『Walkings』、憧れの地・アメリカで
夢を掴む男たちの“歩む道、歩んでき
た道”
今回のSpotlightはスリーピース・バンド、『Walkings(ウォーキングス)』の登場です!
彼らはブルースやロックなどのルーツ・ミュージックを基軸に置きながらも、個々の演奏力の高さから生まれるソリッドで練度の高い音のうねりと抜群のグルーヴ感は、聴くものや見るものを昂らせる力を持っています。まさにバンドのコンセプトである「全時代ロック」の名に相応しい実力、そして求心力を持つロック・バンドです!
Walkingsは今月13日から行われる世界最大の見本市SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)のショーケースのひとつである“Japan Nite"や、TuneCore JapanがAFHCと主催するJapan Nite プレイベント Japan Nite Preview Show 2017 を含むアメリカ・ツアーを控えています。今回はアメリカ・ツアー出発前の彼らに心境を伺いました!
これからこのメンバーでアメリカに行
ける。
———本日はよろしくお願いいたします!
では皆さん、Spotlight初登場というわけで、Walkingsが現在の体制になるまでの来歴を伺いたいです。
そのときに貴志が当時やっていたGLIMALKINってバンドと一緒に関東代表として出たときに知り合ったのが最初だよね。
高梨貴志さん(以下、高梨):そこから、遊ぶようになったよね。
高田風さん(以下、高田):大会のあと、まだ若かったこともあってSALADとGLIMALKINは解散しちゃったんです。
そのあとは新しいバンドをやろうと最初はこの3人で集まってたんですけど、なんやかんやで大会の優勝者だった小林太郎が入ることになり、事務所に入って活動してました。
吉田:小林太郎とYE$MANってバンドで1年弱くらいやりました。
高田:事務所を辞めたあとは吉田と俺で”イッキーサンプス”ってバンドを組んで活動してたんですけど、当時のドラムが止むを得ずバンド辞めることになってしまって。でも、その時レコーディングがあったんですよ。 そこでドラム叩いてくれる人が居なくなっちゃったから、貴志を呼んで2曲叩いてもらったんです。それが2013年だったかな。
吉田:そうだね。
そのあとはまた新しくドラマーを入れて、2年ぐらい一緒にやってたのかな。
高田:そうそう。
新しいドラマーが入ってからすぐ3ヶ月くらい一人でアメリカに行ってたんですけど、 (バンドの名前が)イッキーサンプスだとアメリカの人たちってホワイト・ストライプス好きな人たちがめちゃくちゃいっぱいいて、ルーツがバレバレすぎて恥ずかしいって思ったんで、帰国してから名前を変えてWalkingsになりましたね。
———Walkingsの名前の由来って何かあるんですか?
———(笑)!
高梨:良かった〜、そんなバンド名じゃなくて(笑)。
高田:全力の反対を受けて(笑)。他の候補をどんどん挙げていったら“Walkings”ってバンド名に落ち着いたんですよね。
当時、アメリカ……フィラデルフィアとかに行ってきたこともあってゴスペルにハマってたんですよ。ハモンド・オルガンとかでやるゴスペルってジャズの要素も入っていたりして、そこからWalkingって言葉が出てきた感も否めなくはないんですけど。
高田:バンドの歴史の話に戻ると、新しいドラマーが入ってから俺はもう一回アメリカに行ったんですよ。それで帰ってきてからバンド活動をやってたら、2015年にフジロック(・フェスティバル)に出れたんですよね。フジロック出てから2週間後くらいにドラマーがバンド辞めるって言い出して。
高田:最初は引き止めてたんですけど、このままじゃ埒が明かないってことで引き止めるのをやめ、貴志に入ってもらいました。
高梨:またレコーディングがあったってのもあるよね。
高田:そうそう。その時はP-VINE RECORDSっていうところからリリースすることが決まってて。
一緒に仲間意識を持ってできる奴とやりたいなと思ってたところで、貴志が正式に加入してくれました。そこから1年ちょっと経ったって感じです。
そしてこれからこのメンバーでアメリカに行ける、というわけです。
フレーズ1個単位で考えると結構古臭い
ことやってたりするけど、全体的に見る
と現代っぽいようなものを作りたい。
———Walkingsの楽曲作りってどのようにされてますか?
人が歩いてるのを観察してると、足出したねーちゃんがめっちゃ急いで歩いてる感じのスピード感と、それと同じスピードで歩いているお兄さんはなぜか堂々と余裕をもって歩いていたりとか。なんか、そういうのを見ていて、そのお姉さんの感じだと何も思いつかないんですけど、スピード早えのに堂々と歩いてるあのお兄さんカッケーなぁって思って、そこから曲ができたりしますね。
———生活の中にちょっとしたヒントがあるわけですね。基本的に高田さんが曲を作られるんですか?
