TOTALFATがキュレイターとなった
『UKFC』にてBIGMAMA、
グドモらとのコラボステージが実現
レコード会社UK.PROJECTとプロダクションUKPMによる恒例のライブイベント『UKFC on the Road 2019』が、8月22日(木)新木場STUDIO COASTで開催された。TOTALFATのKuboty(Gu)が10月に脱退することを受けて、今回は“GO AHEAD TOTALFAT, GOOD BYE Kuboty”をテーマに、TOTALFATがキュレイターを担当。TOTALFATのメンバー自身が『UKFC』で対バンしたいというバンドを、UKファミリーの枠を飛び越えてオファーしたことで実現した一夜限りのスペシャルなイベントになった。
開演の少し前、まずTOTALFATが全員ステージに登場して前説が行なわれた。“Kubotyがいる状態での最後のUKFCです。いろいろなステージに首を突っ込みます。会場で俺らを見つけたら、ハイタッチをかましてください!”と、Shun(Gu&Vo)。TOTALFATが作るイベントならば、みんなで陽気なキャラクターになろうということで、“今日はみんなで!?”という言葉を合図に、“陽キャー!”と叫ぶ開会宣言でイベントは幕を開けた。
まずサブステージとなるFUTURE STAGEに綺麗な電飾をあしらって登場したのは、UKプロジェクト内レーベルDAIZAWA RECORDSから2019年にデビューしたEASTOKLAB。美しく幻想的なシューゲイザー「In Boredom」からスタートすると、美しいアンサンブルにのせた日置逸人(Vo&Syn&Gu)の恍惚のファルセットで会場を魅了した。“ここはFUTURE STAGEなので、未来に向けた曲を最後にやってお別れしたいと思います”と新曲「Dive」を披露。これからの彼らの活躍が楽しみになるような未来へ向かって突き抜けていくような楽曲でイベントがスタートした。
メインとなるFRONTIER STAGEのトップバッターthe telephonesは、メンバー全員がアフロをかぶった陽キャ全開のスタイルで登場。石毛輝(Vo&Gu)が持ち前のハイトーンボイスで“猿のように踊ろうぜ!”と叫ぶと、「Monkey Discooooooo」で一気にフロアーを踊らせていく。「Urban Disco」では、岡本伸明(Syn&Cow&Shr)がフロアーを縦横無尽に暴れまわり、石毛が“ウィーアー!”“ディスコ”という恒例のコール&レスポンスで湧かせると、終盤はKubotyとBunta(Dr)も参加。過去には一緒のツアーをまわったこともある2組だが、テレフォンズのステージでTOTALFATがコラボするのは今回が初めて。予定とは違う曲を演奏するというKubotyへのドッキリを仕掛けて笑いをとりつつ、ラストは「I Hate DISCOOOOOOO!!!」で、Bunta&松本誠治(Dr)のツインドラムが炸裂する圧巻のステージだった。
「最低だなんて」を皮切りに、繊細なギターロックに端正なメロディを紡いだのは初出場のスリーピース、the shes gone。“真っ直ぐに目の前のあなたに伝えにきました”という兼丸(Vo&Gu)の誠実な言葉からつないだ、未練が滲むミディアムテンポ「想いあい」から、軽やかに駆け抜けた「緑とレンガ」まで、大切な人を想い、聴き手の日常に寄り添うために投げかける切実な歌がフロアーを優しく揺らした。
