歌舞伎座が「柿色」にライトアップ!
 市川團十郎、市川新之助、市川ぼた
んが点灯式に登場~『十二月大歌舞伎
』がまもなく開幕へ

十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助、市川ぼたんが2022年12月1日(木)、歌舞伎座で行われた「歌舞伎座ライトアップ点灯式」に登場した。
このライトアップは、12月5日(月)に初日を迎える「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台『十二月大歌舞伎』」に関連して企画されたもので、千穐楽12月26日(月)まで点灯されるという(毎日午後4時半ごろ〜翌午前1時半ごろまで点灯する予定)。
市川新之助、市川團十郎、市川ぼたん(左から)
点灯式を前に、まず3人から挨拶があった。
十三代目市川團十郎白猿(以下、團十郎):雨の中、そしてお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。十三代目團十郎の襲名披露興行が11月7日に始まりまして、いよいよ2ヶ月目の12月の襲名披露興行に突入するということで、松竹さん、歌舞伎座さんから「歌舞伎座を柿色に、團十郎茶に染めよう」というお話を承りまして、このようにお集まりいただきました。(柿色にライトアップされるのは)歌舞伎座史上初めてのことだと承っているので、どのようになるのか楽しみです。
八代目市川新之助(以下、新之助):皆さま、きょうはお集まりいただき、本当にありがとうございます。この度八代目市川新之助を名乗らせていただく運びとなりました。12月に『毛抜』を勤めさせていただくので、ぜひ皆さま観にきてください。柿色に歌舞伎座が染まることを見たことがないので、すごく点灯式が楽しみです。
市川ぼたん:皆さま、本日は雨の中、お集まりいただき、本当にありがとうございます。私は12月に夜の部『團十郎娘』で近江のお兼を勤めさせていただきます。一生懸命勤めますので、皆さまぜひ観にきてください。どうぞよろしくお願いします。
市川新之助、市川團十郎、市川ぼたん(左から)

