今年は全国4都市で開催へ!中村獅童
×初音ミク『超歌舞伎2022』製作発表
会見レポート

歌舞伎俳優の中村獅童と、バーチャルシンガーの初音ミクが競演する『超歌舞伎』。2016年の「ニコニコ超会議」にて誕生して以来、古典歌舞伎と最新技術が融合した全く新しい歌舞伎公演として上演を重ねてきたが、2022年8月4日(木)から開幕する『超歌舞伎2022 Powered by NTT』は、東京・京都・福岡・名古屋の全国4都市での上演が決定した。
7月6日(水)、都内で本作の製作発表会見があり、中村獅童、初音ミクのほか、リミテッドバージョンで初音ミクの相手役を勤める澤村國矢、獅童の息子である小川陽喜(東京公演全日程、京都公演8~11日出演)が登壇し、作品の見どころや『超歌舞伎』への思いを語った。
中村獅童
ーーまずはご挨拶をお願いします。
中村獅童:『超歌舞伎』は2ヶ月、4都市で公演をさせていただけるということで、とても嬉しく思っております。私の長男の小川陽喜も出演させていただきます。よろしくお願いいたします。
小川陽喜:小川陽喜です。よろしくお願いします。
澤村國矢:2016年から『超歌舞伎』に参加させていただきまして、昨年に引き続き南座でやらせていただくことはもちろん、今回は博多座、御園座、新橋演舞場、南座と4座でやらせていただくわけでございます。その中でリミテッド公演が南座だけでございましたけれど、今回は東京の新橋演舞場でさせていただけるということで、本当にドキドキしております。どうぞよろしくお願いいたします。
初音ミク:みなさん、こんにちは!中村獅童さんをはじめ皆様とともにパワー溢れる素敵な舞台をお届けできるよう、お稽古に励んでいます。私たちの想いがつまった作品を劇場でぜひご覧ください!
ーー全国4ヶ所を巡るということについてのお気持ちを改めて教えてください。
獅童:嬉しいです。博多も大好きですし、御園座もたびたび出演させていただいておりますので、そういうことで新しい歌舞伎ができることは嬉しく思います。
小川陽喜
ーー陽喜くんも一緒ですね。
獅童:夏休み返上で頑張ってもらうしかないんですけど。ライバルですから。最近は『超歌舞伎』の宣伝で、バラエティ番組にも親子で出演させていただいているんですけど、カメラはほとんど陽喜の方ばかりを映して、僕はあまり映してもらえなくて、ちょっと腹立っています(笑)。
ーーお父さんがライバルだと言っていましたが、陽喜くんにとってはライバルですか?
陽喜:……ライバルじゃない。
ーーどんどん日々成長していく陽喜くんを側で見ていて、すごいなと思うところは?
獅童:どんどん僕に立ち向かって来るところですかね。僕も大人気ないので、本気で喧嘩する時もあります。何回かそれで陽喜を泣かせてしまったこともあって、反省しています。本気になっちゃうんですよね。
陽喜は喧嘩をしても「パパと寝る」と言って、僕のところに来るんですよ。そこはすごいというか、50歳の僕がふてくされていても「パパごめんね」と先に謝ってくれて。そういうところも悔しんですけど、そういうところは大人っぽいので、すごいなと。
中村獅童(右)、小川陽喜
ーー陽喜くんはお父さんとの共演についてどう思いますか?
陽喜:楽しいです。
ーー歌舞伎をやっているお父さんはどうですか?
陽喜:格好いいです。
ーー好きな歌舞伎俳優はいますか?
陽喜:……。
獅童:(小声で)歌舞伎で誰が好き?パパでもいいんだよ?
陽喜:……パパ。
ーー澤村さんから見て、陽喜くんの成長は感じますか?
澤村:すごく感じますね。コロナ禍であまりお会いすることできなかったんですけど、今回の公演で共演させていただいて。1月の歌舞伎座でも拝見しましたけど、その1月からもさらに見得が上手くなっていたり、良い間で引っ込んでいったり。これは将来末恐ろしくなるなと感じております。
中村獅童(右)、澤村國矢
ーー俳優としてはライバルということですが、父親としてはどうあってほしいですか。
獅童:歌舞伎も自分からやりたいと言って始めたことですから、好きなことをどんどん、ね。すくすく育ってくれたら嬉しいですし、歌舞伎も途中で嫌になったら辞めていいと思うし、好きじゃないとできないことだと思うから。よく歌舞伎のお家って、将来が決まっていて大変ですねと言われたりするんですけど、全然そんなことなくて、うちの場合は特に父は早くに廃業していますし、僕は自分が好きでやりたくてこの世界に入らせていただいたので。
どこか、息子が「自分もやってみたい」と言うのを待っていた部分はあるかもしれないですけど、「僕もやってみたいなぁ」と陽喜が言ったので。だったら責任持ってやりなさいということで、こうやって大舞台に立たせていただけるということはありがたいです。
中村獅童(右)、小川陽喜
ーー改めて、今回の一番の見どころは?
