【GRANRODEO インタビュー】
“素晴らしい愛”って
言い切っちゃっていいかなと
TVアニメ『文豪ストレイドッグス』第3シーズンOP主題歌のシングル「セツナの愛」に続く、8枚目のアルバム『FAB LOVE』でさまざまなかたちの愛を表現した曲に挑戦! ほとばしるエネルギーと包み込むような温かさに満ちた楽曲たちが生まれた背景について、KISHOW(Vo)とe-ZUKA(Gu)に話を訊いた。
こんなにストレートに書いた
歌詞はなかったかもしれない
8枚目のオリジナルアルバムのタイトルは“FAB LOVE”ですが、“途方もない愛”“とんでもない愛”みたいなニュアンスですか?
KISHOW
“FABULOUS LOVE”から来てるんですけど、“素晴らしい愛”とか“素敵な愛”っていう。一番前向きな言葉を使いたかったんですよ。
ちなみにその理由は?
KISHOW
たまたまそういうサイクルというか、バイオリズムだったのかもしれないですね。これまでのアルバムは“Pierrot Dancin'”とか“カルマとラビリンス”や“CRACK STAR FLASH”みたいに、思わせぶりというかコンセプチュアルなタイトルを付けがちだったんですけど、今回は8枚目で末広がりの数だし、横に書いたら無限大(∞)になるし、分かりやすく“素晴らしい愛”って言い切っちゃってもいいかなって。
心境的にも振り切って作ったアルバムですか?
KISHOW
僕個人は制作の後半、スランプでしたけどね。“言葉が出てこねぇ〜”って(笑)。あと、“FAB LOVE”っていうタイトルでe-ZUKAさんがどういう音作りをしてくるかにも興味があったんですよ。
ということは、早い段階でタイトルが決まっていたんですね。
e-ZUKA
はい。だから、アルバムのタイトルありきでしたね。今作に限らず、だいたいいつもそうなんですけど、仮歌に“FABULOUS”とか“LOVE”という言葉を入れてみたり、タイトルをイメージしながら曲を作る感じですね。リード曲はスタッフサイドから“明るい曲にしたい”って提案があったんですけど、言われてみたらシングルでメジャーキーの曲はなかったなと思って。でも、めちゃめちゃ明るいのは抵抗があったので、ちょっとグラマラスなロックンロールのイメージで作りました。リズムはモータウンとかロカビリーによくあるパターンで、そこにT.RexとかPrimal Scream、Black Crowesに通じるロックな感じをプラスして、サビで開放感を出すのがいいなって。
それでギターソロもちょっと懐かしいフレーズなんですね。
KISHOWさんの歌詞もストレートですね。《愛よ素晴らしき愛よ 僕に降り注げ》とか。
KISHOW
はははは。これでもか!っていう感じで。
《あの娘も今42で それでも美しい》とか具体的で笑いました。
KISHOW
ほんとは60にしようかと思ってたんですよ(笑)。
そこまで行こうと思ってたんですか(笑)。
KISHOW
60歳でも美しい人はいっぱいいるし。でも、42歳って絶妙に渋いなって。年齢のところはライヴでは気分で変えればいいなと思ってるんですけど、“何が美で、何が愛か”っていうのをポップに言ってみたかったんですよ。「FAB LOVE」はメロディーが付く前にサビの言葉だけなんとなく考えていて、あとから調整していった感じですね。綺麗事ですけどね。《僕らは傷付く為に 生まれた訳じゃない 愛される為にそう生まれてきたんだ》って歌ってるんですけど、こんなにストレートに言ったことなかったから。
そうですよね。KISHOWさんがこんなに真っ直ぐな言葉を放ってくるとは、ちょっと驚きでした。
KISHOW
世の中のポップス的には直球かもしれないけど、僕の中では変化球ですね。なかなか照れて言えないことでも、“FAB LOVE”なんてタイトルにしちゃったからにはこれぐらいのこと歌わなきゃなって。あと、e-ZUKAさんのデモが僕にとっては変化球で、思ったより明るくなかったので、歌詞がクサくても曲と言葉が混ざり合ってちょうど良くなるかなっていうのはありましたね。
アルバムの1曲目「fabulous」はインストで。
e-ZUKA
これは弦楽四重奏になっていて“fabulous love”っていう台詞だけが入ってますね。なんか叶姉妹に合いそうだなって(笑)。この曲は去年『GRANRODEO LIVE 2018 G13 ROCK☆SHOW "Don't show your back!"』を大阪城ホールでやった時に作ったんですよ。モチーフになっているのは「modern strange cowboy」(2009年7月発表の11thシングル)なんですけどね。ライヴだけじゃもったいないなと思って。
そこから「FAB LOVE」につながって、曲は飛びますけど最後に収録されている「Take it easy」は跳ねたリズムでポップだし、この曲にもちょっとモータウンの要素が感じられたんです。
e-ZUKA
そうですね。この曲と「JUNK-YARD DOG」の2曲はL.A.でレコーディングしたんです。僕としては日本のミュージシャンとエンジニアを連れて行きたかったんですけど、“せっかく行くんだから向こうのミュージシャンやエンジニアと一緒にやって、ホーンセクションやコーラスのアレンジを任せてみるのはどうですか?”ってスタッフに提案されて、それも面白いなと思って。で、アメリカだったらThe Jackson 5、Stevie Wonderじゃないけど、そういう要素も入れたかったんですよね。
この歌詞はほっこりする幸せなラブソングですよね。
KISHOW
LAで録ることは決まっていたから、頭の中に“西海岸=ウエストコースト”みたいな風景を思い浮かべて書きました。僕のつたない想像だと、坂道とオレンジを詰めた紙袋になっちゃうわけですよ。
ははは。紙袋から落ちたオレンジを拾ってくれた人と恋に落ちるじゃないけど、何かそういうイメージありますよね。
KISHOW
もう大いにネタにしてもらっていいんですけど(笑)、e-ZUKAさんの曲調があったからこういうやさしい気持ちになれたんですね。“肩の力を抜いていこうよ”っていう。