【TRIPLANE】
取材:藤津 毅
この曲がなかったら活動していないかも
!?
なんでも「白い花」はライヴ定番曲らしいですね。
はい。実はバンド結成当時からあって、一番古い曲なんです。アマチュア時代からライヴではずっとやってます。
曲ができたのはいつ頃ですか?
7年前ぐらいかな。当初、8分ぐらいある長い曲だったんです。経験を重ねていくにつれ、シェイプアップされて、今の6分になりました。
どのようなきっかけがあって、この曲を作ったのですか?
大学受験の浪人時代、家にこもってひたすら勉強していた時期があって。高校時代から付き合っていた彼女がいたんですけど、すれ違いが重なってフラれたんです。それまでちゃんと失恋したことがなかったし、受験勉強で気を紛らわせる手段もなくて。だから、ギターに向かって想いを乗せて…。そういう形でしか、はけ口がなかったんですよね。そんな中、ちょうど今ぐらいの寒い時期に模擬試験の会場に向かう道を歩いていると、普段、目に入らない景色が見られたんです。道端に葉っぱがあって、その上に雪が乗ってて。それが一瞬花のように見えて、すごく切ない気持ちになりました。今までそういうところに視点がいくことはなかったし。きっと失恋をしたからかなって。そんなことを考えていたら曲のイメージが出てきたんです。で、素直な胸の内を曲にしたいと思いました。
曲ができてメンバーにすぐ聴かせたのですか?
この頃、ちゃんとバンドを結成してなくて。ドラムの広田は別のバンドで活動してて、ベースの武田は自衛隊員だったんです。でも、すごく手応えのある曲ができたので、呼び出して聴いてもらいました。もともと広田は自分のバンドがあったし、僕らと一緒にバンドをやる気はなかったんです。でも、この曲を聴いて、ビビッときたらしく、そのバンドを辞めて一緒にやることになりました。
「白い花」がなかったら今のメンバーではなかったかもしれないのですね。そんな重要な曲を今までCD化しなかったのは?
ホント、不思議ですよね。自分たちでもどうして今まで出そうと思わなかったのかなぁって。まぁ、今年、夏のシングル『夏が終われば』を出したし、季節感を出そうと思って、今回、リリースすることになりました。結構、CD化に関しては賛否両論があって。CD化を望む声と、ライヴだけで聴ける特別な歌にしてほしいという声もあったんです。僕らとしてはライヴでもCDでも、より多くの人に聴いてもらう機会を増やしたかったんですよね。
CD化まで長い期間を経ていますが、曲はどのように変化していきましたか?
結構、アレンジや展開を変えたりしたんで、もともとがどういう感じだったのか分からないぐらいです。自分たちの成長とともに曲も変化していました。ただ、歌詞と基本的なメロディーは変えてません。歌詞は表現の仕方が荒削りだったりもするんですけど、そこがこの曲のいいところだったりもするし、昔からあるというところも反映されるし。
ストリングス、ピアノ、バンドサウンドが上手く絡み合ったドラマチックな音世界で、ショートムービーを見ているような感覚になりました。
そう言ってもらえてうれしいです。歌詞は情景描写が多いんで、そう感じるのかもしれない。実際に僕が感じた肌寒さや切なさが、聴いてくれる人たちに伝わったらいいですね。