鈴木このみ

鈴木このみ

【鈴木このみ インタビュー】
歌っている時は無敵だと思える
“ULTRA”なアルバムになった

どんな時代にいたとしても
逞しく生きていけるわよ!

さらにアルバムは後半へと進んでいきまして、12曲目「メロディックロードムービー」と、ラスト13曲目「Ordinary Wish」を迎えるわけです。まず「メロディックロードムービー」から訊いていきましょう。私個人的にはアルバム『ULTRA FLASH』のベストトラックだと。この歌のテンションの高さは一体何でしょうか?

あはは(と目の前のテーブルを叩きながら笑う)。叩いちゃった(笑)。

(笑)。サウンドがどうとかコード感がどうとか、もっと言っちゃえば、歌詞がどうとかとか、この伊東歌詞太郎さんとのデュエットはそういうものは超越しているのではないかと思うんですが。

うんうん。私が先攻だったんですよ、歌録りが。歌詞太郎さんには後攻で録っていただいて、実はレコーディングしている時は独りの世界で。もちろん“歌詞太郎さん、こうやって歌われるのかなぁ?”っていう想像はしながらも、わりと好きなように歌わせていただいたと言いますか。

私はデュエットというところで、伊東歌詞太郎さんのヴォーカルの熱に当てられたようなところもあったのかなと想像もしたんですが、それは逆に失礼な想像だったかもれませんね。

いえいえ(笑)。私的には男女デュエットというところで、いつもの勢いはそのままに女性らしさみたなものをパートパートで少し意識したりとか、そういうところはかなり気をつけて歌いました。

歌に迫力があるんですよ。あんまりうまい例えじゃないかもしれませんが、この「メロディックロードムービー」のヴォーカルは400メートル走を全力で走り抜けるような感じがします。

あぁ、そうですね。メロディーもかけ合いで重なって高まっていくというか、重なり合った時に高まり合う効果があるというか、楽曲としてそういうものもすごく感じますね。

スポーツの爽快感に近いものを感じますし、冒頭でタイトルチューン「ULTRA FLASH」は“夏が似合う、青空が見えるような楽曲にしようという想いがあった”とおっしゃっていましたが、こちらも夏っぽいですよね。青い感じがします(笑)。

うんうん。あと、人生の総集編みたいなイメージもあり、すっごいいっぱい駆け抜けたあとで“あぁ、気持ち良かった!”って寝転んでいるイメージもあったので、この曲は12曲目という最後のほうに持ってきました。

あと、今日のインタビューの冒頭で“今は本当に歌うのが楽しくて、歌の2回目の成長期が来ている”ともおっしゃっていましたが、そういうところも溌剌とした感じに出ているのかもしれませんね。

アルバムを通して聴いた時、“すごくすっきりしてるなぁ”っていうのは感じますね。まぁ、タイトルが自信満々なので、ドシッとしているというか、“どんな時代にいたとしても逞しく生きていけるわよ!”っていう感じというか、“誰かが見逃そうとしても、このアルバムで捕まえてあげる!”というか(笑)…そんな勢いを込めたいと思って構成も考えていたので、そういうふうに受け取っていただけるのは嬉しいです。

フィナーレ感というか、大団円感というか、そういう感じでしょうか。このアルバムで「メロディックロードムービー」はこの位置がベストでしょうね。で、その次が「Ordinary Wish」。ラストに「Ordinary Wish」を置いたのは何かしらの意図を感じました。というのは、この楽曲はこれまでの鈴木このみ作品とは異なるものであると同時に、本作収録の他の楽曲とも雰囲気が違っていると思うのですが。

はい。これは私が作詞を担当させていただくことが決まっていたんですけど、“これは絶対に伝えておかなきゃ!”ということがちゃんと詰められた曲になったと思っていて。完全にメッセージという意味合いで、最後にみんなにお手紙を渡す…みたいな(笑)。12曲目まででいろんな鈴木このみを見せてきたけど、最後に“等身大の鈴木このみを見てもらえたらな”と思ったりもして、「Ordinary Wish」は“部屋の中の鈴木このみ”がいるというか(笑)。大勢の人に話かけているというよりは、部屋の中でただひとりの貴方に対して歌ってるという絵が見える曲でアルバムを締めたいと思いました。

《「本当ありがとう」》という歌詞もありますし、聴いてくれる人たちに向けて感謝の想いを込めて…というところでしょうか?

そうですね。“《ありがとう》って書くのはダサいかな”とも思ったんですけど、“でも、そう思ったんなら何回言っても良くない?”という気持ちもあったりして。伝えたくても伝えられなくなる可能性もあるわけだし、そういうことは少しずつ自分の考え方を変えてくれたんだと思うんですけど、「Ordinary Wish」はすごく素直に書けたんじゃないかと思います。

「Ordinary Wish」はサウンドも面白いんですよ。メロディーはちょっとネオアコ寄りのロックといった印象なんですけど、音は完全デジタルなので、他でもあんまり聴いたことがないかもしれません。

もともとのアレンジはバンド寄りだったんですよ。それをデモレコーディングをした時に“もう少しデジタルな要素を足したい”ということになりまして、編曲をfhánaのyuxuki wagaさんにお願いしたんです。特にここ最近はシングルもそういう要素があるし、昔の楽曲よりはデジタル要素を取り入れる曲も増えてきたんで、ここで大胆に取り入れてみました。

OKMusic編集部

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