Amazonオリジナルドラマ「GAME OF SPY」に主演する東山紀之 (C)東映株式会社

Amazonオリジナルドラマ「GAME OF SPY」に主演する東山紀之 (C)東映株式会社

55歳で超絶アクション披露の東山紀之
「これまでやってきたことが実を結ん
だ」 Amazon Originalドラマ「GAME
OF SPY」【インタビュー】

 東山紀之が主演する日本発の新感覚スパイアクション、Amazon Originalドラマ「GAME OF SPY」(全10話)が6月24日から、Amazon Prime Videoで独占配信中だ。本作は、世界中の犯罪者からターゲットにされる日本を舞台に、依頼が入ると冷静かつ迅速に任務を遂行する法務省外局・公安調査庁に設置された極秘スパイ機関「GOS=Global Operation Service」の諜報(ちょうほう)員が、人知れずこの国を守るために活躍する姿を描いたスパイアクション。主人公の羽柴猛を演じる東山に、作品の見どころ、撮影のエピソードなどを聞いた。
-本作の企画の経緯として、東山さんから「地上波でできないような激しいアクションをやりたい」という希望があったと聞きました。
 いやいや、企画は皆さんが。そんな大それたことを僕は言いません(笑)。ただ「より強い表現でできたら」という思いはもともとありました。監督はドラマ「刑事7人」(テレビ朝日系)でお世話になっている方でしたし、監督が「よりハードなアクションをやりたい」ということだったので「あっ、何か面白そうだな」と思って、身を任せた感じです。
-初めて脚本を読んだときの感想は?
 自分の肉体を使ってどこまで表現するのかが、勝負になるなと思いました。また、今の世界情勢を考えると、こういうことも確かにあり得るな…と思える内容だったので、それをエンターテインメントとしてどう見せるのか、そんな可能性を感じさせてくれる脚本でした。
-羽柴は、軍隊格闘のカリ・シラットに、手裏剣や吹き矢、かぎ縄など、日本古来の忍者道具を融合させた超絶アクションを繰り出します。撮影のため、特別なトレーニングはしましたか。
 僕は、20年近くボクシングとキックボクシングをやっていたので、それが今回役立ったというのはあると思います。いつ何が来てもいいように準備はしていたんです。だから、これまでやってきたことが今回、実を結んだ感じがしますね。
-実際のアクション撮影はいかがでしたか。
 アクション監督、アクション部が非常に熱いので、僕の想像を遥かに越えたものを作ってくれました。僕もアクション部のリクエストになるべく応えられるように頑張りましたが、大変でした。夜中の2時ぐらいまで人を殴っている日もありましたから(笑)。全員が“ゾーン”に入ったような感じで、非常に不思議な時間でした。受ける側の人も「何がきても大丈夫です」と言ってくれるので、安心して、互いに遠慮なくやった感じです。
-まさに監督のリクエスト通り“傷だらけでボロボロ”の東山さんが見られるのでしょうか。
 はい。毎日こんな感じでやっていたので、家に帰ると家族がびっくりすることはありました(笑)。スパイ役ということで、殻を破って思いっ切りやれたので楽しかったです。
-撮影中に、これは限界かも…と感じた瞬間は?
 いや、それはなかったかなあ。うん。限界かも…と思うことはなかったですね。
-手裏剣など、忍者道具を使うのは結構大変だったのでは?
 そうですね。ただやはり武器として優れているなと。昔からあるもの、特に日本の武器というのは“技術”でもあるので、そこにある“美”も含めて、大変よく出来ているなと感じました。今回は世界配信なので、日本の昔からの武器や文化、美しい景色も含めて、その良さを世界に発信できたらと思います。
-羽柴の人物説明に、「戦い方は一言で表すと『無謀』。高い所、寒い所…過酷な所ほど好き」とありますが、東山さんとの共通点はありましたか。
 羽柴は行き当たりばったりで、とりあえずやろう、みたいなところがありますが、僕はもうちょっと慎重にやるタイプ。全く共通点はないと思います。僕は鼻血も出さないし、ひげも生やさないので(笑)。
-羽柴は「痩身(そうしん)の孤高の男」とありますが、体を絞ったりはしましたか。
 僕は常に絞っているんです。いつでも応えられるように。監督から「あそこからジャンプしろ」と言われたら「分かりました」と言いたいタイプなので。
-羽柴は決して完璧な男でもない?
 そう。すごく強いわけじゃない。初っ端から結構ボロボロにやられているし、ブルース・リーみたいに圧倒的な強さでもない。でも任務を遂行させるために、めちゃくちゃ頑張る、そういう男だと思います。不完全なところがこのキャラクターの面白いところですね。
-特に印象に残っている共演者はいますか?
 (謎多きスパイ・檜山レイ役の)ローレン(・サイ)ですね。海外から一人で来て、知らないおじさんたちの中で、本当に孤独の中で頑張っていたと思います。とてもすてきな女性でした。ローレンは、大変絵がうまくてね。待ち時間はずっと絵を描いていて、チラッと見たけど、すごかったです。いまや高値で売れるという…。僕も1枚描いておいてもらえばよかったな(笑)。慣れない状況の中、ローレンが日本語も頑張っている姿を見ると、僕らも頑張らなきゃなと思いました。
-日本を守るため、人知れずスパイとして闘う羽柴ですが、東山さんが、陰ながらやってきた、守ってきたものはありますか。
 僕個人ですか? ハハハ(笑)。難しい立場だからね。ただ僕は割とコツコツやるのが好きなので、目の前のことをちゃんとやろうというのはありました。デビューしてからも、そういう意味でのコツコツさ加減というのは変わっていないと思います。特に野望もなかったし。そんなに大それたことは考えないです。
-これだけは守りたい、みたいなものは?
 自分が持っているペースはちゃんと守りたいかな。こういうことをちゃんとやっていくという自分のペースです。
-50代半ばでこのような作品に挑戦して、新たな発見はありましたか。
 55歳で、アクションものの話が来るのはありがたいことだと思いました。僕もまだまだできるぞ、というところを見せたかったし、実際そんなに苦でもなかったので。真田広之さんも61歳でハリウッドでアクションをされているし、もはや年齢制限はないのだと思います。また“じじい”が頑張ったら、うち(ジャニーズ)の後輩たちも頑張るんじゃないかな。(僕が)これだけ動いたら文句言えないよね、みたいなところは、ちょっと望みとしてあります。
-東山さんがここまで激しいアクションをすると、後輩たちは「あそこまではできない」と思うのでは?
 そういうふうに思ってもらえたらうれしいです。やはり肉体を使って何かをやるというのは分かりやすいので。逆にいうと、みんなも頑張っているし、木村(拓哉)のドラマ(『未来への10カウント』)を見ましたけど、50歳でボクシングドラマをやるというのは大変なことなので、そういう意味で、僕も刺激を受けました。だから先輩、後輩とかは関係なく、双方が表現者として互いに刺激し合えば楽しいのかなと思います。まあ、僕は生田斗真みたいに、映画『土竜の唄』であんなにスッポンポンにはなれないですけどね。あれは大したものですよ。よくできるなって思います(笑)。
(取材・文/山中京子)

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