洋楽ロックバンド10選 今後流行るで
あろう実力派バンドを紹介

Temples

テンプルズは2012年にイギリス、ノーサンプトンシャーで結成された4人編成のロックバンド。
2017年にリリースされた2ndアルバム「Temples / Volcano 【LP】」は、前作以上にシーケンスを多用して1970、1980年代の英国サイケデリックロックの音像にアプローチしたサウンドに仕上げた印象があります。
このアルバムのリードシングルになった”Certainty”は、オープニングからリバーヴの効いたキーボードのサウンドが鳴り、ヴォーカルの歌声やメロディーラインがより一層に幻想的な雰囲気を醸し出して異世界へ誘われる感覚を覚えます。
また、CDジャケットは人が異次元空間をワープしているような表現のアートワークでシンボリックなデザイン・コンセプトがとてもユニークで独創的です。抑揚のあるメロディー、ドリーミーなヴォーカルワークの色彩感とジャケットのデザインとが重なり合うイメージにクリエイティビティの高さだけでなく、この曲のコーラス部分の心地よいメロディーもかなり印象的なので、ぜひおすすめしたいです。
アルバム全体としては、ミックスされた音がものすごい良い仕上がり。リバーヴ音に心地よい広がりがあり、いつもの作品に比べて音量を大きくして聴くとコンサートホールで聴いているかのような音に包まれた感覚になります。音量を変えるだけで聴こえ方が一変するアルバムも珍しいかもしれません。
大多数のUKロックバンドにとって2ndアルバムは勝負どころであると同時に、今後の人気を左右する分岐点でもありますが、あえて今作をセルフプロデュースでリリースしてくるあたりに彼らの自信の表れを感じます。

Cigarettes After Sex

2008年アメリカのエル・パッソにて結成された4人編成のドリームポップバンドがシガレッツアフターセックス。
楽曲を聴くまではアングラなロックンロールやストーナーロック、ドゥームメタルとのクロスオーバーなどの音楽性を、そのバンドネーミングから音楽性をイメージしていました。
2017年にリリースされたセルフタイトルの1stアルバム「シガレッツ・アフター・セックス [ シガレッツ・アフター・セックス ]」は、心地良いまどろみへと誘うスローコアなサウンドとアンニュイで甘美なヴォーカルが重なり合う艶やかな美しいドリームポップなサウンドが印象的なのでおすすめします。アルバムを通して聴くとロマンチックな映画を観ているかのような作品なのですが、特に男性ヴォーカリストのアンドロジナスな声質と歌声がフランソワーズ・アルディーをイメージさせます。
また、4曲目”Apocalypse”の音楽的ルーツは異なるのにビル・エバンスの”Blue In Green”をイメージさせる静謐の美に満ちた音楽性というか、幽玄な色彩感に満ちたイマジネイティブな音楽性が素晴らしいです。
マイルス・デイヴィスのように、より自由な表現を追求することによって新感覚の音楽(ジャンル)の可能性を開拓しようとしているのかもしれませんが、現状はアンビエント・ポップ、ウォッシュト・アウトのようなチルウェーヴなサウンドで幻想的かつ耽美的な音の世界観を構築しているアーティストという印象を受けます。

