松川ジェット

松川ジェット

【松川ジェット インタビュー】
今後の自分たちが
歩いていく道のひとつに辿り着けた

LACCO TOWERの松川ケイスケ(Vo)と真一ジェット(Key)によるユニット・松川ジェットが完成させたメジャーデビューアルバム『彼女の出来事』は、昭和から平成にかけて日本の音楽シーンを彩った女性シンガーによる名曲を集めたカバー作。そんな独自の魅力を湛えた同作について、ふたりに語ってもらった。

今回のアルバムは美空ひばりさんの
「真赤な太陽」が核になった

まずは松川ジェットを始めた時期や経緯などを教えてください。

松川
真一がまだ別のバンドにいた頃に、僕が声をかけたのがきっかけですね。LACCO TOWERは毎年7月に周年イベントをやっているんですけど、ギタリストが辞めることになってできない年があって、バンドでできないなら歌と鍵盤という形態でライヴをやろうと思い、それで昔からの知り合いの真一を誘ったんです。電話で“ふたりでやってみない?”という話をして、彼は滑舌が悪いから何を言っているのか分からなかったんですけど、“まぁ、大丈夫やろう”と思って当日を迎えたら、ちゃんと来てくれました(笑)。
真一
その時のライヴはLACCO TOWERの曲をピアノアレンジして演奏したんですけど、その感触がすごく良かったんですよ、お互いに。そのライヴをしたのが2008年ですね。その後、僕はLACCO TOWERのメンバーになるんですけど、加入してからも折を見てふたりでライヴをしていて、いろんな人のカバーをするようになったんです。
松川
そういう流れがありつつ、昨年はコロナ禍によって…これはアーティストはみなさんそうですけど、母体のLACCO TOWERが思うように活動できなくなって。そこで自分がもともと持っている武器だったり、今やっていることだったりを、もう一度見直したというか、いろいろなことを考える中で、真一とやっていることの面白さを改めて感じたんです。で、ふたりなら動きやすいということでオンラインライヴをしたら、それをスタッフが観ていて、これを音源化してリリースするのはありなんじゃないかという話になったんです。そこからどんどん話が進んでいって、松川ジェット名義でカバーアルバムをリリースすることになり、この『彼女の出来事』を作りました。

松川ジェットは昨日今日始めたことではなくて、10年以上も前から活動されていたんですね。カバーアルバムはいろいろなアプローチをとることができますが、『彼女の出来事』の方向性はどんなふうに決めたのでしょう?

松川
カバーアルバムを作ることになって、最初にみんなで曲を持ち寄ったんです。いろんな曲があったけど、僕は昭和の歌謡曲がすごく好きなので、自然とそういう曲をチョイスするわけですよ。だったら、もうちょっとコンセプティブなものにして、女性シンガーに絞って、その時代時代を切り取っているような楽曲を集めるのはどうだろうと。つまり、コンセプトが先にあったわけじゃなくて、選曲と同時にコンセプトが固まったんです。
真一
もともと僕らは歌謡曲をカバーすることが多かったので、CDを作る話が出た時点でそういう方向になるとは思っていましたけど、一番最初に美空ひばりさんの歌をカバーしたいという話になったんです。そこでアルバムの方向性が見えてきて、“じゃあ、女性シンガーというコンセプトにしよう”と。そういう意味では、今回のアルバムは美空ひばりさんの「真赤な太陽」が核になったと言えますね。
松川
「真赤な太陽」の他にもいい曲がいっぱいあって選曲は結構悩みました。初の試みでもあるので、今回のアルバムに入っている曲は全部同じくらい思い入れがありますね。その中でも特に印象の強い曲を挙げるとしたら、NOKKOさんの「人魚」と中島みゆきさんの「悪女」かな? もともと好きな曲だったというのもあるけど、僕らでアレンジして歌ってみたらいい化学反応があったというか。いい意味で“こういう仕上がりになるんや!?”という手応えを感じています。
真一
僕は山口百恵さんの「イミテイション・ゴールド」とピチカート・ファイヴさんの「東京は夜の七時」が気に入っています。曲自体も好きですけど、アレンジの工程が印象に残っているんですよね。もちろんどの曲もいいものになったと思ってますが、強いて言えばこの2曲かなと。

“どの曲もいい”というのはまったく同感です。本作は楽曲の良さと歌を聴かせることに特化したアレンジが印象的です。

真一
まさにそのとおりで、僕らが聴かせたいのは歌とメロディーと歌詞なんです。アレンジの面白さとかを聴かせたいわけではなくて、その3つをしっかり聴かせることを最重視しました。だから、本当に最低限の音数になっていて、全体を通して引き算でアレンジしていった感じです。

古い曲のカバーって“昭和の歌謡曲を最新のEDMにアレンジしました”とか“ラウドなロックに仕立て直しました”というようなパターンが多い気がしますが、松川ジェットはそういうものではないというところがいいです。

真一
それは最初から考えていました。ロックな方向にするとLACCO TOWERと同じようなものになってしまうから、それとは明確に違うものを提示するということを重視しているんです。
松川
基本的にヴォーカルとピアノのみというスタイルは気に入っているけど、やっぱりプレッシャーもありました。『彼女の出来事』に入っているのは有名な曲ばかりで、他にもカバーされている方がたくさんいて、そういう中でこれだけ音数の少ないオケで歌うわけですからね。バンドはいい意味でゴチャッをした音をバーンと出すけど、基本的に歌とピアノをポンと出すかたちなので、歌の細かいニュアンスまで全部聴こえてしまう。そうなると、ただ単に上手に歌うだけというのは違う気がするし、かと言って僕の個性に引っ張りすぎるのも違うから、どの曲もちょうどいいバランスはどこなのかを見極めるようにしました。どう聴こえるかが本当に怖かったし、逆にそこを楽しめた感じもあって、今回の制作はヴォーカリストとしていろんなものを得られたと感じています。
松川ジェット
アルバム『彼女の出来事』

OKMusic編集部

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