Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
老舗ライヴハウスが
YouTubeを使った施策に挑戦

長年ライヴハウスシーンで愛され続け、渋谷店は来年で開店35周年を迎えるクラブクアトロ(以下、クアトロ)。名古屋、梅田、広島にも拠点を構える老舗ライヴハウスが、2022年にYouTubeチャンネル『クラブクアトロofficial』を開設した。ベテランアーティストによるトーク番組や若手バンドが集結したイベントのライヴ映像など、独自のコンテンツを展開する同チャンネルの背景にはどんな想いがあるのか? 渋谷クラブクアトロの副店長・植島大樹氏に語ってもらった。
【座談会参加者】
    • ■植島大樹
    • 2012年梅田クアトロのオープニングスタッフとして入社。8年の大阪勤務を経て20年3月より渋谷クアトロ担当に。生粋の飲み屋街育ちで閑静な住宅街が苦手。
    • ■千々和香苗
    • 学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。
    • ■岩田知大
    • 音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP’s&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。

番組を通してバンド同士の
つながりができるのが嬉しい

岩田
コロナ禍に入ってからYouTubeチャンネルを開設したアーティストやライヴハウスが多かったのですが、現在では運営が止まっているチャンネルも多い印象を受けています。そのような状況の中、クアトロは今年1月からYouTubeを始められましたが、チャンネルを開設された経緯からおうかがいできますでしょうか。
植島
きっかけは他のライヴハウスさんと同じになると思いますが、コロナ禍でライヴが開催できなくなったことが理由のひとつです。他にはクアトロの運営会社でもある株式会社パルコとしてもデジタル技術を活用した施策、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)に力を入れたいという考えもあり、YouTubeを活用することは前々から話としてはあって、コロナ禍に入ったことで実際に動き始めたという流れです。
岩田
なるほど。コロナ禍で動いていたということですから、他にも大変な部分もあったんじゃないですか?
植島
イベントの中止やチケットの払い戻し対応などもありますが、そんな中でもイベンターさんと話す際にはYouTubeのトーク番組について意見をうかがうと、正直言って“難しいかもね~”という返答も多かったですね。また、若手バンドを筆頭にライヴができない状況でしたので、クアトロとして若手バンドを発掘するイベントを私が中心となって進めていきまして。
岩田
それが対バンイベント『LAUNCH』になるわけですね。
植島
そうです。2021年の時点で配信機材も揃えていたのと、DX施策を進めたいという意向もあったので、レコード会社に所属をしていない若手バンドを集めて配信ライヴをするために準備をして今年1月に初開催となりました。トーク番組に関しても“こんな人に出演してもらいたい”“こんな話を聞いてみたい”という話し合いは続いていましたが、ディレクションなど番組の組み立てから運営までの話がうまくまとまらなくて。でも、“まずはYouTubeをやってみよう!”ということになり、『LAUNCH』が本格的なチャンネル運営のスタートになりました。
岩田
なるほど。確かに始めてみないと分からないことは多いですからね。1月に『LAUNCH』を開催し、YouTubeでライヴの生配信も行ないつつ、後日に出演アーティストの厳選されたライヴ映像が続々とアップされていくと。チャンネル開設から2カ月後には、古市コータローさん(THE COLLECTORS)、ウエノコウジさん(the HIATUS、etc)、松本素生さん(GOING UNDER GROUND)が出演されているトーク番組『SPEAKEASY QUATTRO』が配信され、出演者のラインナップに驚きましたが、この企画はどのように生まれたのでしょうか?
植島
スタッフ同士で話をする中で候補に挙がったのが、クアトロと長年ゆかりのあるTHE COLLECTORSでした。メンバーの中でも古市コータローさんはトークも面白く、交友関係も広いということでお声がけさせていただいたところ快く承諾いただいて。他の出演者をどうしようかという話になり、コータローさんと仲が良いウエノコウジさん、番組の回し役的なポジションとして松本素生さんが決まりました。2月に渋谷パルコの地下にあるミュージックバー『クアトロラボ』で第1回の収録をしたんですけど、それも“まずはやってみよう!”ということで実施して。1回目は本当にスタッフもどうしていいか分からなかったので、トークのお題もちゃんと出せたわけではなかったのですが、3人にお酒を飲みながら話していただいたら、とても面白くしてくれたんですよ。ざっくりとしたテーマは“クアトロの歴史”程度でしたが、それぞれがクアトロに初出演した時の話や、ライヴで地方のクアトロに行った時に食べた美味しい食べ物の話、いい飲み屋の思い出だったりと話がどんどんと膨らんでいって、結果的に面白い番組になりましたね。長時間の収録をしたので、やり方も分からないままにスタッフで協力しながら編集作業をして、それを4回に分けてアップしたんです。
岩田
クアトロのチャンネルが面白いと思ったのは、ライヴの生配信をすることを中心としたライヴハウスが多い中、『SPEAKEASY QUATTRO』のようなアーティストの貴重な話を聞けることなんですよね。ファンのみなさんも嬉しいでしょうし、それがライヴハウスのチャンネルで観られるのが実にいいと思います。
植島
確かにスタッフ同士でもアーティストさんの楽屋トークの雰囲気って実はなかなか知ることができないから面白いかもと言っていましたね。なので、2回目は渋谷クアトロの楽屋で実際に収録をして。その収録日に若手バンドのTHE 2がクアトロで3デイズライヴを開催したんですけど、番組出演者が3人とも仲が良いということでヴォーカルの古舘佑太郎さんが急遽出演されたんです。コータローさんをはじめ、全員が若手バンドから慕われている方だからこそ、番組を通してベテラン、若手、中堅も含めてバンドのつながりが生まれていくのを見ることができたのも嬉しかったですね。

OKMusic編集部

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