結成20年を越えるファミリーの長兄=POLYSICSは、ボコーダーを駆使した変声ボーカルとシンセが絡み合う強靭なバンドサウンドで「シーラカンス イズ アンドロイド」でスタート。「Twist and Turn!」では機材トラブルで、ハヤシ(Vo&Gu)とフミ(Vo&Ba)が立ち位置が急遽入れ替わるアクシデントもあったが、“『UKFC』スペシャル仕様でした!”と、百戦錬磨のライブバンドらしくトラブルも鮮やかに乗り越える。お馴染みの“トイス!”コールを挟み、10月9日にリリースされる新作アルバム『In The Sync』からカオティックな攻撃力を研ぎ澄ませた「Kami-Saba」や「Belong」をいち早く披露すると、ハヤシが口に含んだ水を噴射した「Let's ダバダバ」では、途中で黄色のつなぎとバイザーを着用したJoseが乱入。“ダバダバ”が、いつの間にか“PARTY PARTY”に変わったかと思えば、「How are you?」では、Kubotyも参戦。痺れるような速弾きとポリサウンドが絡み合う貴重なコラボレーションだった。
波の音が響きわたり、FUTURE STAGEに心地好いチルタイムを作り上げたSPiCYSOL。KENNY(Vo&Gu)の華やかなヴォーカルが映えるシーサイドナンバー「Mellow Yellow」、サンバのリズムとPETE(Key&Trumpet)による生のトランペットが熱い昂揚感を生んだ「Fresh Go」でフロアーを穏やかに揺らすと、TOTALFATを呼び込み、SPiCYSOL風のメロウなアレンジで聴かせたのは「Room45」。2組の陽性のヴァイブスが重なる熱演だった。
声を枯らさんばかりの絶唱と爆音に剥き出しの感情をぶつけたtetoは「高層ビルと人工衛星」から体当たりのパフォーマンスを繰り広げた。衝動的な演奏のなか、マイクスタンドをなぎ倒した小池貞利(Vo&Gu)は、「拝啓」ではギターを抱えたままフロアへダイブ。新曲「全肯否定」に人間に対する熱い想いを託すと、MCでは、お酒ばかり飲んで孫の名前も思い出せなくなった祖父だが、tetoのCDを聴かせると、“貞利の歌はいいな”と言ってくれる、名前を思い出してくる、と語りかけた小池。“音楽に人を救える力がないと思ってる。救われるのは、その人が強いから、音楽が救われた気持ちになると思ってるけど、その時、音楽には人を救う力があるなと思いました”と伝えた「光るまち」で命を燃やすような渾身のパフォーマンスですべての力を出し尽くすと、小池はフラフラとした足取りでステージをあとにした。
愛というかたちのない感情を丁寧に紐解く「名もなき感情」からライブをスタートさせたウソツキ。普段あまり披露されることのない「アンダー・ザ・シー」のカバーで、Shunとのスペシャルなコラボを展開すると、MCでは、竹田昌和(Vo&Gu)が“『UKFC』で一番の陽キャです”と言いながらも、“陽キャのみなさんが苦手なんですよ(笑)”“僕たちは夜中のひとりのあなたのために音楽をやっています”と言って、新曲バラード「0時2分」を披露。2018年よりも一回り進化した姿をFUTURE SUTAGEに刻んだ。
続けて、大きな手拍子に迎えられて登場したBLUE ENCOUNTは、「KICKASS」から4人のプレイが激しく主張し合う骨太なナンバーでフロアーを震撼させた。田邊駿一(Vo&Gu)が“新木場、もっとかかってこいよー!”と挑発的な言葉を投げかけ、さらに「Survivor」と「DAY×DAY」というキャッチーなライブアンセムを容赦なく投下されると、彼らがUKファミリー以外の出演アーティストであることなど関係なく、フロアーは熱狂的なムードに包まれていく。ラスト1曲を残して、田邊が“正直に想いを伝えるのが苦手な人がバンドをやってる、特にTOTALFATはそういう先輩だと思うから、伝えたいことは言葉ではなく、音楽で届けたい”と言うと、その出会いに感謝を込めて「THANKS」で終演。どこまでも熱くエネルギッシュなパフォーマンスが鮮烈な印象を残した。
