【GRANRODEO】夢と現実の狭間にいる
ような、まさに“迷宮”のアルバム
デヴィッド・リンチの映画にある夢と現
実の狭間の世界観
「変幻自在のマジカルスター」に続く「ボルケーノ」は、すごくストレートなロックンロールですね。
e-ZUKA
たぶん一番最初にできたのが、この曲です。この頃、アイルランドのザ・ストライプスというバンドを聴いてて。若いけど古臭いロックをやってて、カッコ良いんですよ。で、歌とリフが交互に入る、こういうシンプルでストレートな曲っていいなと。そこにアン・ルイスさんとか相川七瀬さんとか、女の人が歌う昭和の歌謡ロックのテイストを加えたのが、この曲です。これまでのGRANRODEOの曲で言うと「欲望∞」とか、こういうテイストはたまにやってるんですけど、ライヴでも結構人気が高いんです。
KISHOW
これはもう、サビの頭で《ボルケーノ》って言葉をハメた時点で、勝った!みたいな感じでしたね。あとはボルケーノに似せていかに遊ぶかだったんで。
歌詞にある《やったるけぇの》は、地元の山口弁ですか?
KISHOW
中国地方の方言ですよね。岡山とか広島とか。“じゃけえ”とか“何とかけぇの”とかよく使うんで。
“ザーメン”って言葉も出てきますが。
KISHOW
椎名林檎さんも使ってますからね。先達がいるんで大丈夫です。確かに一瞬、待ったが入りましたが、ズリセンだ何だと、さんざん歌っているんで、今さらでしょ(笑)。
「wonder color」はファンキーなサウンドで、今までになかった感じですね。
e-ZUKA
ファンキーで、バカっぽいのが欲しかったんですよ。Bメロなんか、そもそもメロディーじゃないし。
男の低い声で英語のナレーションみたいな。
e-ZUKA
そうそう。『男女7人夏物語』の主題歌「CHA-CHA-CHA」で、そういうところがあって。あれで声をやっているのは、つのだ☆ひろさんですけど、ああいう感じでKISHOWにやってもらって、ピッチを下げました。
KISHOW
あと、《シャカブーン》とか、意味不明の合いの手が入ったりっていう。ああいうのは、岡村(靖幸)ちゃんも使ってるし。洋楽だとこういうのって、よくありますからね。
e-ZUKA
そういう擬音とか、メロディーじゃないものでつないでいく、変な構成の曲をやったら面白いんじゃないかって。
サウンド的には、ピアノが効いてますよね。
e-ZUKA
これはプロデューサーのアイデアで、オルガン奏者の河合代介さんが弾いてくれているんです。大貫妙子さんとかやっている方で、昔にピアノでお願いしたことがあったんですけど、オルガン奏者が弾くピアノってすごく独特なんですよ。ピアニストが弾くピアノとは違う、良い意味での緩さがあって、それが曲にすごく合ってていて、カラフルっていうか…それで“wonder color”っていう(笑)。
KISHOW
そこまで考えて付けてなかったけど(笑)。でも、この作詞はすごく楽しかったですよ。今までのGRANRODEOにはなかった毛色の曲調だったから、歌詞も今までになかった感じにしたくて。自分のことを歌いながら、ファンにも語りかけているようなものが出せたと思います。
河合さんの他には、アディショナル・ミュージシャンの方はどのくらい入っているんですか?
e-ZUKA
「Blue Pandora Box」の弦とプログラミング、「桜色第2ボタン」でコーラスが入っているくらい。あと、「DAWN GATE」の頭にある、映画のストーリーテラー的な感じのナレーションですね。これは有名なナレーターの方にやってもらった…というのは嘘で、スタッフにたまたま英語がしゃべれる人がいたんで。デモではキング牧師の演説を入れていたんですけど、Dメロの歌詞を英訳してハメたら演説っぽくなくなっちゃって。じゃあ、ストーリーを語るようにしようかって。それこそ『ロード・オブ・ザ・リング』とかの、ファンタジー映画の冒頭によくあるような感じです。
その「DAWN GATE」は9分弱もありますよね。もともとシングル「The Other self」の時に「DAWN GATE "Unfinshed"」として発表していましたが、それをアルバム用に長くしたのですか?
e-ZUKA
いえ、もとから長かったんです。例えば、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」は日本ではラジオエディットの短いバージョンが先に出て、後からアルバムの長いバージョンが出たんですけど、長いほうがもとになっている…そういう感じですね。ただ、もともと8分くらいだったのが、弦アレンジを考えていたら何となくさらにイントロを付けたくなっちゃって、それでどんどん長くなってしまったんです。でも、「DAWN GATE」のおかげで、よりコンセプチャルなアルバムというイメージになったと思いますね。
なるほど。KISHOWさんの中で、作詞の部分で一番苦労したのは、どの曲になりますか?
KISHOW
やっぱり「Blue Pandra Box」と「silence」でしょうね。アルバムのタイトルを“カルマとラビリンス”と自分で付けて、そのリード曲となるわけですから、責任を取らないといけないし。それに曲調が壮大なスケールだったから、軽い言葉じゃ成立しないと思ったし。その点で僕はもう、頭の2曲は地続きで考えているんです。そもそも、頭の2曲を1曲として“カルマとラビリンス”というタイトルの曲でいいじゃないかと思ったんですけど、2曲に分けるということで。だからと言って、1曲目が「カルマ」で2曲目が「ラビリンス」というのでは、ストレートすぎてバレバレでカッコ悪いし。結果としてふたつに分けてはいるけど、ふたつでひとつの世界観を想像してくれたら嬉しいですね。でも、正直言うと、イメージはわりとあったんですよ。ネタバレみたいになっちゃうけど、デヴィッド・リンチの映画によくあるような、夢と現実の狭間にいるような世界観というか。そこに僕なりの解釈を加えて表現した感じです。ああいう不思議な世界観はすごく好きなので、それを言葉として表現したらどうなるかなと。これは毎回そうではあるんだけど、基本的に歌詞の世界観は僕のものなんです。でも、頭の2曲に関しては、僕の個人的な趣味がより強いかもしれないです。
さて、来年にはライヴツアーがありますが、この作品をどうステージで表現するか楽しみですね。
KISHOW
「DAWN GATE」は、9分50秒バージョンを1回くらいはやらないといけないのかなって(笑)。
e-ZUKA
ホールツアーなので、シアトリカルというか、多少演出が入る感じになると思いますね。頭の2曲と最後の曲は、世界観として重要になることは間違いないので、そこの演出に一番お金をかけたいと思います(笑)。
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『カルマとラビリンス』2014年09月24日発売Lantis
- 【初回限定盤(DVD付)】
- LACA-35430 3780円
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『GRANRODEO LIVE 2014 G9 ROCK☆SHOW』2014年10月22日発売Lantis
- 【Blu-ray】
- LABX-8081~3 12744円
グランロデオ:“KISHOW”こと声優でヴォーカリストとしても注目されている谷山紀章と、メロディアスな曲からハードなギターサウンド曲までアニメーション音楽に幅広く楽曲を提供し、ギタリストとして活躍中の“e-ZUKA”こと飯塚昌明のふたり組ユニット。2005年11月のデビュー以来、HR/HM調の楽曲を中心としつつ、ポップスやフォークなど多彩なジャンルを取り入れた楽曲を発表し続けている。GRANRODEO オフィシャルHP