「エンジェル・ハート 1stシーズン」1巻・表紙 北条司/ノース・スターズ・ピクチャーズ

「エンジェル・ハート 1stシーズン」1巻・表紙 北条司/ノース・スターズ・ピクチャーズ

上川隆也「エンジェル・ハート」実写
化最高峰!?ドラマ高評価の理由

大人気マンガ「シティーハンター」のアナザーストーリーとして描かれた「エンジェル・ハート」がついに実写化! 「シティーハンター」と言えばコミックス累計5000万部を超える空前のヒット作。その連載開始から30年の節目に初の実写化となる本作は、その制作発表時点から賛否両論飛び交っていた。
現在日本テレビ系で放送中だが、原作ファンの方もそうでない方もまだご覧になっていない方々に向けて、筆者の感想をお届けしたい!

「エンジェル・ハート」をご存知ない方

この「エンジェル・ハート」というドラマを語る前に、ご存知ない方にむけてバックグラウンドを語らねばなるまい。
「エンジェル・ハート」の主人公・冴羽獠(サエバ・リョウ)は、もとは「シティーハンター」の主人公。一見お調子者だが実は驚異的な射撃能力を持っており、様々な依頼を受け街の悪をこらしめる掃除人(スイーパー)「シティーハンター」の名で活躍していた。パートナーの槇村香(マキムラ・カオリ)とともに新宿の街で活躍していた冴羽だったが、香との結婚を決めた直後に香を不慮の事故で失い、以降「シティーハンター」の活動を停止していた。
脳死となった香の遺志で心臓が臓器提供されることになるのだが、その心臓が途中で強奪され自殺を図った女性暗殺者の一命をとりとめるために利用される。その心臓は冴羽と暗殺者の運命を動かしていく。
心臓を移植された暗殺者・香瑩(シャンイン)は長い眠りから目覚めると不思議な記憶に悩ませられることとなる。組織と戦い抜けだした彼女は、行ったこともない喫茶店に足を向け、飲んだこともないコーヒーを飲み、しかしそれが記憶にあることに驚く。その後組織に追われ傷つき、絶体絶命のところを救ったのが冴羽であった。香瑩は、心臓のもたらした運命に導かれるように冴羽と出会い、そして人間としての心を取り戻していくのだった……。

冴羽獠役・上川隆也の熱意

主人公・冴羽獠のキャストが上川隆也に決まったとの情報が流れると原作ファンの中からは一部不安視する声も上がっていたが、蓋を開けてみればこれが絶賛の嵐だ。ヒーロー冴羽を演じるにあたって、自らも「シティーハンター」のファンと公言する上川はハードなトレーニングで肉体改造をし、原作に恥じない役作りに励んだと聞く。筆者も実際に映像を見たとき、鍛えられた上川の厚い胸板、美しい立ち姿勢はまさに冴羽獠だと納得した。そこかしこで見せる背中で語るような後姿など原作マンガから抜けだしてきたかのようだ。
また周囲の役者陣もそのキャスティングに賛否あったが、こちらも素晴らしい。槇村香を演じる相武紗季は持ち前の可愛らしさを抑えてのボーイッシュな演技で香を好演しているし、海坊主・ファルコン役のブラザートム、冴子役の高島礼子など原作マンガのイメージそのままに存在している。
そしてもう一人の主役・香瑩を演じる三吉彩花も美しいだけでなく身体を張ったアクションシーンも自らこなして、女暗殺者を演じきっている。
また余談だが、脇を固める役者陣の中、ベテラン声優の山寺宏一がなんとオカマ役として出演している。山寺は実はアニメ版「シティーハンター」で新人時代に端役として出演していたというエピソードもあり、今回のキャスティングは非常に感慨深いものとなっている。

ため息が出るほど美しい映像

この作品で努力しているのは役者陣だけではない。映像からスタッフの熱意が近年のドラマの中でもダントツに伝わってくる。照明、カメラ、映像処理、セット、小道具などカットごとの画作りになみなみならぬこだわりが現れていて、そしてとにかく映像が美しいのだ。
物語の舞台である新宿の風景を折り込みながら、原作マンガやアニメをほうふつとさせる絵画のようなコントラストのある映像。登場人物の美しさと心情を際立てるライティングやソフトなフィルターの掛けた表現など、まるで描きこまれたマンガの1コマ1コマのように絵として完成している。そこへ肉体を作り込み、冴羽獠の立居振舞を相当に研究したであろう上川が加わると、原作を知らない方が観ても思わず引き込まれてしまうであろう。
もちろん「シティーハンター」「エンジェル・ハート」ファンであれば、このスタッフ陣の原作をリスペクトした仕事で相当見応えのある作品となっていることは間違いない。

現時点では大成功! 傑作になるかは今
後に期待!

ストーリーも実写化にむけて原作の世界観を壊さないよう丁寧に調整された印象を受ける。そこかしこに制作側の熱意を感じられるのだが、心配もある。
その熱意ゆえに連ドラならではのハードな制作スケジュールが負担になってしまわないかだ。こだわりを持って作り込むと、どうしても時間が押してくる。時間との戦いに負けずに良質なコンテンツを作り続けて欲しい。
また、今後のストーリー展開として原作にあるようなアクションシーンやギャグシーンも見せ場となってくるが、今回の実写化にあたっては「人間愛」「家族愛」をテーマにすると発表されている。ドラマのオリジナルキャラクターなどキャスト一人一人の魅力が立ち上がってこないと多くのファンを繋ぎ留めておくことは難しいかもしれない。
だが結論として、現時点では大成功と言っても過言ではない。スタッフ・キャスト一丸となって熱意のある映像を作り上げているこの「エンジェル・ハート」は、今後の展開次第ではさらなる傑作となっていく事であろう。まだご覧になっていらっしゃらない方には是非おすすめをしたい。そして、皆で温かく応援していこうではないか!

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