神山智洋(ジャニーズWEST)がいつも
幽霊を連れている男に 稲葉賀恵演出
で、安部公房の『幽霊はここにいる』
を上演

2022年12月8日(木)~26日(月)東京・PARCO劇場、2023年1月11日(水)~16日(月)大阪・森ノ宮ピロティホールにて、パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』が上演されることが決定した。
作家として芥川賞をはじめ数多くの賞を受賞し、劇作家としても多数の作品を発表した昭和を代表する作家・劇作家・安部公房。演劇集団「安部公房スタジオ」を立ち上げ、自身で作・演出を手掛けるほか、俳優の育成など演劇活動にも積極的に取り組んでいたことも知られている。PARCO劇場(当時の名称は西武劇場)では、1973年のオープニング記念公演『愛の眼鏡は色ガラス』をはじめ、安部公房の作・演出作を数多く上演してきた。そして今回、43年ぶりに安部公房作品を上演することとなった。
演目は『幽霊はここにいる』。1958年に千田是也演出、田中邦衛主演で俳優座劇場で初演、1958年度岸田演劇賞を受賞し、翻訳版がヨーロッパなど世界各国でも上演され、国内でも度々上演されている傑作戯曲だ。「前衛的」「不条理」「超現実的」といった言葉で表現される安部公房らしいナンセンスに満ちた喜劇的作品であり、コーラスなど音楽的要素もを効果的に取り入れたエンターテインメント要素の強い作品でもある。
本作品に挑むのは、PARCO劇場初登場となる文学座の若手で注目の演出家、稲葉賀恵。翻訳古典劇から日本の近現代劇まで様々な戯曲と真摯に向き合い、その丁寧な演出で高い評価を得ている気鋭の稲葉が、PARCO劇場で新たな歴史を刻む。
そして主人公で、幽霊を連れており会話ができるという謎の男・深川啓介を演じるのは、ジャニーズWESTとしての活動に加えて舞台にも定期的に出演し、昨年は『LUNGS』で二人芝居に挑み高い評価を得た神山智洋。演出の稲葉と同じく、本作でPARCO劇場に初登場となる。
戦後の混乱がまだ残る日本のとある町で、深川と出会った男が思いついた怪しげな珍商売「死人の写真 高価買います」。当初は全く相手にされなかったこの珍商売が、町全体を巻き込んだ大事業に発展していき……という物語。
死がかつてない身近さと、実感のなさを伴うようになった現代で、人は「死」とどうやって向き合い生き続けていくのか。実体の見えないものも商品になり得る昨今、現代にも通じる物語を、稲葉✕神山のタッグがどのように描くのか、期待しよう。
【物語】
元・上等兵で、いつも幽霊を連れているという不思議な男・深川啓介(神山智洋)。
深川は、いつも自分のそばにいる幽霊の身許を捜しているが、幽霊は生きていた頃のことは覚えておらず、自分がどこから来たのかを知りたがっていた。その捜索の途中で、深川は胡散臭げな風体の男と出会う。大庭三吉と名乗るその男は、深川が幽霊と会話出来るということを聞き出すと、これはいい商売になると考え、自分も一緒に身許を探す手伝いをすると言う。
深川と大庭は「死人の写真 高価買います」というビラを町中に貼り、幽霊の身許捜しを始めるが……

稲葉賀恵 コメント
赤い絨毯とシートが広がる旧PARCO劇場に初めて足を踏み入れた時のことを今でも鮮明に覚えています。私にとってあの空間は、夢の製造所のような特別な場所でした。幼い自分が興奮したあの空間で作品を描くことが出来るなんて、お声がけ頂いた時は嬉しさと緊張で武者震いしました。
以前からこの戯曲の、シュールだけれど夢夢しい、安部公房の人間に対しての鋭い眼差しとエンターテイメントとしての面白さの絶妙な色合いに魅了されておりました。そして、死者と生者が同じ舞台に立ち記憶と現実の境目をカーニバルのように練り歩く光景を自分の目で見てみたいと強く思ったのです。あのPARCO劇場に幼き日抱いた夢夢しさとこの作品が合致し、是非この劇場でこの作品を立ち上げたいと思いました。
深川という役は、長い時間親友のことを忘れずに思いつづける、純粋で澄んだ心の持ち主です。この純粋な心に周りが動かされ、利用したり、振り回されたりする訳なのですが、それと同時に愛嬌と放っておけなさを持ち合わせた、言うなればとても魅力的な役。神山さんに先日お会いして、そのたおやかさと芯の強さに、さっそく、魅力的な深川をたくさん見つけた気がして、とても楽しみです。一緒に試行錯誤、意見交換しながら作り上げていけたらと思います。
この作品は60年以上前に書かれた作品ですが、奇想天外なコーラスや、ユーモア溢れた言葉たちの数々は全く色褪せずに私たちの心を揺すぶります。誰かや何かを忘れずに思い続ける強かな姿、見えないものを見えると信じたり、過去の記憶に囚われながら現実を生きる弱くて儚い姿、沢山の人間の標本がカーニバルのように連なる景色をこの魅力的なキャスト、スタッフと作り上げていこうと思います。冬の劇場で、ひとつのサーカスのような珍妙で愛すべき人間模様をご披露いたします。どうぞご期待くださいませ。
神山智洋 コメント
新しくなる前も含めて、有名で伝統のあるPARCO劇場から、お話を頂いたことは率直に嬉しかったですし、新鮮な気持ちです。
メンバーに「次の舞台PARCOでやんねん」って話すと、みんなから「えー!」「いいなー。すごいね」って言われました(笑)。
先日、2年ぶりくらいに髪の毛を暗くしたらファンの方達がざわついたんですけど、答えはこれです!(笑)。襟足を伸ばしていたのも、どんな役にも対応できるように準備をしていました!
僕が演じる深川という人物はなんか不思議やなぁ、何か気になるなぁという感じの人。僕は結構ハキハキしているタイプなので、違ったタイプの人間かな、深川はすごくピュアなんやなぁと思いながら、演出の稲葉さんともお話をさせていただきました。
僕自身は、戦争のない平和な時代に生まれていて、戦後の日本の状況はわからないけれど、決して遠い話ではないなと。
本当に大切な人や仲間を失った時に、「幽霊になっても出てきてくれへんかな」と、今の時代でも思うはず。深川は、親友の死を負い目に感じているし、人間の弱い部分を受け入れられなかったんだろうなと思います。
僕は稽古をやりながら考えていくタイプで、周りの人たちの動きやその時自分の気持ちがどう動いたか、ということを大事にしてやっていきたいので、演出の稲葉さんや共演者の方や、いろいろな方たちにご協力、助けていただきながら創っていきたいなと思っています。個人的に演出家さんに厳しいイメージがありましたが、稲葉さんはまったくそんなこともなく、年齢も近いですし、「やってみよー!」というタイプとおっしゃっていたので、お互いパルコ初挑戦ですし、一緒に何度も何度も試して壁にぶち当たっては、よじ登るのかぶち壊すのかを共に考えてもらい、力を合わせて頑張っていきたいです。
僕は目に見えないものもめちゃくちゃ信じるタイプやし、幽霊もいるやろな。とは思ってますけど、この作品の中の深川の周りの人たちは、疑う人も信じる人もいる。観に来てくださるお客様にも、深川を信じたり、疑ったりしてみてほしいな。本当にその日その日で感じ方は全然違うと思うし、今生きていることの幸せを感じられる舞台になると思うので、機会があれば、何度か観に来ていただきたいです。

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