———なるほど。
皆さんが影響されたルーツ・ミュージックや影響されたミュージシャンについて伺いたいです。
あとはクリームの時代のエリック・クラプトンも好きなんですけど、なぜかクリームは今聞くと古臭く感じるんですよ。ね、あれなんだろうね。
吉田:なんだろうね。おじさんって感じがね。
高田:おじさんがやってそうな感じね。
ジミ・ヘンドリクスは古臭く感じないんですよね。音色的にはいなたいんでパンチはないですけど、かっこいいなって思うんですよね。
吉田:ジミヘンって緩急がある気がする。攻めてきたり、引いてきたり。
高田:あ〜。2ndとかをスタジオの音響で聞くとわかるけど、ミュージカルみたいな……3D感がすごいよね。
吉田:俺はなんやかんやベース弾くときにイメージがあるのはストーン・ローゼズのマニが好きで。レッド・ツェッペリンとかも好きなんですけど、ツェッペリンから明らかに影響を受けているのをクラブっぽく弾いている感じとかかっこよくてずっと好きですね。
高梨:僕はパワフルさで言うとレッチリのチャド・スミスなんですけど。スタイルで言うとミュートマスの、ダレン・キング。ダレン・キングの叩いてるときのゴリラみたいな感じでパワフルだけど、見た目がシュッとしている感じは目指してますね!
Tシャツインしちゃう感じとか、シャツのボタン留める感じとか、腕まくる感じとか、もろパクってます(笑)。形から入るみたいな。
「ぶっちゃけライブハウスよりも路上
のほうがよくない!?」
———Walkingsの皆さんといえば、最近まで路上ライブを精力的に行っていたそうですが……!
———その場の注意だけで済むかと思いきや、逮捕される事例は初めて聞きました……!
高梨:他の路上ライブやっている人たちよりも機材は妥協せず本格的にやってて。ガチでドラムセットを組んで、音量もかなり上げてやってたので余計に目立っちゃった感じがありますね(笑)。
高田:逮捕されるとは思わなかったね(笑)。
楽器も没収されちゃいましたしね、証拠品として。反省してるのでもう一生やらないです……。って、(記事に)書いておいてください(笑)。
———(笑)。今や伝説となったWalkingsの路上ライブですが、どういったきっかけで始められたんですか?
実際に路上でやってみたら30分から1時間くらいのライブでCDが20枚くらい売れるんですよ。「ぶっちゃけ、ライブハウスよりも路上のほうがよくない!?」って感じにもなったりとか。
高田:あと、ライブハウスに来る人って結構限られていると思うんですよね。その絶対数の少ない中で、お客さんを取り合ってるみたいな感覚もあったので、全く違う方向からライブハウスに来てくれるお客さんが増えたらいいなぁ。って思ったりもしました。
吉田:実際にライブハウスに足を運んでくれるお客さんも増えたし、しかも根強いっていうか、応援してくれるひとたちがついたよね。
高梨:あと、演奏面でも変わったことがあって。
1回、野外ライブの時に返しのモニターが無い、歌が聞こえない状況でもライブが上手くやれたことがあったんですよ。息の合わせ方みたいなものは路上をやって多少レベルアップした感じがしました。
高田:うん。グルーヴがかなり上がったもんね。
俺らがアメリカへ何のために行って、
何のために行動するのか。
———では、SXSW、Japan Niteツアー出演に関してお話を伺えればと思います。Sony MusicとJapan Nite共催のSXSW出場をかけたオーディションが出演のきっかけだったんですよね。
高田:オーディションはファイナルまで残ったんですけど、結果を残せず……。俺たちとしては完全に優勝できたと思ってたんですよね。演奏もすごく満足できるもので。
実は前日にFEVER(オーディション会場の新代田FEVER)でこっそりゲネプロをやらせてもらうぐらい気合い入れて挑んだんですよ。一生懸命やったので結果を知ったときは泣きましたね。でも、ありがたいことにWalkingsのことを気に入ってくれたJapan Nite側からオファーしてもらったんです。
———結果に関係なく、実力が認められたというわけですね!
