みねこ美根

みねこ美根

【みねこ美根 インタビュー】
どんなチャンスも、
唄を届ける瞬間も、
誰にも渡したくない

骨太なバンドサウンドが鋭く響き、“野心も嫉妬も悲しみも、覚悟があれば糧になる”という力強い想いが込められたみねこ美根の新曲「傷跡」。彼女が2020年最後にリリースした同曲は、自分の中にある頑固さや活気をじっくりと呼び覚ましてくれる。

その傷を受け入れられたら、
自分に素晴らしい力があると気づける

美根さんは6月から配信ライヴを積極的に行なっていましたが、音楽活動で譲れないもののひとつであるライヴのかたちが変わり、どんなことを思いましたか?

昨年の春頃はニュースや自分の状況を不安に思う気持ちばかりが強くなってしまい、立ち止まった瞬間もありました。でも、“動かなければ!”“まず何ができるのか?”と考えて。少しでも多くの人に動き出す力を蓄えてほしいと思ったのと、自分が立ち止まりたくない一心で、それまでやったことがなかった配信やカバーなど、できることをひとつずつ始めたんです。6月からは配信ライヴを始めて、まずバンドメンバーやライヴハウスの人に会えたこと、大きな音を出す場所を提供していただけたことに感動したのですが、目の前にお客さんがいないことや会場での時間の流れに自分のテンションが混乱していく感覚もあって。そんな中で最初に感じたのは、配信は有観客ライヴの代わりではなく、新たなコンテンツであり、有観客も配信もそれぞれの良さを作って活かしていくべきだということです。配信を最大限に活かせるような構想を考えて披露するのが正しい方法だとは思うのですが、潤沢な資金があるわけでもないので“配信ライヴの良さ”を作り出すために試行錯誤している姿も視聴者の方々に観てもらいながら挑戦しました。結果、毎回何か新しいことを試したいと考えることで、私も明日へ向かうポジティブな気持ちになれたと思います。

逆に有観客でのライヴと配信で変わらなかったことは?

その瞬間に届けられるものを目いっぱい届けて、みなさんとつながりたいということには変わりはないです。みなさんにも“一緒に歩んでいるんだ”ともっと感じてもらえるようにしていきます。

「傷跡」はそんな一年間の活動も思わせるような、闘争心が力強く燃えている曲ですね。楽曲自体はいつ頃にできたんですか?

2年前にとある出来事が私に起きて“野心も嫉妬も悲しみも、覚悟があれば糧になる”と胸に刻まれた時に生まれた曲です。ライヴでも自分を鼓舞する時などに披露してきて、レコーディングができる曲に成長し、リリースするタイミングを考えていました。

リリースされたのは昨年のクリスマスイブですが、コロナ禍で一変してしまった2020年の最後に発表したことにはどんな想いが?

昨年は悔しい想いを抱いた方がたくさんいらっしゃると思います。でも、この悔しさは強い想いがあるからこそ生まれる感情だと思うので、それぞれの想いを胸に、踏みしめる一歩として「傷跡」をお届けしたいと思ったんです。クリスマスソングではないけれど、クリスマスイブに届けるのも私らしいかなと。

歌詞は“傷跡”“涙”“心臓”と身体にまつわる言葉が鍵になっていて、根っこには深い孤独があるように感じました。《誰も信じられない夜は心臓に耳を澄ませ》という部分では、自分の心の声だけを頼りに進む姿が思い浮かんだり。

“私の世界はもっともっとすごいんだ”と思う中で感じるもどかしさや悔しさ、“もっと届けるには私自身が自分の弱さと向き合わないといけない”という気持ちは常にあります。“誰にも負けない”“このチャンスは絶対に逃さない”…そういう闘志に燃える気持ちを胸に歌詞を書き始めて、当初は“孤独な闘い”という世界にいたかもしれません。でも、実際は信頼するスタッフやメンバーと出会い、応援してくださるお客様がいて、孤独ではありませんでした。

孤独ではないことに気がついてからはどんな想いに?

たくさんライヴで歌って届けるにつれて、“自分に覚悟を問う”という意味合いを持つようになり、自分に覚悟を問うことで人を信じることにもつながると思っています。自分を信じているから人を信じられる。それでも、ふとよぎる孤独な瞬間は誰にでもありますが、誰かが悪いのではなく、“私はどうしたいんだ?”と問いかけることができたら、進む道がはっきり見えてくるはずです。

本来、涙は身体から排出するものだけど、「傷跡」では《この涙をあつめて残らず飲み干してく》と“自分が生み出したもの”のように表現しているのも印象的で。落ち込んだ感情を、この曲のように自分の糧にしていくまでどんな葛藤があったのでしょうか?

持っている自信と現状、そして向き合うべき弱さとの間で葛藤はありました。でも、行きたい場所への方角が揺らぐことはないので、葛藤と言えど、自分がやるべきことはただひとつ、覚悟を決めることでした。この《この涙をあつめて残らず飲み干してく》というフレーズは、“これまで流した涙を全て己の糧にしてやる”という覚悟で、悲しい涙というよりも悔し涙ですね。涙ってしょっぱいし生温かいから、ここの歌詞の若干の気持ち悪さがその覚悟をより強くしていて、私自身もかなり気に入っている部分です。

強さだけでなく、《いかした名前をつけてやる 僕のものになれ》と歌っているように願いがこもっているようにも感じて。美根さんの楽曲にはつくづく闘志が反映されていると感じますが、強気な姿勢ばかりを見せるのではなく、自分の正直な気持ちがこぼれている印象があります。

そうですね。飾り立てずに素直に書けた瞬間は嬉しいですし、そこの歌詞は自分でも惚れ惚れするほど正直に書けたところです。本当に誰にも渡したくないんです。どんなチャンスも、歌を届けるどんな瞬間も。

《隠してたら走れない さあおいで 見せてみな》というフレーズは、臆病になってしまった気持ちに対して自問自答しているようにも聴こえて、自分の傷を認めることで未来に踏み出せるというメッセージを感じました。

傷は隠していると痛いけど、その傷を受け入れられたら、自分には素晴らしい力が秘められていたことに気づくことができるんだと思います。
みねこ美根
配信シングル「傷跡」

OKMusic編集部

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