ライブエリアの外で展開している“CHILL GARDEN”では、SPiCYSOLのメンバーによるアコースティックライブも行なわれた。ショートバージョンで披露された「#goodday」や「Honey Flavor」といった楽曲に、虫の鳴き声も重なり合う空間。集まったお客さんはライブハウスの熱狂とは一味違うリラックスしたムードに酔いしれていた。
後半戦の口火を切ったのはTOTALFATと同じく八王子発の次世代メロディックパンクバンドINKYMAPだ。初っ端からKubotyが飛び入りするというサプライズでも湧かせると、「Shine」や「Take The Lead」というポジティブなナンバーの連発にフロアーから力強くこぶしがあがる。最後に“仲間の歌です”と紹介した「Still In A Dream」まで、ライブハウスという場所が巻き起こすミラクルな瞬間を信じ続ける真っ直ぐなアクトだった。
荘厳なベートーヴェン「交響曲第9番」のSEにのせて登場したBIGMAMA。金井政人(Vo&Gu)がアコースティックギターにのせて歌い出し、次第に解放的溢れるバンドサウンドが加わると、東出真緒(violin)のクラシカルなバイオリンが絡み合う「No.9」でフロアーを圧倒的な多幸感で包み込んでいく。“もっと自由に! あなたのスタイルで!”と呼びかけ、演奏をつないだまま「MUTOPIA」、ポップなメロディーが弾けた「最後の一口」へと、MCを一切挟まないままライブは進んでいった。会場にウォーウォーという野性的な雄叫びが響きわたるなか、Kubotyを呼び込んだ壮大なロックシンフォニア「ファビュラ・フィビュラ」に続き、Shunも加わった真骨頂の「CPX」では、東出、柿沼広也(Gu)、Kuboty の3人がステージ際に並び立つ圧巻のパフォーマンスでも魅了。そのまま、Kubotyと共に届けた「荒狂曲"シンセカイ"」まで、言葉でこそ多くは語らなかったが、“GO AHEAD TOTALFAT, GOOD BYE Kuboty”というテーマに、BIGMAMAらしく寄り添う熱いステージだった。
いよいよ各ステージ残すところ1組ずつ。FUTURE STAGEのトリを飾ったグッドモーニングアメリカも“UKFCチーム”以外からの出演だ。サウンドチェックの段階から「コピペ」でフロアーを掌握すると、かつてKubotyがギターヴォーカルを担当していたバンドLOWBROWの楽曲をSEにしてステージに現れた。アッパーチューン「アブラカタブラ」や「YEAH!!!!」を畳みかけ、“TOTALFATは好きですか? Kubotyは好きですか? 俺は大好きだー!”と思いの丈をぶちまけた渡邊幸一(Gu)は、これまでたなしん(Ba)主導のファイヤーのコール&レスポンスに参加したことがなかったが、TOTALFATのために満を持して、初めてファイヤーと絶叫。TOTALFATの出会った頃の曲として、前身バンドfor better, for worseのナンバー「A landscape back to us」を挟み、ゲストヴォーカルに加わったJoseと共に特大のシンガロングを巻き起こした「未来へのスパイラル」、そして飛び入りでKubotyが金廣真悟(Vo&Gu)のギターを弾き渡邊とのツインギターを披露した「空ばかり見ていた」まで、まさにTOTALFATへ捧げたステージは、同じ時代を駆け抜けてきた盟友ならではの想いが詰まっていた。
ここまで全11組でつないだバトンを最後に受け取ったTOTALFAT。4人が気持ちをひとつにするようにこぶしを突き合わせて、祭囃子のビートで踊ったサマーチューン「夏のトカゲ」から大トリのステージは幕を開けた。スピードと力強さを兼ね備えたBuntaのドラムに、JoseとShunという声質の違うツインヴォーカル、Kubotyのメタリックなギターが炸裂すると、この瞬間を待ちわびていたフロアーはすでに初っ端から最高潮の盛り上がりだ。