そして自費でアメリカに行くにあたって、クラウドファンディングを使うことになったと。
この3人だけでアメリカに行くとしても最低100万円くらいはかかるんですよ。ビザ代も含めると130万くらいにもなっちゃうし。それを考えるとあと2、3カ月でそんだけのお金を準備するのもさすがに厳しいですよね。
そこでクラウドファンディングをいろんな人に勧められてたこともあって、Muevoっていうサイトの人に話を聞いてもらったんです。
【Walkings】SXSW出演決定!アメリカツアー密着ドキュメンタリー映画製作プロジェクト
(※3/8時点でプロジェクト100%達成!支援は3/29末日まで)
それでもまだクラウドファンディングをやろうか迷ってたんですけど……。当時、日本で初めてのクラウドファンディングの教科書みたいなやつを読んだんですよ。2013年くらいの、まだクラウドファンディングが普及していない時に書かれた本で。こう、クラウドファンディングをバンドがやるってダサく見えがちな感じがしません?
吉田:必死っていうか……なんていうかね。
高田:でもその本を読んだら、クラウドファンディングをやることって、自分たちの名前を広く知ってもらえるきっかけにもなるし、みんなに協力してもらえることで俺の持っている夢を、みんなの夢に変えていける手段なんだと気付かされました。
吉田:夢はみんなの力で叶えるものだよね!
———クラウドファンディングにはリターンがつきものですが、リターンの内容は、どのように考えましたか?
リターンをどうするかめちゃくちゃ考えた中でも、「俺らがアメリカで何のために行って、何のために行動するのか」、俺たちの熱い気持ちが見えるものを作ろうとしています。
高田:リターンの映画を撮るにあたって映画監督(長棟航平さん)についてきてもらうんですけど、面白い映画にできれば、その映画だけで広がりを見せるかもしれないじゃないですか。それは監督にとっても俺らにとってもいいことにつながりますしね。
———まさに文字通りの、クラウドファンディング本来の目的である“夢を叶えるシステム”となったわけですね!
デジタルツール繋がりで TuneCore のことについても伺いたいんですが、TuneCore の存在をご存知でしたか?
吉田・高梨:知らなかったです。
高田:TuneCore のことは Japan Nite の人に教えてもらったんですけど、単純にいいサービスだと思いましたね。次のリリースも TuneCore でいいんじゃないかって思うくらいで。
海外の Spotify とかにも配信できるんですよね。実際、ストリーミング・サービスがきっかけで海外からの問い合わせもありましたし。最高です!
———ありがとうございます。ご自身でストリーミング・サービスは使いますか?
———では最後に、SXSWを皮切りにはじまるアメリカ・ツアーの意気込みを伺いたいです。
吉田:正直、俺たちくらいの立ち位置のバンドがアメリカにどのくらいいるかよくわかってないけど、ツアーもするから……バトルだよね!なんか、ヒリヒリできそう。頑張ります!
高田:まず、オースティンにいる間は路上ライブをめちゃくちゃやろうと思ってて。アメリカではまだ路上ライブができるし(笑)。それは東京でやってた時と同じだけど、とにかくいろんな人に見てもらって、俺たちの音楽に気づいてもらいたいです。
想像ですけど、アメリカは音楽の受け方が日本とはもうちょっと違うんじゃないのかなって思うんです。俺らの音楽をアメリカ人が気に入ってくれるんじゃないのかなって予想があるので、アッと言わせるグルーヴを感じてもらいたいですね。
そんでもって、また次のアメリカ・ツアーに繋げられるような動きをしていきたいです。
AFHC & TuneCore Japan presents "Japan Nite Preview Show 2017"
料金:FREE
場所:Valhalla Austin
出演アーティスト:CHAI, Tokyo Chaotic!!! (Srv.Vinci ), Walkings, DJ RS, RIRI , Hanato Chiruran , ANALOGIX, SatelliteYoung
詳細はこちら
Japan Nite US tour 2017
3月19日(日) KnittingFactory(Brooklyn, NY)
3月20日(月) Doube Door(Chicago)
3月22日(水) ChopSuey(Seattle)
3月23日(木) Dante’s(Portland)
3月24日(金) The Merrow(San Diego)
3月25日(土) The Hi Hat(LosAngeles)
3月26日(日) The Independent(SanFrancisco)
取材・構成:コイズミリナ
ライブ写真: Masahiro Saito (Twitter)
Walkings
2015 7月FujiRock Festival Rookie a go go 出演
2016 4月P-vine record よりFirst FullAlbum 全国発売
2016 12月自主制作にてEp 「genius」発売
Muevo(クラウドファンディング・ページ)
アーティスト
関連ニュース
TuneCore Japan
チューンコアは、自分の楽曲をiTunes, Amazon Music, Google Play Musicなど世界120ヵ国以上の配信ストアで販売できるサービスです。