【レポート】<BARKS presents HAIO
KA PREMIUM LIVE>、カワサキが提案
する“五感で楽しむ空間”でのアンビ
エントな大人の夜
5月22日(水)、東京・神田にある商業施設「マーチエキュート神田万世橋」のカワサキショールームにて、<BARKS presents HAIOKA PREMIUM LIVE>が行われた。
「カワサキショールーム マーチエキュート神田万世橋」は、川崎重工業の前身、川崎築地造船所創業の地とも隣接する職人の街・神田に、オートバイのメーカーである「カワサキ」が新たに提案する“ライフスタイルを発信する場”として期間限定でオープンしているショールームだ。
そんな特別な空間で、この度パフォーマンスをするのはエレクトロニカ系アーティストのHAIOKA。HAIOKAは昨年、リチャード・グレアム監督のドキュメンタリー映画『ZAN〜ジュゴンが姿を見せるとき〜』で劇伴を担当、年末には全く違う作風のテクノトラック「Reentry」をリリースするなど、精力的に活躍中である。
「カワサキショールーム」は複数の店舗が連なる共有スペースでもあり、音楽イベントと言えど生ドラムの使用は禁止されており、HAIOKAの得意とするアンビエントサウンドにはもってこいのスペース。この日も平日の夜にもかからわず、『ZAN』サウンドトラックからの生パフォーマンスを期待したファンたちが多数集った。
19時15分、定刻通りに始まった<HAIOKA PREMIUM LIVE>。オープニングは2013年にリリースしたEP「Harumi」のタイトルナンバー「Harumi」だ。早めの4つ打ちに緩やかに揺蕩う琴の音が印象的な作品で、会社帰りだと思われるサラリーマンをはじめ、集まった人たちが早速身体を揺らす……。HAIOKAのアンビエンスが、1912年に完成した赤煉瓦造りの万世橋高架橋で自然と作り出され、加えて「カワサキ」がプロデュースする“五感を楽しむ”空間というコンセプトが、1曲目から程よくマッチしている。
2曲目は2013年に発表されたアルバムのタイトルトラックで、オリエンタルな情緒漂う「Blowin' in the wind of love」、そして太鼓、笙、鈴などHAIOKAの考える“日本の音”を全面に押し出した、不思議な浮遊感を感じられる2016年のアルバム『Riwaindo』収録の「Green Tea」と続く。
「Zekka」ではリアルタイムでのエフェクトを多用したボーカルを披露したHAIOKA。美しいピアノと図太いシンセの対比、その間を繋げるようなマシンライクなボーカル音という、絶妙なバランス感を楽しめる作品で、こちらは2015年のアルバム『From Ash Hill』収録。5曲目となる「Love is left」も同アルバム収録で、こちらも“声”を中心とした楽曲。こちらはほぼノンビートで、荘厳なシンセ音が耳に残る1曲。赤煉瓦造りのホール内で聴くこの音は、特別な広がり感を見せていたようにも感じた。
次の曲のイントロが始まると場の雰囲気が変わった。「ZAN」である。緩やかなビートが始まって登場したのは、この日のスペシャルゲスト、石垣優(やなわらばー)。映画『ZAN』の中でも特に象徴的な一曲となっている「ZAN」は、モニターに映し出された沖縄をモチーフとした映像も相まって、雄大な沖縄の海を思い起こさせる。そこにはもちろん、石垣の沖縄民謡独特の歌唱法がピッタリとマッチする。ループするHAIOKAのアンビエントなトラックに石垣の声、そこに音楽的な展開はほとんどないが、ズーッと聴いていたいという不思議な感覚に、来場者は囚われたはずだ。
最後に披露されたのは、サウンドトラック『ZAN』のオープニグを飾る「Tsuki Nu Kaisha」。こちらも音数は決して多くないものの、石垣の“声”とHAIOKAのシンセ音が身体を包み込むような暖かく優しい1曲だ。この度、カワサキが提案する“五感を楽しむ”空間で行われた特別なパフォーマンス。終演後、HAIOKAもここの音響をいたく気に入った様子で「演者としても音の響きが気持ちよかったですね。今度は違う編成でライブを披露してみたい。」と語った。
特別な空間で特別なひと時を過ごす……。この日訪れた来場者は、この「カワサキショールーム」で、まさに五感を楽しむ体験ができたはず。次回のイベントは未定となっているが、本稿を読んだことで興味を持った方は、ぜひ一度「カワサキショールーム」に足を運んでいただきたい。
[セットリスト]
01. Harumi
02. Blowin' in the wind of love
03, Green tea
04. Zekka
05. Love is left
06. ZAN
07. Tsuki Nu Kaisha
02. Blowin' in the wind of love
03, Green tea
04. Zekka
05. Love is left
06. ZAN
07. Tsuki Nu Kaisha
撮影:Ikuya Nishikado
取材・文:BARKS編集部
取材・文:BARKS編集部