ロックンロールの真髄を今に蘇らせる
THE BAWDIESのルーツ愛とは?

インターネットラジオ「FaRao」で配信中のアーティストを毎回一組、ピックアップ。ルーツを中心に、ジャンルや世代、国境を超えて広がる「音楽地図」を、音楽ライター 柴 那典が紹介する連載企画!

今回の『FaRao Music Discovery』でフィーチャーするのは、12月3日にニューアルバム『Boys!』をリリースするTHE BAWDIES。結成10周年、デビュー5周年というアニバーサリーイヤーを駆け抜けてきたバンドの軸は、今も昔も変わらずロックンロール。それも50年代や60年代のリズム&ブルース、ソウル、ブルースなどのルーツミュージックに根付いたものだ。今回の記事では、バンドの大きな魅力と特徴となっているその“ルーツへの愛”を、彼らの歩みとともにまとめていこう。
THE BAWDIESの結成は2004年1月1日。もともとROY(Vo&Ba)とJIM(Gu)とMARCY(Dr)は小学校からの幼馴染み、TAXMAN(Gu)は高校からの同級生で、スタジオに一緒に入ったり、学園祭でライヴをやったりするようなバンド仲間だったという。そんな彼らを本気にしたのが、ROYとJIMがたまたまレコード店で出会った60年代の音楽だった。中でも最初の衝撃となったのがガレージパンクの伝説的バンド、ザ・ソニックス。そのルーツを探っていく中で、4人は黒人音楽に巡り合う。
「最初はソニックス近辺のガレージバンドを聴いてたんですけど、あまりピンとこなかったですね。(中略)もっと直接知りたいな、っていう気持ちがあったんです。答えを探してたときに出て来たのがリトル・リチャードとチャック・ベリーの2人だったんです。とりあえずソニックスがカバーしている原曲を、と思って聴いてみたら…全部さらけ出してる。僕らは『ハダシ感』『ハダカ感』って言うんですけど、想像の倍以上にすごい『ハダシ感』『ハダカ感』がそこにあって生々しかったです」と、自身のルーツを開陳した単行本『THIS IS MY SOUL』でも、ROYはこんなふうに語っている。
高校3年で、リトル・リチャード、チャック・ベリーという伝説的なミュージシャンたちに出会った4人は間もなくして、50年代〜60年代の音楽を聴き漁るようになる。テンプテーションズなどのモータウン・ポップス。バディ・ガイ&ジュニア・ウェルズ、ジミー・リードなどのブルース。レイ・チャールズ、ルーファス・トーマスなどのリズム&ブルース。そして、ジェームス・ブラウン、サム・クック、オーティス・レディング、アレサ・フランクリン、アイズレー・ブラザーズなどのソウル・ミュージック。黒人音楽を中心にその幅はどんどん広がっていった。
「僕たちザ・ソニックスがすごい好きなんですけど、彼らの真似をしていてもザ・ソニックスにはなれないじゃないですか。だから彼らが聴いていたルーツもどんどん聴くようになったんです」と、メジャーデビュー当時にナタリーに掲載されたインタビューでMARCYはこう語っている。好きになったアーティストをきっかけにルーツを深く掘り下げていったことが、THE BAWDIESのロックンロールの大きな糧になったのだ。
2006年に、彼らは初のアルバム『YESTERDAY AND TODAY』をリリースする。全12曲中5曲がオリジナルで、残り7曲はジェームス・ブラウン、レイ・チャールズ、リトル・リチャードなどをカバーした一枚だ。実はビートルズやローリング・ストーンズも60年代にリリースしたデビュー作ではオリジナルとカバー曲が半々の構成で、彼らのアルバムもそういうロックンロールの伝統にならったものになっているわけだ。
2009年にアルバム『THIS IS MY STORY』でメジャーデビューを果たし人気者への階段を駆け上っていった後も、彼らは変わらぬルーツへの敬愛をかたちにし続けている。2012年にはバンド結成のきっかけになったザ・ソニックスとの念願の対バンツアーが実現。さらに2014年3月にはカバーアルバム『GOING BACK HOME』をリリース。シュープリームス、サム・クックなど、やはり50年代〜60年代の名曲たちをセレクトした内容は、タイトルの通り結成10年を迎えたバンドにとっての原点回帰を示すものにもなっている。
さらに最近では、彼らのつながりは同じくルーツミュージックを敬愛する海外の同世代バンドにも広がっている。2010年にはNYのガレージ・パンク・バンドLOCKSLEYとのスプリット7インチをリリース。2013年には、やはりNYブルックリン出身で“同世代最強の白人ソウルアクト”と称されるイーライ・ペーパーボーイ・リードを迎えての日本ツアーも実現した。
ちなみに、彼らのオフィシャルサイトに掲載されているフェイバリット・アーティストは、ROYがレイ・チャールズとリトル・リチャードとオーティス・レディング、JIMはローリング・ストーンズ、MARCYとTAXMANがビートルズ。フェイバリット・アルバムは、ROYがサム・クック『ONE NIGHT STAND!』とGeno Washington and the Ram Jam Band 『Hand Clappin' Foot Stompin' Funky Butt... Live!』、JIMがローリング・ストーンズ『December's Children』、MARCYがビートルズ『With The Beatles』、TAXMANがボビー・パターソン『It's Just A Matter Of Time』となっている
こうして、「世界基準」の最新型ロックンロールを掲げ快進撃を繰り広げてきたTHE BAWDIES。その原動力となっているのはやはり、4人の幅広く、深い音楽への愛情なのである。

著者:柴 那典

OKMusic編集部

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