Formation

リットソン兄弟を中心にイギリス・ウィンブルドンで結成された5人編成のロックバンドがフォーメメーション。
2017年にリリースされたデビューアルバム「Look at the Powerful People」は、1970年代後半から1980年代のポストパンクを想像させる情熱的なロックスピリットとロック、ジャズ、 ファンク、ハウス、アフロ・ビートなどの音楽的要素をジャンクにミックスさせるセンスを感じます。その仕上がりは、実に多彩でエキサイティングです。
特徴としては、パワフルなドラムに、ギターレスなためかベースがメロディアスにビートを刻むことでアンサンブルが引き締まって生まれるタフで美しいグルーヴ、綿密に酩酊感や自由を表現して空間を支配するシンセサイザー、UKらしい言葉を詰め込むスタイルのダイレクトなヴォーカルと言った要素をベースとしています。なにより、ミニマルが持つ中毒性、ポップのダイナミズムも吸収した高い曲構成力と表現力が印象的な作品の数々は非常におすすめです。
また、アンダーグラウンドなハウスミュージックの新世代トラックメイカー、レオン・ヴァインホールを共同プロデューサーに迎えて制作した作品はバンドシーンのみならず、ダンスフロアでの支持も高まりつつあります。
リスナーや音楽ファンが想像する以上に、現状はバンドとして活動することが険しい時代、彼らがまず本国イギリスにおいてどの程度のポピュラリティを得ることができるかどうかは正直わからないです。しかし、アルバムの3曲目”Powerful People”は、ダンスフロアにパワフル・ピープルが吸い寄せられ無限に広がっていく情景をイメージさせるサウンド・プロダクションに新世代のブリティッシュロックサウンドを鳴らす正統派アウトサイダーならではの音楽性とメンタリティーに期待したいです。

Circa Waves

2013年にイギリス、リヴァプールで結成された4人編成のロックバンド、サーカウェーブス。
2015年にリリースされたデビューアルバム「Circa Waves / Young Chasers 【CD】」は、底抜けにキャッチーなメロディーセンスと2000年代以降のインディー・ロックの要素を詰め込んだ無敵のキラーチューン。勢いのある疾走感あふれるソリッドなギターサウンドが印象的で非常におすすめです。
一方、今年リリースされた2ndアルバム「Circa Waves / Different Creatures 【LP】」は、前作の持っていた常夏をイメージさせる快活なサウンドとは打って変わり、砂塵が舞う夜をイメージさせる作品に仕上がっています。
彼らの魅力は音楽性よりサウンドプロダクションにあると思います。ソングライティングのセンスもありますが、必ずしもリスナーやファンを意識したクリエーションアウトをすることがないため、アルバム作品により作風が異なる点が特徴になっていくのかもしれません。
個人的にはリスナーはマスベース、音楽ファンはファンベースに構築していかないとビジネスの企画が成り立たないことが考えられます。しかし、今作は敏腕音楽プロデューサーであるアラン・モウルダーとタッグを組んで制作に臨んだようです。その音楽は、よりラウドでエネルギッシュなバンドサウンドに変貌しています。 方向性としてはこれからよりヘヴィなロックサウンドへとメンバーが突き進んでいくような予感はあり、ハードロックを好む方にもこのバンドを追ってほしいです。

THE FAME RIOT

ニルヴァーナやサウンドガーデンのグランジ・ロック、天才ギターリスト・ジミー・ヘンドリックスを産んだ、シアトルのロックシーンから生まれたフェイムライオット。クラシックロック、グラムロック、ポップ、エレクトロ、ディスコミュージック…など過去4世代に渡って聴き継がれてきた音楽のいいところ取りエッセンスを今風にチューンアップした独自の音楽スタイルで、今じわじわと米国西海岸を中心に人気が高まっています。
バンドの中心となるマルチプレーヤーの兄弟、リズとシャザーンが結成したこのバンドは、2017年にデビューミニアルバム「Heart Stray」を発表。ダンサブルでどこか懐かしさを感じさせるメロディー・ビートで聴く人の五感を刺激します。
デビューミニアルバムにももちろん収録されているデビューシングルの”Heart Stray”はキャッチ―なメロディーラインで、地元FM局でこの夏頻繁に聴くことができました。そして、彼らの魅力を語るのに欠かせないのが、彼らのアンドロジナス的な独自ファッションスタイルでしょう。キラキラのグリッタージャケット、デヴィッドボウイを彷彿とさせる派手なピエロ風ジャンプスーツ、ファーコート、ユニークな形のサングラス…等々を身に着けたこの兄弟はまるで1970年代グラムロック時代の落とし子のよう。
シアトルの一大イベント「バンバーシュート」の出演経験もある彼らは、この夏、シアトルで開催された「エンドサマーキャンプ・フェス」の初日と2日目に登場し、エネルギッシュなライブで観客を熱狂させました。自らやファンを「フリークス(freaks)」と呼ぶ彼ら。性別・年齢など既存の概念にとらわれない自由な彼らの音楽と気風は、老若男女のフリークスファンを生み出しています。THE FAME RIOTは、今後、更なる飛躍が期待される2017年一押しのバンドです。

