のん、高橋幸宏ら「タイムマシンにお
ねがい」共演も、10周年<ワーハピ>
盛況のうちに閉幕
2008年の初開催から10年目を迎える音楽イベント<WORLD HAPPINESS 2017>が、8月6日(日)、東京・葛西臨海公演 汐風の広場にて開催された。
第一回以来慣れ親しまれてきた夢の島から隣駅の葛西臨海公園に会場を移しての開催となった今年の<ワーハピ>では、高橋幸宏といとうせいこうがWキュレーターを務め、総勢15組のアーティストが集結。6時間以上にわたって熱演を繰り広げた。
青空の下、この日最初のアクトとして登場したのは岡崎体育だ。関西弁混じりのMCで客席の笑いを誘いながら、「Open」「Call On」など4曲の熱演で会場を岡崎ワールドに引き込み、堂々のオープニングを飾った。
キュレーターの二人による開会宣言に続いては、広島の「原爆の日」に合わせた一分間の黙祷が行なわれ、広い会場が静謐な空気に包まれる中でコトリンゴのステージが静かに始まる。中盤、「この日は8月6日なので心を込めて歌いたいと思います」という言葉とともに披露されたのは、彼女が音楽を担当した映画『この世界の片隅に』のオープニング曲にもなった「悲しくてやりきれない」だ。ワンフレーズ歌ったところで、スペシャルゲストとして紹介されたのんが緊張した面持ちで登場。最後は二人のデュエットで歌い上げ、会場はその歌声に静かに聴き入った。
宮内優里は6thアルバムからの「neuh」や電子音が心地よく降り注ぐインプロビゼーションを響かせ、Nulbarichは「Lipstick」「NEW ERA」などグルーヴ感溢れるステージでグイグイと客席を惹きつける。「ワーハピは日本一民度の高いフェスだと思います!」と語る関取花は、「私の葬式」「もしも僕に」の2曲を清涼剤のような澄んだ歌声で届けた。
キュレーターのいとうせいこうはDUBFORCEのメンバーとともに登場し、盟友・Dub Master Xらの超絶プレイとマイク一本で渡り合う圧巻のステージを展開。中盤からはスチャダラパーと高木完が合流し、タイニー・パンクスの「MONEY」や「今夜はブギーバック」の共演で会場を大いに沸かせた。
クラフトワークをBGMに大きなメキシカンハットを被って登場したZOMBIE-CHANGは「GOODBYE MY LOVE AND TURN AROUND」「I CAN'T GET TO SLEEP」など4曲を、そして2016年に続く出演となるGLIM SPANKYは最新ミニアルバムからの「アイスタンドアローン」「美しい棘」や「怒りをくれよ」など5曲を届け、レフト・ステージに登場したみうらじゅんはギターをかき鳴らしながらディランや拓郎さながらの熱唱を披露。最後は「暑いのでクリスマスの唄を歌います!」とクリスマス曲を歌い上げる展開で真骨頂を見せた。
まだまだ陽の高い16時前、センター・ステージに登場したくるりは「ワールズエンド・スーパーノヴァ」を皮切りに、ラップを交えた「琥珀色の街、上海蟹の朝」や「Liberty & Gravity」など骨太のサウンドでオーディエンスを魅了。竹中直人は玉置浩二作曲によるオリジナル曲やRCサクセションのカバー「いい事ばかりはありゃしない」で会場を圧倒し、同名映画のテーマ曲でもある「サヨナラCOLOR」(SUPER BUTTER DOG)で締め括った。
「こんにちは、イエローマジックオーケストラです」「そして全てのテクノの産みの親、電気グルーヴです」の挨拶でのっけから会場を掌握した電気グルーヴは、新作からの「人間大統領」を筆頭に「プエルトリコのひとりっ子」~「いちご娘はひとりっ子」、「SHAMEFUL」などめくるめくステージを展開。キュレーター・高橋幸宏をネタに使った映像演出でも沸かせ、リズムに合わせて楽しそうに跳ね回る幼い子どもたちの姿も会場のあちらこちらで見られた。
出演アーティストに絡めた楽曲を盛り込んだ遊び心溢れるプレイリストでレフト・ステージのラストを飾ったTOWA TEIに続き、<WORLD HAPPINESS 2017>最後の出演アーティストとして登場したのは高橋幸宏だ。
