EGOIST『LoveStruck』でchellyが愛す
るキミとは誰なのか?

LoveStruck』は、chellyが作詞を務める数少ない曲のひとつであるが、架空のアーティストというEGOISTの世界観を壊すことなくchellyらしさが出ている作品になっている。タイトルの『LoveStruck』の意味はというと、恋して夢中になった、熱愛のという意味の形容詞。タイトルを見る限りでは恋愛ソングがイメージできるが、なぜchellyがそこまで愛を注ぐのだろうか?






好きな人を思って、朝まで眠れなかったみたいなことは誰しもがあるだろう。そんな状況を描いた歌詞。ここでは早速、「キミ」という言葉が出てくる。Aメロだけ見る限りではキミとは誰なのか推測不可能である。相変わらずといった一般的な用法ではなく、あいも変わらずと表現しているあたりここにも"愛も変わらず"といった表現が隠れている。こんなに考えていてもキミに対する愛情に変化はなく、いつも通りの日常が訪れるのだ。相変わらずという意味に込められた「今まで通り」と、愛も変わらないという意味に込められた「愛は不変である」という意味は、キミに対する愛情の深さだ。




「I'm feeling a little down in the dumps today」「Don't let it get you down」はそれぞれ「今日は少し憂鬱な気分になった」「落ち込まないで」という意味である。ここの解釈としては、憂鬱な気分になった私が「落ち込まないで」とキミに励まされている様子。こちらの事情なんてお構いなしに励ましてくれる、なんて素敵な相手なのだろう。




一見したところ意味不明な色が登場する。色は気持ちを表した比喩表現だと捉えられる。キミの「声」や「言葉」によって、感情は多種多様に変化する。




本当にかかとを鳴らして歩きたくなるような軽快なテンポになっている。ようやく、キミの意味するところが分かる。これまで複数登場してきたキミは特定の人間ではなく、音楽を指していた。音楽と私の関係について書かれた歌詞であったのだ。人間における恋愛の関係に照らし合わせて、音楽と私を描いている非常に珍しい曲だと言える。「キミを歌えるようになる頃にはあたし多分 ビッグスター」の歌詞通り、EGOISTはその階段を上り続けている。




サビでは「羅列暗号」「解読魔法」といった言葉で言葉遊びが行われている。羅列暗号は楽譜という意味で解釈するのが適当だろう。解読魔法は歌詞に秘められた想いを紐解き受けとめることだ。キミは単なる音と文字であることは頭の中で理解してはいても、次々に感情を変えるキミは魔法のように私の心を動かすのである。

『LoneStruck』は、音楽に対する愛情が表現された曲になっている。chellyの音楽への想いをぜひ感じ取ってほしい。

TEXT:川崎龍也

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