The Sherlocks

2010年にシェフィールドで結成された2組の兄弟から成る4人編成のロックバンドです。
2017年8月にリリースしたデビューアルバム「Sherlocks (Rock) / Live For The Moment 【LP】」は、ギャヴィン・モナガンのプロデュースによる彼らのエッセンシャルでもあるクールでロマンチックなUKロックアンセム集ともいえる作品に仕上がっています。まどろっこしいストーリーテリングを廃してストレートかつ鮮やかに躍動感のあるサウンドが印象的でここ最近の洋楽の中で一押しです。
また、音楽性は正統派ロッカーズのThe Clash、ネオモッズの原動力The Jam、独創性のあるクリエイティブな感性Arctic Monkeysをイメージさせます。各地で精力的に行 っているライブのチケットも軒並みソールドアウト、キングス・オブ・レオンのアリーナツアーのメインのサポートアクトに選出もされ、まさに絶好調であります。
ちなみに彼らのライブのセットリストの決め方はファン目線で、ファンから人気の高い”Chasing Shadows”を最後の曲にしています。夜遊びで酔いつぶれるといった若者なら共感しやすい歌詞にスタジアムアンセムを意識したような大きなコーラスが特徴的な楽曲です。
上記ではすぐにブレイクしたように見えますが、現状はアルバムデビューまで長い月日を要し1,200以上のライブを経験しています。なので、そのライブへのこだわりが強く、ファン参加型のライブでない演出型ライブの場合、バンドのコンセプトをしっかり決めてからセットリスト(戦略)を決めないと宣伝しても意味がなくなる。 例えば、自分たちのライブ映像を客観視して「このライブ(ステージング)にいくらぐらい払えますか?」という質問でアンケート調査して数値化してみる方法など、ビジネス思考へ転換した際に”入り口を広く、出口は狭くする”というアプローチを実践できかつ効果的で企画に役立てています。

The Big Moon

2014年ロンドンで結成された4人編成のガールズロックバンドがビックムーン。演奏自体はエラスティカからザ・リバティーンズまで正統派UKロックだが、ヴォーカルの歌唱スタイルがマドリッドで結成されたハインズとの同時代性を感じます。
本国イギリスはギターロック復権の機運が高まる中で、2017年4月にリリースしたデビューアルバム「Big Moon / Love In The 4th Dimension 【LP】」は、基本的にソリッドかつラウドなギターサウンドを基調とするロックですが、2曲目”Pull the Other One”は軽快なグルーヴが心地よく、3曲目”Cupid”はBPMを落として滋味に聴かせるように仕上げたアレンジの多彩さが魅力的で良作な作品です。
また、歌詞は奇を衒う言葉遊びや詩ではなく、アーティストのオープンマインドに素直に歌う等身大の姿が印象的です。ベッドルームでとりとめのないおしゃべりをしているようなジャケットに通じる親密な空気を漂わせながら親近感を抱かせるイメージも悪くはありません。しかし、全体的に聴くとクリエイティブ性は乏しくオリジナリティーもないです。一言で言えば、”器用貧乏”なアーティストなのかもしれません。 確かにデビューアルバムは良作です。でも、傑作には感じません。まさに今後に期待できるロックバンドです。

