V6井ノ原快彦の「奥深さ」に有働由美
子が感激!? 『あさイチ』現場での“
ちょっとした事件”

NHK朝の人気番組『あさイチ』。司会の有働由美子さん&井ノ原快彦さん(V6)は名コンビとして知られています。そんな有働さんの著書『ウドウロク』で紹介されていた、井ノ原さんの知られざる「奥深さ」とは?

俳優・玉山鉄二さんと米女優・シャーロット・ケイト・フォックスさんが登場するNHK連続テレビ小説『マッサン』が面白い。2月10日の放送は、平均視聴率が24.6%(関東地区、ビデオリサーチ)を記録し、自己最高を記録。歴代の連続テレビ小説のなかでも、人気の高い作品として、今もなお絶賛放送中です。
クドカン×ジャニーズドラマを振り返る
そんな話題の『マッサン』を観ていると、ついついそのまま視聴してしまうのが、次の番組、『あさイチ』です。
『あさイチ』は、V6の井ノ原快彦さんとアナウンサーの有働由美子さんがキャスターを務める朝の情報番組。2人も『マッサン』を観ながら放送の準備をしているようで、『マッサン』明けで有働アナが号泣なんかしていると、「その気持ち、わかる!!」とつい共感してしまうのです。
他番組での号泣が許されるなんて、なかなか緩い番組だなと思うのですが、有働アナはそれこそ、タレントのイモトの眉毛メイクに挑戦したり、仮面を被ってみたりと、同番組で自由に動き回ります。以前は「わき汗騒動」というのもありました。大変ユニークな方です。

<有働×井ノ原コンビ>誕生時のエピソード
そんな有働アナの傍らで楽しそうにしているのが、パートナーを組む井ノ原さん。今ではSMAPの中居さんや嵐の櫻井さんなど、ジャニーズの司会は多数見られるようになりました。しかし、筆者は、同番組スタート時の2010年に司会の発表を聞いた時、それは単純に落ち着いたアナウンサーに人気のあるタレントを組み合わせて、「安易に人気を集めようとしているのでは」と勘ぐったものです。
それはどうやら、有働アナも同様のことを感じていたようで、当初の井ノ原さんのイメージは今と違ったと、自著『ウドウロク』の中で振り返っています。
番組スタートを聞いた有働アナは、アイドルと一緒に司会をすることに「こりゃえらいことになったわ」と思ったそう。相手がアイドルだから、段取りやコメントなど全て自分で用意してあげ、また、「すごいですね~」なんて言って持ち上げる必要があるのでは、と勝手な思い込みをしていたのです。
しかし、実際は逆だったとのこと。
「真逆だった。今や、私の方が失言する。私の方が機嫌を取ってもらっている。私の言葉足らずを、いのっちがフォローしてくれる。それに慣れてしまったばかりに、たまに別の番組で他の方と組むと、半人前のコメントしか出来なくなっている自分に気が付く」(同書より)。
もはや、井ノ原さんは、「この男、実に奥深く、出来たお方だ」と同書で評する程に、印象はガラリと変わったのです。
そんな井ノ原さんの「奥深さ」がわかるエピソードを同書から紹介しましょう。ある日の放送で起こったちょっとした事件のことです……。
『あさイチ』現場で起きた、ちょっとした事件とは
『あさイチ』現場で起きた、ちょっとした事件とは
同番組は2時間近くの放送となるので、その分、リハーサルや最終チェックは入念に行います。特に放送前日の打ち合わせは、本番以上の臨戦態勢で挑みます。その時に全ての素材が揃っていると良いのですが、時折、VTRの編集が前日に間に合わず、当日朝のギリギリのタイミングで行うことも。
その日は、東日本大震災で全村避難となってから三年目を迎えた被災地、福島県飯舘村からのリポートがありました。担当ディレクターが本番ギリギリでふたりの元にやってきて説明をし、最後に「いのっちさんには、最後のまとめとして、被災地のことを忘れずにいようというようなことを言ってほしいんですが」と手短に伝えました。
普段は、無理難題やありえない無茶ぶりをされても、制作者の意図を汲んで笑顔で応える井ノ原さんでしたが、その日は少し声を荒らげて
「どうして、こんな大事なことをもっと早く打ち合わせにこないのか。それらしいことを言ってくれ、というだけで済む話じゃないでしょう。どんなことを感じるのか、きちんとみんなで話し合うべきものではないのか。取材したあなたにとっても、大切な取材相手でしょう。テーマでしょう」
と、ディレクターに問うたのです。
いつもニコニコしている印象のある井ノ原さんから発せられた厳しい言葉。普段とは違う井ノ原さんの対応に、ディレクターがしどろもどろになったことは、想像に難しくありません。
そんななか本番がスタートするのですが、結局は、井ノ原さんはとってつけた言葉ではなく、自分の中をしっかり通した言葉で、普段温めている被災地への思いを語ったのです。
本番終了後、有働アナによると、そのディレクターは意気消沈気味だったそう。「いつもどんなテーマも一緒になって考え、ディレクター一人ひとりの意図を大切にしてくれるいのっちにちゃんと説明できなかった。後悔しているようだった」(同書より)と当時を振り返ります。
本番終了後はドラマ撮影に向かった井ノ原さん。ディレクターは井ノ原さんに会えずに別れてしまいました。
ここからが井ノ原さんの「奥深い」ところ。スタジオにいたフロアディレクターからそのディレクターに、1枚の紙が渡されたのです。その紙を広げたディレクターは、嬉しそうな、また、泣きそうな顔になったそう。「まるで、不合格確実と思っていた入学試験の結果を知らせる電報が、開いてみたら合格だった、くらいの」と、有働アナが当時のディレクターの姿を受験生に例えます。
いのっちの「奥深さ」がかいま見えた瞬間
<自分と関わった人の感情を、絶対に放置しない。そして、全員が笑顔であることを望む>
その小さい紙には、ディレクターの似顔絵が、落書きのように、しかし、愛情をたっぷり注がれて描かれていたのです。
「そのディレクターが、容姿とは違って繊細な人であることや、口ベタだが思いのある取材をすること、きっとあのやりとりを気にしちゃうまじめなタイプだということを感じていたのだろう。しかも、気にするなとか、気にしてないよ、などという微妙なフォローの言葉でかえって相手に気を遣わせるのではなく、ただただ愛情だけを伝えたのだ。
(中略)自分と関わった人の感情を、絶対に放置しない。そして、全員が笑顔であることを望む。ことごとく、そういう人なのである」(同書より)
相手の気持ちを汲み取り、それでいてその人に最も適した形で気持ちを伝える。言葉にすると簡単ですが、なかなかこれを実行に移すことは難しいもの。しかも、ただ心配している間柄ではなく、一度相手に対して怒りを見せているという状況。筆者のように小さなプライドだけを持っていると、なかなか自分の方から歩み寄るということはできません。
自分がアイドルだからって、変なプライドを持っているわけではない井ノ原さん。まさにその奥深さを感じるエピソードです。
有働アナの自由な姿を横でニコニコしながら見て、時折、愛情のあるツッコミを入れる。そんな井ノ原さんの存在が同番組を雰囲気の良いものにしているのでしょう。自分の意見を的確に持つだけでなく、深く人を思いやる。かといって真面目な面だけでなく、楽しむ時は誰よりも楽しむ。自分も早くそんな大人になりたい!!
明日も朝から『マッサン』→『あさイチ』コースで決まりですね。いのっち、今日もええ男やーん。
【書籍情報】『ウドウロク』有働由美子著 新潮社

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