【THE PINBALLS ライヴレポート】
『Leap with Lightnings tour』
2018年7月20日 at TSUTAYA O-WEST
4月25日にリリースしたメジャー1stシングル「Primal Three」を引っ提げ、全国を回った『Leap with Lightnings tour』。そのファイナル公演となったTSUTAYA O-WESTは札幌、福岡に続いて見事ソールドアウトとなった。中盤で久しぶりに演奏したミッドテンポの「カルタゴ滅ぶべし」をじっくり聴かせると、この日のライヴがソールドアウトしたことを観客に伝えた古川。“嬉しいけど、ちょっと寂しい。俺がバカなのかもしれないけど、来られない人がいるんだよね。(その人たちも含め)暑い中、観に来ようと思ったひとりひとりの心が好きなんです!”ーーそんな彼らしい言葉が印象的だった。
この日のTHE PINBALLSは連日伝えられている猛暑に負けないくらい熱かった。“行けるか!?”と「片目のウィリー」で軽やかにスタート。そこから「ヤードセールの元老」「I know you」「アンテナ」と曲間を空けずにつなげていったバンドに応え、声をあげて必死に腕を振る客席を見た古川は、“最高だ、お前ら。俺たちのロックンロールがあって、みんながいるから、今年の夏はこんなに暑くなったんじゃないか”と言ったあと、「真夏のシューメイカー」「20世紀のメロディ」という人気曲の連打。さらに盛り上がる客席に“なんだこれ!? ありがとう! やばいね。みんなの素晴らしい笑顔を見てるだけで泣けてくる”と顔をくしゃくしゃにした。
バラードといってもいい「299792458」、ジャジーな魅力もある「沈んだ塔」、前述した「カルタゴ滅ぶべし」、“みんなで一緒に跳びたいんだ”と言い、ミラーボールがキラキラと回ったカウパンク調の「重さのない虹」といった変化球と言える曲も交えながら進んでいったライヴは、“みんなを貫きたかったけど、俺が貫かれた”と言った「Primal Three」収録の「Lightning strikes」から一気に過熱。石原 天(Dr)が刻むダンスビートの上で森下拓貴(Ba)のベースがうねる「Voo Doo」、そして「劇場支配人のテーマ」と畳み掛けると、「carnival come」では古川による他の3人に対する信頼と愛が感じられるメンバー紹介とともに石原、森下とソロを回していき、最後の中屋智裕(Gu)は背中から客席に身を任せ、観客に支えられながらソロをキメた。
アンコールでは“みんなのおかげでライヴが楽しくなって、いっぱい曲ができている。近々、みんなが喜んでくれる状況になると思います”と何やらリリースの予定があることを匂わせたが、バンドがライヴを心底楽しんでいることは、ダブルアンコールを求められ、“もう少しジラせ”と森下が思うくらい、あっと言う間に古川がステージに出てきたことからもうかがえた。“どんどん歌いたいと思います! 休んでる暇なんてない!”。ロックが好きで、そこに人間的な魅力を感じないという人はいないはず。僕らロックファンにとって一番の幸せは何かと言ったら、ステージのバンドが心底楽しんでいる姿を観せてもらえることだ。感動屋で、時たまずっこける瞬間もあるけれど、人一倍熱情家のフロントマンを擁するTHE PINBALLSは、これからもっともっと多くの人を、その熱い感動の渦に巻き込んでいくに違いない。最後、バスドラをステップにハイジャンプをキメた古川を観ながら、そんなことを確信した。
撮影:白石達也/取材:山口智男