厄介なヤツに絡まれた!そんなヤツも
一瞬で氷解してしまう曲

ミュージックソムリエ協会では、「こんな時に聴きたい音楽!」ということで、日常のヒトコマで、ふっと聴きたい音楽を選曲しました。選曲はすべて、ミュージックソムリエ(http://musicsommelier.jp)によるもの。
楽しいゴールデンウィークが始まりました・・・が、どんな時でも厄介なヤツはいるものです。クレーマーから、腐れ縁の面倒なアイツまで。一触即発の危機も一瞬で取り去ってくれる珠玉の曲を集めました。ケンカせずに相手を黙らせてしまう、そんな曲をどうぞ!

1.「Hocus Pocus(悪魔の呪文)」/FOCU
S

「ヤバい!面倒な奴に目を付けられてしまった!!額に青筋を立てて、臨戦態勢で接近中!!!」
そんなピンチの時は、相手に「コイツとは関わらない方がいいな…」と思わせましょう。こっちも額に青筋を立てて、相手の予測のナナメ上をいく行動を見せてやりましょう。
そう・・・「ヨーデル」なんていかがでしょうか?
オランダが生んだ世界的なプログレッシヴ・ロック・バンド、FOCUS。その代表曲がこの「Hocus Pocus(悪魔の呪文)」。ヤン・アッカーマンの天才的なギターリフに導かれて飛び出すのは、キーボード奏者タイス・ヴァン・レアによる、まさかの必殺ヨーデル。いや、「必死ヨーデル」!!
ハイテクなアンサンブルとギャグすれすれのエキセントリシティの、神業ともいえる共存。今もってロック史上空前絶後のインパクトです!!
ほら、面倒なアイツも顔をひきつらせて、若干後ずさりしてますよ。
(選曲・文/伊藤威明)

2.「Fields of Gold」/エヴァ・キャシ
ディ

この、澄んだ、伸びやかな歌声を聴いたら、どんな厄介なヤツでも穏やかになってしまうのではないでしょうか?
エヴァ・キャシディは1996年11月、皮膚癌によりわずか33歳で夭折したアメリカの歌手です。
この曲のオリジナルはスティングですが、エヴァ・ヴァージョンは、2002年のソルトレーク・オリンピックで、フィギュアスケートのミッシェル・クワン選手が涙を流しながらエキシヴィジョンを演じた際に使用し、有名になりました。
この音源の元は、おそらく1996年9月のブルースアレイでのライブ音源だと思われるのですが、自分の死期を悟っていたと思われる、彼女の魂のこもった歌声には圧倒されます。
(選曲・文/コーリス)

3.「元気でいてね」/ 小林幸子

厄介なヤツとも一緒に涙を流せてしまえるほど、聞いて頂ければこの曲に説明はいらないのではないでしょうか。
大人も大号泣の映画「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!大人帝国の逆襲」のエンディングテーマであるこの楽曲。おかあさん、おとうさん覚えてる?と大切に育ててくれた時間を振り返りながら、今だから言える感謝を伝える歌詞がやさしく懐かしいメロディーと共に耳に入ってしまった瞬間、純粋な子供の頃の記憶が温かな気持と一緒によみがえります。厄介なヤツも「いったい俺は何をやっているんだ」とその場から立ち去り、遠く離れた両親へ「いや、なんでもないんだけどさ。元気ならそれでいいよ。」なんて、ぶっきらぼうに電話をするかもしれません。
(選曲・文/和久井直生子)

4.「4-43」(『東映傑作TVシリーズ 暴
れん坊将軍Vol.1 オリジナルサウンドト
ラック』収録)」/菊池俊輔

悪をやっつけるという観点で考えると、思い浮かぶのは時代劇になるでしょうか。特に勧善懲悪モノ、見ていて本当にスッキリします。地上波では最近あまりやらなくなりましたが、BSやCS・DVDソフトではまだまだ現役バリバリで安定した人気を誇っています。

その中で一番迫力あるBGMは『暴れん坊将軍』における殺陣のテーマではないでしょうか。松平健が扮する吉宗公が馬に乗って駆け抜けるオープニングで流れている音楽をアレンジした内容。収録されている暴れん坊将軍のサントラでは「4-43」と表記されています。殺陣の迫力とスピード感、刀と刀がぶつかり合う音とも完璧にマッチしています。こういうテーマソングが流れて常に勧善懲悪が成立する世の中ならどんなに良いかと私なんかはいつも思ってしまうのですが、皆さまはいかがでしょうか?
(選曲・文/Kersee)

5.「亡き王女のためのパヴァーヌ」/ク
リュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団

厄介なヤツを瞬時に氷解させるには、まったりとした曲で戦意喪失させるのが一番。
ということでこの曲、ラヴェルが作曲した「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
相手と戦おうとか、やっつけてやろうとかいうこととは正反対の、全身から力が抜けてしまい、もしかしたら、厄介なヤツと一緒に縁側でお茶でも飲んでしまうような曲です。
なお、題名の「亡き王女」というのは、フランス語で韻を踏む言葉なのでタイトルにつけただけで、亡くなった王女のことを懐かしむ曲ではありません。小さな王女が躍るようなパヴァーヌということです。
何はともあれ、是非一度お試しあれ。
(選曲・文/藤井憲治)

6.「老人と子供のポルカ」/左卜全 

黒澤明監督の「七人の侍」「生きる」「どん底」が代表作の、昭和の大役者「左卜全」になんという歌を歌わせるのだと、発売当時は騒然となった作品です。
「やめてけれ やめてけれ やめてけれ ずびずばー」
本人はいたって真剣に歌うも、何せ76歳のご老人。必死に子供達の歌声に合わせようとするものの、どうしたって遅れますわね。脱力感満載なんだけど、うるうるした瞳で真剣に「やめてけ〜れ」と訴えられたら、どんなに悪逆非道な輩も罪悪感に苛まれ、今までの人生を全ていちからやり直したくなる事でしょう。
ちなみにバックで歌う少女の一人は後のLe Coupleの藤田恵美子さんです。
(選曲・文/鈴木健士)

著者:ミュージックソムリエ協会

OKMusic編集部

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