。2022年2月18日、神奈川相模女子大学グリーンホールを皮切りにデビュー40周年を記念した全国12都市全15公演の全国ホールツアー<小泉今日子 TOUR 2022 KKPP (Kyoko Koizumi Pop Party)>を開催する。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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