「今日は80年代の曲とかをグチャグチャにやりますよ!」という宣言通り、序盤から「今日の空」「音楽殺人」「My Bright Tomorrow」といった80年代のナンバーが並びオールドファンは大喜び。鈴木慶一が加わってのTHE BEATNIKSコーナーではデビューアルバム収録の「No Way Out」と2曲の新曲が披露され、サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」では、のんが再びステージに。見るからに緊張した様子の彼女に幸宏は「思いっきりいって!」と優しく声をかけ、鈴木慶一は「冥土の土産だな、こりゃ」と目を細める。中学生の頃からバンドを組んでギターを担当していたというのんは、赤いテレキャスターを携えたギターヴォーカル・スタイルのパフォーマンスで強烈なインパクトを残し、一曲のみの参加ながらこの日いちばんのハイライトを作り上げた。
ラストはキュレーター・いとうせいこうが再び登場し、METAFIVEの面々によるサポートでジャパニーズ・ヒップホップのクラシック、タイニー・パンクスの「東京ブロンクス」を披露。場内の盛り上がりも最高潮に達する中、幸宏バンドのメンバーもステージに集結し、いとうせいこうの「また来年ね!」の呼びかけとともに6時間15分に及んだ<WORLD HAPPINESS>10周年記念公演は幕を閉じた。
Photos by TEAM LIGHTSOME
■<WORLD HAPPINESS 2017>セットリスト
2017年8月6日(日) 東京・葛西臨海公園
※=LEFT STAGE / 無印=CENTER STAGE
■岡崎体育
01.Open
02.Call On
03.Voice of Heart 2
04.okazaki child management
■コトリンゴ
01.ツバメが飛ぶうた
02.classroom
03.悲しくてやりきれない with のん
04.漂う感情
05.たんぽぽ
■宮内優里 ※
01.neuh
02.即興演奏
■Nulbarich
01.TOKYO
02.Lipstick
03.NEW ERA
04.Follow Me
■関取花 ※
01.私の葬式
02.もしも僕に
■いとうせいこう with DUB FORCE guest スチャダラパー/高木完
01.ダブシチュー
02.Dub Fire
03.浜辺
04.MONEY
05.今夜はブギーバック
■ZOMBIE-CHANG ※
01.GOODBYE MY LOVE AND TURN AROUND
02.I CAN'T GET TO SLEEP
03.恋のバカンス
04.WE SHOULD KISS
■GLIM SPANKY
01.アイスタンドアローン
02.闇に目を凝らせば
03.いざメキシコへ
04.怒りをくれよ
05.美しい棘
■くるり
01.ワールズエンド・スーパーノヴァ
02.Morning Paper
03.everybody feels the same
04.琥珀色の街、上海蟹の朝
05.Liberty & Gravity
■竹中直人 ※
01.ママとカントリービール
02.白い砂のサボテン
03.いい事ばかりはありゃしない
04.サヨナラCOLOR
■電気グルーヴ
01.人間大統領
02.Fallin’ Down
03.プエルトリコのひとりっ子
04.いちご娘はひとりっ子
05.Missing Beatz
06.SHAMEFUL
07.CATV2017
01.今日の空
02.音楽殺人 MURDERED BY THE MUSIC
03.No Way Out
04.鼻持ちならないブルーのスカーフ、グレーの腕章
05.シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya
06.My Bright Tomorrow
07.タイムマシンにおねがい with のん
08.Something In The Air
09.東京ブロンクス
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