キレキレダンスに迫力の殺陣…小川麻琴、舞台でヒロインを好演

キレキレダンスに迫力の殺陣…小川麻琴、舞台でヒロインを好演

キレキレダンスに迫力の殺陣…小川麻
琴、舞台でヒロインを好演

小川麻琴が、最高にいい。そして新選組が、カッコいい。10月23日〜28日まで都内・新宿の紀伊国屋サザンシアターにて上演中のミュージカル「誠〜とびだせ新選組〜」は、桑原譲太郎の小説をベースに、演出の野伏翔が脚本を書いたもの。池田屋討ち入りに向かう新選組の勇士たちが、平成の現代、女の子だけでまさに新選組のミュージカルを公演しようとしている劇場のセットにタイムスリップしてくるという荒唐無稽なシーンから始まる、劇団「夜想会」オリジナルのエンターテイメント作だ。

この舞台で、ヒロイン典子を演じる小川麻琴が、じつにさまざまな表情を見せる。その表情は、袴の裾にのぞくつま先から髪の毛に至るまで、場面に合わせてめまぐるしく変わる。特に、手の表情に注目したい。殺陣の場面でしっかりと刀を握る力強い手。殺陣が終われば、鞘に添えたその手がとたんにやさしくなる。顔を見なくても、手だけで心情の移ろいが伝わってくる。芝居が全身に行き渡っている証拠だ。

そして、新選組が沖田総司(川本稜と大平隆行のWキャスト)をはじめイケメン揃い。江戸時代の武士、いや男たちは、きっとこんな風に筋の通った生き方をしていたのだろうなと思わせるに十分なほど、たたずまいに説得力があり、凛々しくカッコいい。それだけに小川の女性ならではのしなやかさ、やわらかさが際立つ。迫力ある表情で凄みを見せる小川。普通の女の子的な台詞をしゃべる小川。どの小川も、いい意味でとても可愛い。
それとともに、ダンスシーンはじめ動きのキレは、ハッとしてしまうほどシャープ。小川がモーニング娘。時代を含め、これまでのキャリアでずっと培ってきたことの正しさが、ひとつひとつの動きに結実されている。昔からのファンはもちろんのこと、まだ小川をよく知らない人にも、小川麻琴という一人の演者に興味を持ってもらえる好舞台だ。

新選組をテロリストとして利用しようとする悪の勢力との戦いを通して芽生える、時代を超えた信頼と友情。そして解き明かされる沖田総司の血脈の秘密。根底に「現代の日本人が失いつつある正義とは?誠とは?真の勇気とは?」といった辛口のテーマが流れるが、それを肩肘を張らず、歌ありダンスあり笑いありの、誰もが楽しめるエンターテイメントに昇華させている。ネタバレになるので正体は書けないが、あるアイテムが沖田家の家宝として登場する。「いいのか、これで!?」と思わずヒザを打つ。そんな痛快さも心地よい。

【チケット等詳細は夜想会公式サイトで】
(yasokai.world.coocan.jp/framepage2.htm)

文・志和浩司
アイドルサイトIDOOOLにて『志和浩司のアイドル・スープレックス!』連載中
(i.listen.jp/st/sp/sp/idoool/column.html)

OKMusic編集部

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