獅童:NTTさんの技術が年々どんどん進歩しているので、デジタルの進歩と、初音ミクさんの歌舞伎の上達ぶりというか、踊りが年々うまくなっている。バーチャルの技術と、古典歌舞伎との融合という部分で、どんなものができるか。これは本当に観ていただかないと分からないと思いますので、とにかく観てほしい。それからペンライトですね。ペンライトを振って観る歌舞伎は『超歌舞伎』だけなので。
京都公演をやったときも、普段、和服をお召しになって来てくださっているお客様も、最後はペンライトを振ってご覧になっていて、すごく嬉しかった。夏の暑いときのお祭り気分でご来場ください。歌舞伎というとどうしても敷居が高くて難しそうなイメージがあると思うんですけど、お祭りに行くような感覚で楽しんでほしいと思います。
若い方たちや歌舞伎を知らない方たちに知っていただく。それが僕自身の使命だと思っております。『超歌舞伎』を通して歌舞伎に少し興味を持っていただいて。今、大変な時期ですけど、ルールを守りながら、皆さんに楽しんでいただけるよう、全身全霊で今の思いをお客様に全てぶつけていきたいなと思います。
初音ミク
ーー演出面での魅力は?
獅童:バーチャルの技術で言うと、LEDパネルも新しいものになりますし、劇中で相撲をとったりする場面があるんですけど、そこで使う映像も迫力がある。相撲と立ち回りと、ちょっと出てくる陽喜になるんですかね(笑)。
澤村:僕がやったボリュメトリックという技術でございまして、360度のカメラから全方位取って、それを抽出して、デジタル上にミクさんと同一に存在するような技術でございます。
獅童:それから最初の『超歌舞伎のみかた』は、國矢さんと(中村)蝶紫によるトークなんですけど、その中でも新たなNTTさんの最新技術があるかもしれません。まだ詳しく言えないですけど。とにかく盛りだくさんなので、お腹いっぱいになって、楽しんでいただけるのではないかなと。
南座の時は、お年を召した方もペンライトを振って、「こんなに楽しいなら、孫連れてこよう」という方もいたので、幅広い世代の方たちに最新技術と歌舞伎の融合する舞台を楽しんでいただけるのではないかなと思います。
中村獅童(右)、初音ミク
ーー16年に始まった時には、今回のように全国の歌舞伎専用の劇場で公演ができることは予想されていたのか、いつかやってやろうという気持ちいたのか。どう思われていたのですか。
獅童:これだけの規模の劇場でやらせていただくまでに、7年かかっているんですね。「初音ミクさんと歌舞伎で何やるの?」と、普通思うと思うんですよね。ただ、これは観ないと分からなくて。当時は色眼鏡というか、何ができるんだという空気もあったんですけど、やっぱり7年間諦めずに今日まで応援してくださったミクさんのファンの方たちとか、サブカルチャー好きの若者たちが『超歌舞伎』というものを育ててくれて、ひとつのジャンルとして作ってくれた。
我々といつも幕張メッセに集まってくださる『超歌舞伎』ファンの皆さまとの友情といいますか。やっぱり初演の時からいつか歌舞伎の劇場に進出してやるということは正直、思っていましたね。やってやる、と。だから南座が決まったときは少し時代が動いたのかなという気持ちになりました。
伝統と革新を追求していくのが中村獅童の生き方です。与えられた役割や運命があるとしたら、僕はこういうことをやって、少しでも多くの他ジャンルの人たちを振り向かせることが使命。いつでも闘志はあるし、時代を動かしたいとか、歌舞伎をもっともっと変えていきたいとか、歌舞伎界を変えていきたいと思っています。
澤村國矢
リミテッドバージョンというのはお弟子さん筋にあたる人に主要な役、それで國矢さんにも主役をやってもらったりしています。『超歌舞伎』に出演していない、よそのお弟子さんたちも、頑張ればいい役ができるんだという一つの希望の星になればいいと思うし、もっともっとお弟子さんたちが活躍できるような公演が増えていくことを切に願うばかり。僕も微力ながらやれることはやっていこうかなと思っています。
そうしないと変われないと思うので。大切なものは残して、要らないものは捨てていかないと、やっぱり何も変わらない。未来に向かって20年後、30年後、50年後、自分たちがこの世から去った後も、歌舞伎という一つの演劇が、その時代その時代、今を生きる演劇として残っていったら楽しいなと思いますね。
そして自分たちがいなくなった後、もしかしたらこれが100年後に古典として残っているかもしれないですから。そういった未来への思いや夢を見続けることができるのもまた歌舞伎の楽しいところ。未来に向かって突っ走って行きます。
小川陽喜
中村獅童
取材・文・撮影=五月女菜穂

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