L→R DJ KATSU(DJ)、TOC(MC)

L→R  DJ KATSU(DJ)、TOC(MC)

【Hilcrhyme】全てにHilcrhymeとして
の意思が反映されたアルバム

ここがゴールじゃなくて さらに先に進
むための一枚

さっきの質問と重複するのですが、アルバムにはシングル曲やそのカップリング曲が入って、外部のトラックメイカーとの曲もある中で、それ以外の曲はどういうものを作ろうとしたのでしょうか?

TOC
アルバムを構成する上で足りない部分を補っていったという感じかな。っていう話し合をしてできた曲ですね。「ウィライキ」とかそういった感じです。自分たちの得意分野をちゃんと把握しつつ、そうじゃないところも見せる…「想送歌」とか「エール」みたいな自分たちの絶対的な武器をちゃんといいところに置きつつ、そうじゃない部分というか、今まで育ってきたバックグウラウンドを見せられるようなものも入れる。そういうのがナイスなアルバムなんじゃないかなと思って。
DJ KATSU
「BAR COUNTER」や「青天井」とかって数ある中からTOCがチョイスしたっていうのはあるんですけど、「ウィライキ」に関してはアルバムの前半にシングル曲が固まっているというところから、どういう曲にするかって話し合って作りましたね。俺がこういう感じの今時のUSヒップホップが好きなんで、そういうのはどうかなって提案して。結果、トラックは俺のイメージでやって、それを活かすかたちで TOC がサビのあとに《だんだん好きになる…》というリフレインを乗せて…俺の中ではこうくると思ってなかったので、曲はヒップホップのわりと重めなトラックなんですけど、その効果もあってすごくいい曲になったなと。同じ言葉を繰り返すのって中毒性があると思うんですけど、この曲はそういう要素を秘めてるんじゃないかなと。まだライヴでやってないんですけど、これは盛り上がると思ってます。
TOC
教えるところから始めようと思ってるんすよ、遊び方を。この曲は他の曲と毛色が違う…どヒップホップなんで、その遊び方をファンの人に教えてあげるって感じですね。

そんな王道のヒップホップでもHilcrhymeがやればちゃんとポップスになってるんですよね。

TOC
その通りですね。“ポップス”って言われることが最高の褒め言葉です。そんな人は他にいないんで。

今回もDJ KATSUくんのインスト曲(「SEA BREEZE - Instrumental- 」)があって、すごく自由に作っているなと思ったのですが。

DJ KATSU
これも5周年での原点回帰ですね。前作でやった「Fake City -Instrumental-」がエレクトロで、完全な個人的趣味に走ってるんですけど、さっきも言いましたけど“、自分が好きだからってみんなが好きだとは限らない”っていうのを結構最近感じてるんで、1回見直して…一番最初にインスト曲として出したのは2ndアルバ『MESSAGE』の「SKYDRIVE」という曲だったんですけど、その雰囲気に戻ろうかなって思って。もちろん、ただ昔作ったものをまた作るっていうのじゃなくて、今の感覚でやる…。最近結構ジャズが好きでよく聴いてたりするから、そういう要素をちょっと取り入れようかなと思って勉強しましたね。ジャズなんだけど今風のダンスビートとか、エレクトロな感じとかを混ぜまくって作ったら面白くなるかなと思ったんで。あと、テーマとしては主役を作らないという。ジャズの王道的なフレーズが入ってるんですけど、それはあえて主役にしないで、ある場面ではギターが主役になってたり、シンセが主役になってたり、ピアノが主役になってたりして、曲全体でいろんな情景を描く、みたいな。それでタイトルも“どこ吹く風”みたいな海風をイメージしました。この曲も原点を振り返って新しいものが作れたかなと思いますね。HilcrhymeのファンもHilcrhymeを知らない人も自然に聴ける曲にはなったんじゃないかと思っています。

あと、曲順もいいですよね。Hilcrhymeの意思表明でもある「NEW DAY, NEW WORLD」で始まって、いろんなテイストなナンバーがありつつ、最後はこの5年間闘ってきたことを歌ってるような「Welcome Back」で締めるという。

TOC
そう考えるとそうですね。でも、最初、「NEW DAY, NEW WORLD」と「Welcome Back」は真逆だったんだよね。
DJ KATSU
“Welcome Back”…“お帰りなさい”って最初にそれを言うか、最後に言うかってね(笑)。
TOC
やっぱり1曲目って大事じゃないですか。視聴機で最初に聴くだろうし。なので、1曲目は掴みがあったほうがいいなと思って、シングルだということもあるし「NEW DAY, NEW WORLD」になったんです。あと、10曲目に「Lost love song」が入ってるのがすごくいいんですよ。「SEA BREEZE -Instrumental-」を境に結構ダークなほうにいくというか。「ウィライキ」「青天井」ってライヴチューンなんで、その間に「Lost love song」があるのがすごいデカい。

中間の「BAR COUNTER」もいい位置にありますよね。

DJ KATSU
そうですね。バーカウンターからクラブのダンスフロアーのほうに行く感じで、その流れは結構好きです。

この曲順はすんなり決まったのですか?