柿色に染まった歌舞伎座を見上げる市川新之助、市川團十郎、市川ぼたん(左から)
柿色に染まった歌舞伎座
「5、4、3、2、1」と司会者がカウントダウンをして、3人がボタンを押すと、歌舞伎座は市川團十郎家ゆかりの「柿色」に。柿色は「團十郎茶」とも呼ばれ、襲名・初舞台の披露口上などで市川團十郎家とその一門の俳優が着る裃の色も柿色だ。
続いて、報道陣による囲み取材が行われた。
ーー点灯式を終えていかがでしょうか。
團十郎:歌舞伎座がこのような色合いに染まることは初めてだと承って、大変光栄なことだなと思います。柿色というのは、團十郎茶とも言いますけれど、成田屋のひとつのシンボルカラーでもありますから、松竹さんや歌舞伎座さんが企画してくださったことは大変ありがたいなと思います。下から見るとちょっとよく分からなかったんですけど、帰り道にしっかり見ようかなと思っています。
新之助:下からだったので、はっきりとは見えなかったんですが、若干柿色だというのが分かったので、歌舞伎座さんや松竹さんがこのようなことをしてくださって本当に僕も嬉しく思っています。
ぼたん:スカイツリーもライトアップさせていただいて、その次に歌舞伎座を柿色に染めていただけて、なんか嬉しいですけど、不思議な気持ちです。
市川團十郎
ーー團十郎さんと新之助さんは11月公演、お疲れ様でした。
團十郎:まだ半分ですけれどもでもね。11月、倅は『外郎売』で「外郎売実は曽我五郎」という一役を、貴甘坊(きかんぼう)ではなく、勤めあげた。毎日私も『勧進帳』の弁慶の化粧をしているときに、最後まで送り届けてから化粧するんですけど、ずっと聞いていて。ひやひやしながら、無事に終わって欲しいという毎日が積み重なって、千穐楽を迎えられて、すごくほっとしてますね。
12月もまたこれが大変。大変ですけど、倅もそうですし、娘も含めて、3人で襲名披露興行に立てることは稀有なこと。コロナに感染しない、風邪をひかないといった基本的なことに集中しながら、毎日を乗り越えないとなと思っています。
ーー新之助さんの成長ぶりは。
團十郎:頼もしいですよね。やはり『外郎売』では、本人がやる気で、大大先輩に胸を借りて、周りに囲んでいただいて舞台に立っている。そこに物怖じせずに、しっかりとやりきったところは褒めてあげたいです。そしてこれがまだ2ヶ月続くので、9歳の少年にしてみれば、まあ大変なことですね。
『外郎売』という経験した世界から、また『毛抜』という未知なる領域に踏み込むわけですから、今日も稽古して、今日は『外郎売』のときよりもはっきりと、「もうちょっとこうした方がいい」といったようなことを指示させてもらって。彼も今、戦おうとしてます。
市川新之助
ーー新之助さん、1ヶ月間舞台に立っていかがでしたか。
新之助:楽しかったです。本当に大大大大先輩の方々に出てもらって、本当に喜んでます。まだ半分あるんですけど、結構達成感があります。でもこれから『毛抜』に向かっていかないといけないので、気持ちは切り替えてやろうと思います。
團十郎:コメントも1ヶ月経って、だいぶ大人になったね(笑)。「若干」とか「達成感があるけど気持ちを切り替えていく」とか。
ーー11月公演の出来は何点ぐらいですか?
新之助:結構うまくできたんじゃないかな……60点ぐらい? いや、でももう少し高くてもいいかな。85点ぐらい。
ーーちなみに足りない15点は?
新之助:例えば、多少噛んじゃったり……お客さんの反応を気にしすぎたかなと。千穐楽は言えたんですけど、最後の「さら〜ば〜」という部分がそれまであんまりうまくいかなかったので。
市川新之助、市川團十郎(左から)
ーー新之助さんと呼ばれることには慣れましたか?
新之助:まだ勸玄の方がいいです。多分一生慣れないと思います。
ーー團十郎さんは?
團十郎:慣れることにしました。友達や本名で呼んでくれる人は変わらないんですけど、日の浅い友達はどうしても海老蔵ということで。やはりついつい皆さん「海老……團十郎さん」と(笑)。私自身も切り替えないとね、おかしなことになってしまうから。
市川ぼたん
ーーぼたんさんから見て、お二人は何か変わりましたか?
ぼたん:弟は11月の襲名披露興行を終えて、なんだか男の子らしく、たくましくなったなと。そういうところもかわいいです。お父さんは……團十郎というのは、私のイメージではドスンとしているイメージが強いので、そこにドスンと座っているような気がします。
團十郎:なんか重たくなった感じ? 体重は増えました(笑)。
新之助:エネルギーを使うのでよく食べるし、『勧進帳』をやっていて筋肉が……。
團十郎:大きくなっちゃったね。でも自分でも何か変わった気はしますね。何がどうなのか分からないですけど、何かが。やっぱり名前が持っている力、海老蔵という名前が持っている力、市川團十郎白猿という名前が持っている力はあるんじゃないですかね。何かが変わったと思います。
市川ぼたん
ーー12月の舞台についての思いを改めてお願いします。
ぼたん:歌舞伎座に立たせていただくということが、私にとっては驚いたぐらい緊張していて。11月の弟と父の舞台が素晴らしかったので、そういう格好良い姿を見ていると、あそこに自分が立つんだと緊張しています。
團十郎:11代目市川團十郎、私の祖父、二人の曾祖父が團十郎を襲名した折に、翠扇(すいせん)さんという女性の市川家の血筋の方がいまして。その方が60年前にちょうど祖父の襲名披露だったんですけど、そのときに『團十郎娘』を出して以来、女性の方が歌舞伎座で出し物をするということは久しいことです。
十三代目團十郎の襲名披露興行で、また市川家の女性が出し物をするという縁……さまざまなことが重なっているなと。重責を彼女にも背負わせてしまっていますが、それをまた乗り越えていくだろうと思わせてくれる彼女の芸事に対するまっすぐさ。それは男女問わずのことだと思うので、私は大いに歓迎して、いろいろなことを思われる方もいるかもしれませんけれど、私はもう全面的に応援していきたいと思ってます。
ぼたん:『團十郎娘』はすごく陽気というか、楽しげで強い女の子。強いところは強くして、かわいい女の子っぽいところは女の子らしくしてねと(父から)言われました。
團十郎:きょうの稽古もよくできていました。
市川新之助
ーー新之助さんについては。
團十郎:先月の『外郎売』はのびのびとやっていました。今日は諸先輩方にまた新しく囲んでいただきながらの稽古でして、(新之助さんは)多感な部分がございますし、気にしながらのお稽古。自分のやれるようなことが、今日は少なかったなと反省していますから、まさに切り替えることができると思います。
ーー今段階では何点ぐらいですか?
團十郎:『外郎売』に関しては800点ぐらい。もう立派な『外郎売』でした。『毛抜』に関しては、厳しく言うと30点ぐらい。これからです。初日まであと数日ございますが、そこまでに恐らくこの人は100点に持っていけると思うので。こちらも温かく見守りながら、言いづらいことも厳しく言う期間。私も自分のことはあるんですけれども、それちょっと置いておいて、とにかくこの二人がのびのびとできるような環境を作るのが親の役目かなと。
ーー新之助さん、舞台に立つ上で何か気をつけていることはありますか?
新之助:自分が楽しんでいたらいいんじゃないですかね。
團十郎:難しいですよ、歌舞伎で楽しむのは。言われたことをやらないといけないし、守ることもいっぱいあるから。その中で戦っているから大変です。でも早いと思いますね。9歳でそこと戦うのは。
市川新之助、市川團十郎、市川ぼたん(左から)
ーー最後に一言お願いします!
團十郎:11月の興行が終わりまして、12月の歌舞伎座襲名披露興行がまだございます。私も、倅のセリフではないですけど、切り替えて、12月の歌舞伎座興行に向かいたい。そして先輩、同輩、後輩、関係者、そして松竹さん、やはり皆で大きな繋がりを持ちながら、千穐楽をコロナの影響を受けずに、何とか子どもたちも元気で乗り越えられたらなと思います。
「日本の文化である歌舞伎を観たことないな」「観てみたい」という方々は、この機をぜひ逃さずに。日本の文化を楽しんでいただけるよう、我々も歌舞伎座でお待ちしております。ぜひ歌舞伎座にお越しください。
柿色に染まった歌舞伎座

取材・文・撮影=五月女菜穂

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