勝利への意志を力強く鼓舞する「Phoenix」から、何度でも新たなスタートを切れると激励する「Room45」へと、ポジティブなエネルギーに満ちた楽曲を畳みかけていくと、終盤は目くるめくコラボ祭りを展開。BIGMAMAの金井と東出を迎えて、いっそう晴れやかな輝きが増した「晴天」、Kubotyの新たな旅立ちに捧げた「Good Bye, Good Luck」を挟み、BLUE ENCOUNTとコラボした「PARTY PARTY」には、the telephonesの長島涼平(Ba)と岡本も加わると、狂喜乱舞のダンス空間を生み出していく。
最後の曲を残して、“俺らがキュレイターをやることが決まってから、本当に今日まで、あれをやりたい、これをやりたいって言ったけど、社長は何ひとつノーと言わなかった。これが俺たちの家です”と誇らしげに感謝を伝えたShun 。さらに“ここに4人で立つのは最後になるけど……わかった! 今度は(UKFCに)Kubotyをゲストで呼べばいいんだ。逃がさないからな!”という嬉しい発言でも会場を湧かせると、ラストは「ONE FOR THE DREAMS」で、集まったお客さんの夢も、人生も、丸ごと肯定する渾身のエールソングで本編を締め括った。
アンコールは、かつてTOTALFATと同じ高校の同級生だったグッドモーニングアメリカと後輩BIGMAMAを交えた同窓生コラボレーションが実現した「Good Fight & Promise You」、そしてイベントのラストを飾るナンバー「Place to Try」に、ステージ脇で見守っていた出演者も乱入して大団円。長く苦楽を共にしたメンバーの脱退という節目に際した2019年のUKFCだったが、湿っぽくならず、その新しい旅立ちを笑顔で迎えようというTOTALFATらしい一夜だった。
text by 秦 理絵
photo by YUKI KAWAMOTO、AZUSA TAKADA、かわどう
開演の少し前、まずTOTALFATが全員ステージに登場して前説が行なわれた。“Kubotyがいる状態での最後のUKFCです。いろいろなステージに首を突っ込みます。会場で俺らを見つけたら、ハイタッチをかましてください!”と、Shun(Gu&Vo)。TOTALFATが作るイベントならば、みんなで陽気なキャラクターになろうということで、“今日はみんなで!?”という言葉を合図に、“陽キャー!”と叫ぶ開会宣言でイベントは幕を開けた。
まずサブステージとなるFUTURE STAGEに綺麗な電飾をあしらって登場したのは、UKプロジェクト内レーベルDAIZAWA RECORDSから2019年にデビューしたEASTOKLAB。美しく幻想的なシューゲイザー「In Boredom」からスタートすると、美しいアンサンブルにのせた日置逸人(Vo&Syn&Gu)の恍惚のファルセットで会場を魅了した。“ここはFUTURE STAGEなので、未来に向けた曲を最後にやってお別れしたいと思います”と新曲「Dive」を披露。これからの彼らの活躍が楽しみになるような未来へ向かって突き抜けていくような楽曲でイベントがスタートした。
メインとなるFRONTIER STAGEのトップバッターthe telephonesは、メンバー全員がアフロをかぶった陽キャ全開のスタイルで登場。石毛輝(Vo&Gu)が持ち前のハイトーンボイスで“猿のように踊ろうぜ!”と叫ぶと、「Monkey Discooooooo」で一気にフロアーを踊らせていく。「Urban Disco」では、岡本伸明(Syn&Cow&Shr)がフロアーを縦横無尽に暴れまわり、石毛が“ウィーアー!”“ディスコ”という恒例のコール&レスポンスで湧かせると、終盤はKubotyとBunta(Dr)も参加。過去には一緒のツアーをまわったこともある2組だが、テレフォンズのステージでTOTALFATがコラボするのは今回が初めて。予定とは違う曲を演奏するというKubotyへのドッキリを仕掛けて笑いをとりつつ、ラストは「I Hate DISCOOOOOOO!!!」で、Bunta&松本誠治(Dr)のツインドラムが炸裂する圧巻のステージだった。
