パワフルかつシンプルなサウンドで
絶大な支持を集めた
グランド・ファンク・レイルロードの
『グランド・ファンク』

『Grand Funk』(’69)/Grand Funk Railroad

『Grand Funk』(’69)/Grand Funk Railroad

グランド・ファンク・レイルロード(以下、GFR)と言えば「ハート・ブレイカー」「孤独の叫び(原題:Inside Looking Out)」「ロコ・モーション」「アメリカン・バンド」など、多くの大ヒット曲を生んだアメリカを代表するハードロックグループである。何度かの解散・再結成を繰り返しながら現在も活動を続けているものの、現在の日本では年配のリスナーを除いてはすっかり忘れられているというのが実状ではないだろうか。今回取り上げるのは代表曲「孤独の叫び」を収録したGFRの2ndアルバムとなる『グランド・ファンク』(’69)で、コロナ禍で家にいることが増えフラストレーションがたまっている今だからこそ、彼らのパワフルな音楽を浴びるように聴き、明日への活力にしたいものである。

シングル盤になった
長尺曲の「孤独の叫び」

GFRの3rdアルバムとなる2枚組の『ライヴ・アルバム』は、大阪万博が行なわれた1970年にリリースされた。このアルバムは日本の多くのロック少年たちを夢中にしたが、その熱が冷めずにいた翌年に初の来日公演を果たす。まさに絶好のタイミングでの来日となったのであるが、後楽園球場でのコンサートは嵐の中で決行されたこともあって、GFRは伝説のロックグループとなった。

特に当時のライヴで人気があったのは幕開きの「アー・ユー・レディ?」と「ハート・ブレイカー」「孤独の叫び」で、彼らの来日公演後には「孤独の叫び」のスタジオバージョンがシングルカットされることになる。ところが、この曲は9分半もあったために、レコード会社はシングル盤であるにもかかわらず33回転(通常のシングルEP盤は45回転)でのリリースという異例の対応をしている。要するに、曲を編集することなくフルバージョンで発売したのである。当時、長尺曲をシングル盤でリリースする際には、編集して短くするか、半分ずつをAB面に分けて収録するという方法が主流であったように記憶している。しかし、「孤独の叫び」に関しては、それらの方法では曲の魅力を半減してしまうということから33回転策が取られたのだ。

オリジナルではない「孤独の叫び」

GFRはカバー曲は少ないのだが、「ロコ・モーション」(リトル・エヴァ)、「フィーリン・オールライト」(デイブ・メイソン)、「ギミ・シェルター」(ローリング・ストーンズ)など、素材を巧みにアレンジするのが得意なグループだ。代表曲の「孤独の叫び」が彼らのオリジナル曲だと思っている人は多いかもしれないが、実はこの曲もアニマルズの大ヒット曲のカバーである。アニマルズのオリジナルは66年に世界的なヒットとなっていて、この時の日本盤タイトルはすでに「孤独の叫び」であった。

アニマルズの「孤独の叫び」も、実はアラン・ローマックス(フィールド・レコーディングの大家)が黒人の刑務所で収録した曲を集めたコンピレーション『ニグロ・プリズン・ソングス』(’58)所収のワークソング「ロージー」を、エリック・バードンとチャス・チャンドラーがアレンジしたもので、GFRのバージョンはカバーのカバーと言えるかもしれない。アニマルズの「孤独の叫び」もパワフルですごい演奏なのだが、GFRの演奏はアニマルズを上回っていると僕は思う。

OKMusic編集部

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