DJ KATSU
今まではスタッフとかみんなで集まって会議室で決めていたんですけど、これは完全にふたりで決めましたね。まず俺がザックリと“こういう感じはどうかな?”って出して、そこから「NEW DAY, NEW WORLD」と「Welcome Back」が入れ替わったりしたんですけど、わりとスムーズに決まったと思いますね。とにかく前半が勢いあって、すごい聴き入るんですよね。「エール」とかも出たばかりのシングルなんですけど、こうやってアルバムに入って、この曲順になってより一層ハマってきたというか。その前半があるから後半の勢いもすごいし。で、「Lost love song」がすごいいい場所にあったりして、すごいバランス良くできたと思います。

そういう部分も含めて、まさに意欲作ですね。

TOC
満足度だけで言ったら今までで一番高いかもしれないですね。
DJ KATSU
本当、このタイトル通りのいい一枚ができたんじゃないかなと。5年後には10周年が来るだろうし、ここがゴールじゃなくて、さらに先に進むための一枚…確実に今までの4枚とは違う新しいものができましたね。これは本当、いろいろな人に聴いてもらいたいです。

そして、このアルバムを引っ提げて4月からツアーが始まるわけですが、どんなライヴにしたいと思っていますか?

TOC
クリエイティブなライヴにしたいですね。ラップ、音、ダンス全体的な流れ…自分よがりにならずに。かと言って媚びるようなライヴにならず、完成度の高いものを観せたいです。そこがデカいと思うんですよ。ラップの文化ではラフ感が売りみたいなところがあるけど、こういうワンマンツアー…しかもポップスの舞台でやるとなると求められるのはそこですね。歌のピッチだったり、リズム感だったり、視覚的なものも含めて。ラフ感でやっていては届かない…そこを逃げに使う人は本当に多いですからね。金出して聴きに来てるのに、下手クソな歌は聴きたくないじゃないですか。そこ気を付けたいですね。
DJ KATSU
ライヴは聴くだけじゃなくて、観て聴いて体で感じるものだと思うんですよ。照明とかそういう視覚的なものも使って…前回ではレーザーを取り入れたりしたんですけど、使えるもの全て使って観せる。でも、原点に帰るという意味だと、クラブでやってた頃は照明なんてただ顔が見えるだけのものだったから、そういう原点も見つめ直しつつって感じですね。何にもないところから組み立ててシンプルに観せることも必要だし、それはそれで奥が深いと思うし。そのバランスだと思うんですよ。その辺も今までは舞台監督に任せっ切りだったりしたんで、そういうところもふたりで話し合いながらやっていきたいですね。それが武道館につながると思うんで。
『FIVE ZERO ONE』2014年02月26日発売UNIVERSAL J
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UPCH-9921 3680円
    • ※初回限定盤DVDにはインディーズ時代から現在までの秘蔵映像&秘蔵写真で構成した「History of Hilcrhyme」を収録。
    • 【通常盤】
    • UPCH-1963 3059円
Hilcrhyme プロフィール

ヒルクライム:ラップユニットとして2006年に始動。09年7月15日にシングル「純也と真菜実」でメジャーデビュー。2ndシングル「春夏秋冬」が大ヒットし、日本レコード大賞、有線大賞など各新人賞を受賞。ヒップホップというフォーマットがありながらも、その枠に収まらない音楽性で幅広い支持を集めてきた。また、叩き上げのスキルあるステージングにより動員を増やし続け、14年には初の武道館公演を完売。「大丈夫」「ルーズリーフ」「涙の種、幸せの花」「事実愛 feat. 仲宗根泉 (HY)」などヒットを飛ばし続け、24年7月15日にメジャーデビュー15周年を迎える。ライミングやストーリーテリングなど、ラッパーとしての豊かな表現力をベースに、ラップというヴォーカル形式だからこそ可能な表現を追求。ラップならではの語感の心地良さをポップミュージックのコンテクストの中で巧みに生かす手腕がHilcrhymeの真骨頂である。耳馴染みのいいメロディーと聴き取りやすい歌詞の中に高度な仕掛けを巧みに忍ばせながら、多くの人が共感できるメッセージを等身大の言葉で聴かせる。その音楽性は、2018年にラッパーのTOCのソロプロジェクトとなってからも、決して変わることなく人々を魅了している。Hilcrhyme オフィシャルHP

OKMusic編集部

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