The Overslept

次におすすめしたいバンドは、オランダのヒルフェムスムという街を拠点にするオーバースレプトというバンドです。
まだバンドのオリジナル曲は少ないですが、YouTubeの公式チャンネルにはライブの様子やVlog、カバー曲を演奏する動画が次々にアップロードされており、じきに日本でも話題になることが予想できるバンドです。
2017年の3月末に、オランダのアムステルダムで行われたバステッドのライブの前座をつとめるまでになったことも期待できるポイントのひとつです。バステッドのカバー曲動画もアップロードしていますが、ボーカルを取れるメンバーが多いので、アレンジの幅も広がっています。オリジナル曲のアコースティックアレンジは、メンバーそれぞれの演奏力が高いので聞かせる仕上がりとなっています。
おすすめしたいアルバムは「Little Miss Has-Been」。以前の作品に比べて、あまりテイストは変わっていないものの、音の厚みが増しているように感じる1枚です。アンダーグラウンドな雰囲気が強いバンドでしたが、このアルバムではメロディーやリズムが大衆的なイメージ。バステッドのライブに出たことが、曲の雰囲気が変化した一因なのかもしれません。

Issues

イシューズはジョージ洲アトランタにて2012年に結成されたロックバンドです。
おすすめしたいアルバムは2枚目のフルアルバム「ヘッドスペース [ イシューズ ]」。このバンドはロックバンドとして今現在のロックシーンの最先端バンドではないでしょうか。
ツインボーカルのうちの1人、テイラーカーターのR&Bを経由したボーカルスタイルはロックシーンのボーカリストとしては”目を惹く”ならぬ”耳を惹く”強烈なインパクトを持った存在感のある歌声、他のロックバンドとは明らかなレベルの違いが感じられます。
最初のフルアルバムに収録されている楽曲では重さや激しさに重きを置いているように感じられます。その楽曲たちから演奏力・ソングライティング力ともに高いことは理解していましたが、それと同時にこだわり過ぎたが故の楽曲の振り幅の狭さが感じられました。
しかし、この「Head Space」ではテイラーのR&Bボーカルスタイルがファーストで味を占めたかのようにさらに磨きがかかり、さらにファーストまではスクリームのみ担当していたもう1人のボーカリストマイケルボーンがクリーンボーカルへ参入したことによりツインボーカルの掛け合いがさらに進化しました。
楽曲スタイルはベーシストであるスカエラーエイコードのファンキーなスラップ奏法などもガンガン取り入れられ、個人的に気になっていた前作の”楽曲の振り幅”をバンバン飛び越えて払拭いく素晴らしいアルバムとなっております。

CHON

2017年最も注目すべき海外のバンド、チョーンというバンドをみなさんはご存知でしょうか。CHONはアメリカはカリフォルニア州のサンディエゴを出身としているバンドです。
私自身、1年ほど程にYouTubeでとある海外のバンドのライブ映像を観ていた際、関連動画として表示されているのをほんの少しの興味本位でクリックしてみたのが、CHONとの初めての出会いでした。
いわゆるインストゥルメンタルという歌のないスタイルで活動しています。音楽が好きな方の中には、「歌がない音楽ってちょっと取っつきにくい…」「どこで盛り上がったらいいのかわからない…」と感じる方もいるかもしれませんが、そんな心配は無用。彼らの音楽は変拍子にギターのスウィープ奏法を多用した正にテクニカルな音楽性で、持ち味はなんといっても美しいギターサウンド。こんなに指って動くの!?と驚きたくなるほどの目まぐるしい旋律。ギターの弾けない、難しさの分からない私でも容易に感動させられました。一方、ベースやドラムのグルーヴは非常にタイトで、重たさを一切感じさせないサウンドです。
今回おすすめしたいアルバムは、今年の6月にリリースされたばかりの2ndアルバム「【輸入盤】Homey [ CHON ]」。ミュージックビデオにもなっている”Sleepy Tea”という楽曲はアルバムのリード曲にもなっており、とても美しい楽曲です。12曲収録されてたったの40分という構成ですが、かなり濃密な時間を過ごさせてくれる、「名盤」と語り継がれるであろうアルバムです。
また、CHONは2017年の10月には初来日ツアーを行うことが既に発表されています。
夜も更けた頃にしっとり音楽を流したい時にぴったり。聴き入れば超絶テクニックに触れられ、BGMとして日常をセクシーに彩ってくれること間違いなしです。ぜひ一度聴いてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
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