ムーンライダーズ+佐藤奈々子

ムーンライダーズ+佐藤奈々子

【ムーンライダーズ+佐藤奈々子
インタビュー】
その時代の豊かな音楽だったり、
輝きを楽しんでもらえたらいいなと

1979年1月28日にTOKYO FM『デンオンライブ・コンサート』でオンエアされたムーンライダーズと佐藤奈々子とのスタジオライヴ。その放送があったことも知らないファンも少なくなかった、まさしく“幻のライヴ”が今夏、『Radio Moon and Roses 1979Hz』としてCD音源化された! 今回の経緯と当時の記憶をレジェンダリーシンガーである佐藤奈々子にうかがった。

何がすごいって、
若くて美しい輝きにあふれている

『Radio Moon and Roses 1979Hz』は1979年1月にオンエアされたムーンライダーズと佐藤奈々子さんとのスタジオライヴが収録されたものですが、43年経ってのCD音源化という極めて稀なケースではないかと思います。佐藤さんのInstagramを拝見しましたら、“不思議な経緯をたどり、リリースされることになりました”とありました。どのように不思議だったのか、まず本作の音源化に至る経緯をおうかがいしたく思います。

確かに1979年に私たちはラジオライヴをやったわけです。だけど、それはやったというだけで、その後、私たちはそのラジオを聴いたこともなく、流れたままで。それが2年前くらいかな? 私のデビュー当時のバックバンドをやっていた友達が、私のライヴを観に来て、“友人からこれを”と言ってCD-Rをくれたんですね。でも、白盤で何も書いてないから聴かずにずっと置いていて。で、しばらく経って家のCDを整理した時、“これは一体何だろう?”と思って聴いてみたら、すごいものが入っていてびっくり! 玉手箱が開いたみたいで(笑)。“どうしよう! どうしよう!”となって、すぐにムーンライダーズの岡田 徹くんやマネージャーの方に聴いてもらい、みんなで“すごい! すごい!”となって(笑)。何がすごいって、いろんな素晴らしさはあるんだけど、まず若くて美しい輝きにあふれている。特に鈴木慶一さんの声が素晴らしく、今までリリースされたアルバムとはまた違う…本当に素晴らしい歌で。自分も若くて可愛らしい歌声だったし、ムーンライダーズのみんなもそういうものにあふれていた。しかも、録音状態が素晴らしくて! そもそもラジオライヴで音質が良かったから、カセットに…そうそう、おおもとはカセットなんです。

ラジオ番組をカセットテープに録音したものをCD-Rに落としたんですね。

ええ。その音源をくださった方は、今、中古レコード屋さんをやっていらして、その方が若い時分にエアチェックしたカセットをずっと持っていて、それをデータ化して、そのコピーを私にくださったんです。後日、ムーンライダーズのファンクラブの方々に訊いてみたんですよ。“そのラジオ番組を聴いてエアチェックしたことがある人はいますか?”って。そうしたら、聴いたことがある人がひとりかふたりいらしゃったんですが、エアチェックした人は誰もいなかった。だから、本当に貴重なものなんですよ(笑)。

オンエア日は1979年1月28日だったそうですが、これは生放送だったんですか?

そうなんです。“生放送でこのクオリティーって素晴らしいなぁ”って。

当たり前ですけど、全て一発録りでしょうし。

一発録りもそうだし、やっぱり録音のクオリティーですよね。豊かな時代の録音技術で切り取ってくださった気がします。この音源は本当に豊かさそのままの音がして、カセットの音というプラスもあって、すごくいいんですよね。

ん? 今回のCDの原盤はカセットテープでエアチェックしたものなんですか!?

そうです。最初はCD-Rをいただいたんですけど、そのレコード屋さんが“カセットも差し上げます”って送ってくださり、それをコロムビアさんがデータにしてくださって。

それはちょっと驚きですね!

カセットって本当にいい音がするんだなって。でも、もとの音もいいんでしょうね。とっても大きなスタジオだったことを覚えています。演奏を録音するためのスタジオでしたね。それで、だんだん記憶も蘇ってきて…。

1979年1月28日当日の空気感も蘇ってきましたか?

最初は全然覚えていなくて。確かにライヴをやってことは覚えているんですけど、“どこでやったっけ? どんなだったっけ?”って。でも、聴いていくうちにだんだん蘇ってきて、まず感覚として“広いスタジオだった”とか“こういう感じのスタジオだった”とか、そういうことが思い出されて。でも、“そのためのリハーサルをしたっけ?”とか、そういうことは覚えていないんですよね(苦笑)。

ムーンライダーズのメンバーは何かおっしゃっていましたか?

そんな記憶が鮮明な人はいなくて(笑)。

まぁ、40年前ですもんね。そもそも佐藤さんとムーンライダーズが一緒にスタジオライヴをやることになったのは…これも覚えていらっしゃればになりますが、どういう経緯だったのでしょうか?

それがムーンライダーズ側からの提案だったのか、私側からだったのかはよく覚えていなくて…。

佐藤さんがムーンライダーズのライヴに参加していたり、佐藤さんのアルバムにムーンライダーズのメンバーが参加されていたり、お互いに交流があった時期であって、それも関係していたのでしょうね。

それはきっとそうだと思います。今も交流はありますけど、結構いろんなことをやっていた時期ではあったと思います。

佐藤さんの3rdアルバム『Pillow Talk』が1978年10月のリリースで、『Radio Moon and Roses 1979Hz』収録のスタジオライヴは1979年1月のオンエアですしね。

きっといっぱいいろんなことを一緒にやっていたんでしょうね。
ムーンライダーズ+佐藤奈々子
アルバム『Radio Moon and Roses 1979Hz』

OKMusic編集部

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