2022年10月2日 at Zepp Haneda

2022年10月2日 at Zepp Haneda

【9mm Parabellum Bullet
ライヴレポート】
『9mm Parabellum Bullet presents
「Walk a Tightrope Tour 2022」』
2022年10月2日 at Zepp Haneda

2022年10月2日 at Zepp Haneda
2022年10月2日 at Zepp Haneda
2022年10月2日 at Zepp Haneda
2022年10月2日 at Zepp Haneda
2022年10月2日 at Zepp Haneda
2022年10月2日 at Zepp Haneda
 約3年振りのオリジナルアルバム『TIGHTROPE』を引っ提げて開催された9mm Parabellum Bulletの『Walk a Tightrope Tour 2022』。本稿ではツアーのセミファイナルとなった10月2日の東京・Zepp Haneda公演の模様をレポートする。

 階下のオーディエンスを覆うように天井から9本のロープが妖しく張られ、さながらサーカス小屋の内部にいるかのような、今回のツアーならではの雰囲気に満ちていたZepp Haneda。メンバー登場時のSEも、お馴染みのAtari Teenage Riotの「Digital Hardcore」ではなく、じんわりと響きわたるアンビエント調の幻想的なサウンドだ。

 そして、『TIGHTROPE』のジャケット写真を模したバックドロップが飾られたステージに、菅原卓郎(Vo&Gu)、滝 善充(Gu)、中村和彦(Ba)、かみじょうちひろ(Dr)、サポートの武田将幸(Gu/HERE)という編成で現れた9mm Parabellum Bulletは、五角形の布陣を組み、赤い照明の中で貫禄の爆音を轟かせ、ライヴをスタートさせた。ディストーションをふんだんに効かせたダークでラウドなアプローチに加え、儚さや切なさもそこはかとなく放ちながら、瞬く間に自分たちの空気を作り上げてしまうのがやっぱり彼らの凄みで、この問答無用のエネルギーはいつ観ても痛快でしかない。しかも、本公演ではスタンディング&フルキャパの環境が復活。待ち焦がれた状況で9mmの圧倒的なパフォーマンスを堪能できる。そんな喜びがのっけから場内にドバッとあふれ出す。

 “ぎっしりだね。めちゃくちゃいい眺めですよ。『TIGHTROPE』は全10曲で35分しかございません。なので、他のアルバムの曲のほうが多いんじゃないかな(笑)”という菅原の言葉どおり、この日は新旧の持ち曲が予測不能な展開で入り混じる、リリースツアーと9mmの自主企画イベント『カオスの百年』が合わさったような最高のセットリストとなった。

 不穏なアレンジとともに9mmのハードボイルドな側面がガツンと出た表題曲「タイトロープ」を筆頭に、サビの部分を《君に会いに来たぜー!》と歌い替えた「白夜の日々」、《手をたたき 歌い 踊れ》と誘うサマーチューン「All We Need Is Summer Day」、コロナ禍の逆境で“楽しむ”ということを改めて意識した「One More Time」、トリプルギターの旨みが際立ったスリリングでメロディアスなインスト曲「Spirit Explosion」、『TIGHTROPE』の特色のひとつであるリバービーなサウンドが映えた「淡雪」「泡沫」など、アルバムからの新曲を軸に据えつつ、「Psychopolis」「Termination」「Supernova」といったバンド初期のナンバーも数多く組み込んだ選曲は、さまざまな事情で彼らのライヴを長らく観られていなかったファンの存在を考慮してくれていたようにも思える。

 また、台風14号の影響によるツアーの福岡公演(9月19日@Zepp Fukuoka)の開催中止を受けて生配信が急遽行なわれたこと。その上で、菅原が“今だけは東京のみなさんを“福岡!”と煽っていいですか? 準備はいいか!? いけるか福岡!!”と画面越しで観ているファンを想って叫んでいたことにも胸がいっぱいになる。さらに、フラストレーションが溜まるご時世だからこそ聴きたかった「反逆のマーチ」、楽曲のメランコリックな世界観が不安の渦巻く現代と見事にシンクロした「The World」、蜘蛛の巣のような柄のライティングが投影された「悪いクスリ」、大量のスモークが立ち込める中で奏でられた「煙の街」などが、“Walk a Tightrope”と銘打ったライヴをますます色濃いものにしていく。

 “『TIGHTROPE』には(お客さんがパンパンに埋まった)こういう景色が見られなくなって以降の日々――置かれた状況の中でライヴをするとか、音楽を作るとかね。そういった部分をそのまま落とし込みました。アルバムを聴いてもし何か共感できるところがあったとしたら、それは俺たちがみんなと同じようなことを考えたり悩んだりしながら、同じような時間を過ごしてきたからだと思います”

 しみじみと語られるMCに再びグッときてしまう。そのほか、暑さがまだ残る今の季節にも相応しい、菅原がアコギを弾いた「夏が続くから」。中村のアップライトベースがリードする、ほんのりジャジーなアンサンブルで届けた「キャンドルの灯を」が場を美しく彩るシーンがあったりも。

 「Cold Edge」では、かみじょうのシャープでヘヴィなドラムがとりわけ輝き、中村のシャウトや得意のカオティックパートも投下され、滝は被っていた帽子を吹っ飛ばして大いに暴れ狂う。もちろん定番曲の「Black Market Blues」、電光石火の如く90秒で駆け抜ける「インフェルノ」などでもオーディエンスを狂喜乱舞させ、2022年の今こそ体験してほしいライヴを繰り広げた9mm。

 菅原は“今日こうやってライヴができて、本当に良かったです。みんな来てくれてどうもありがとうございます!”と清々しい表情で話していた。なお、バンドが結成19周年を迎える2023年にはお楽しみもいろいろ考えているとのことなので、その動向に引き続き注目していきたい。

撮影:西槇太一/取材:田山雄士


セットリスト

  1. アーティスト側の意向によりセットリストの掲載は控えさせていただきます。
9mm Parabellum Bullet プロフィール

キューミリ パラベラム バレット:2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムをインディーズレーベルからリリースし、07年にDebut Disc「Discommunication e.p.」でメジャーデビュー。09年9月9日に初の日本武道館公演を開催し、結成10周年を迎えた14年には日本武道館2デイズ公演を成功させた。16年に自主レーベル”Sazanga Records”を立ち上げ、メジャーデビュー10周年を迎えた17年5月に7thアルバム『BABEL』リリース。18年には期間限定無料ダウンロードというバンド初の試みを行なった「キャリーオン」(映画『ニート・ニート・ニート』主題歌)と、9月に開催した『カオスの百年TOUR』会場限定シングルとして「21g/カルマの花環」を発表。バンド結成15thアニバーサリーイヤーとなった19年には、4月に東京・大阪にて野音フリーライヴ開催し、8枚目となるオリジナルアルバム『DEEP BLUE』をリリース。そして、23年に結成19周年イヤーを迎え、『9mm Parabellum Bullet 19th Anniversary』を開催。1月から12月までの9日、もしくは19日と“9”がつく日には、アコースティックライヴの合わせると15公演を実施し、9月19日には9年振りとなる日本武道館公演も開催。9mm Parabellum Bullet オフィシャルHP

OKMusic編集部

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