【sukekiyo】『sukekiyo 二〇一五年公演 「宙吊り娘と掃き溜めの詩」』2015年12月2日 at 東京国際フォーラム・ホールC
ゆらめく光の中、眼前に広がるのは見てはいけない禁断の世界ーー。懐古趣味なCMから京(Vo)の朗読による詩が流れ、完全なる映画仕立てで幕開けたステージは、ロックバンドの概念を破る衝撃の連続だった。修道女のようなヴェールを纏って登場した京が、ストイックな出で立ちの下に素肌を垣間見せて究極のエロスを醸すと、舞台上の天蓋は紫煙のように漂う「foster mother」で真っ赤なサーカステントに、幻想にうねる「aftermath」で青い褥(しとね)へと変化。幽玄の世界を「hidden one」からの荒ぶるプレイが破壊すれば、京が振る鈴の音と舞踏家・工藤丈輝による人外なパフォーマンスが畏れをかき立て、狂気と退廃と悲愴に満ちた物語のめくるめく展開に、着席したままのオーディエンスは息を詰めるばかりだ。