「最低だなんて」を皮切りに、繊細なギターロックに端正なメロディを紡いだのは初出場のスリーピース、the shes gone。“真っ直ぐに目の前のあなたに伝えにきました”という兼丸(Vo&Gu)の誠実な言葉からつないだ、未練が滲むミディアムテンポ「想いあい」から、軽やかに駆け抜けた「緑とレンガ」まで、大切な人を想い、聴き手の日常に寄り添うために投げかける切実な歌がフロアーを優しく揺らした。
結成20年を越えるファミリーの長兄=POLYSICSは、ボコーダーを駆使した変声ボーカルとシンセが絡み合う強靭なバンドサウンドで「シーラカンス イズ アンドロイド」でスタート。「Twist and Turn!」では機材トラブルで、ハヤシ(Vo&Gu)とフミ(Vo&Ba)が立ち位置が急遽入れ替わるアクシデントもあったが、“『UKFC』スペシャル仕様でした!”と、百戦錬磨のライブバンドらしくトラブルも鮮やかに乗り越える。お馴染みの“トイス!”コールを挟み、10月9日にリリースされる新作アルバム『In The Sync』からカオティックな攻撃力を研ぎ澄ませた「Kami-Saba」や「Belong」をいち早く披露すると、ハヤシが口に含んだ水を噴射した「Let's ダバダバ」では、途中で黄色のつなぎとバイザーを着用したJoseが乱入。“ダバダバ”が、いつの間にか“PARTY PARTY”に変わったかと思えば、「How are you?」では、Kubotyも参戦。痺れるような速弾きとポリサウンドが絡み合う貴重なコラボレーションだった。
波の音が響きわたり、FUTURE STAGEに心地好いチルタイムを作り上げたSPiCYSOL。KENNY(Vo&Gu)の華やかなヴォーカルが映えるシーサイドナンバー「Mellow Yellow」、サンバのリズムとPETE(Key&Trumpet)による生のトランペットが熱い昂揚感を生んだ「Fresh Go」でフロアーを穏やかに揺らすと、TOTALFATを呼び込み、SPiCYSOL風のメロウなアレンジで聴かせたのは「Room45」。2組の陽性のヴァイブスが重なる熱演だった。
声を枯らさんばかりの絶唱と爆音に剥き出しの感情をぶつけたtetoは「高層ビルと人工衛星」から体当たりのパフォーマンスを繰り広げた。衝動的な演奏のなか、マイクスタンドをなぎ倒した小池貞利(Vo&Gu)は、「拝啓」ではギターを抱えたままフロアへダイブ。新曲「全肯否定」に人間に対する熱い想いを託すと、MCでは、お酒ばかり飲んで孫の名前も思い出せなくなった祖父だが、tetoのCDを聴かせると、“貞利の歌はいいな”と言ってくれる、名前を思い出してくる、と語りかけた小池。“音楽に人を救える力がないと思ってる。救われるのは、その人が強いから、音楽が救われた気持ちになると思ってるけど、その時、音楽には人を救う力があるなと思いました”と伝えた「光るまち」で命を燃やすような渾身のパフォーマンスですべての力を出し尽くすと、小池はフラフラとした足取りでステージをあとにした。
愛というかたちのない感情を丁寧に紐解く「名もなき感情」からライブをスタートさせたウソツキ。普段あまり披露されることのない「アンダー・ザ・シー」のカバーで、Shunとのスペシャルなコラボを展開すると、MCでは、竹田昌和(Vo&Gu)が“『UKFC』で一番の陽キャです”と言いながらも、“陽キャのみなさんが苦手なんですよ(笑)”“僕たちは夜中のひとりのあなたのために音楽をやっています”と言って、新曲バラード「0時2分」を披露。2018年よりも一回り進化した姿をFUTURE SUTAGEに刻んだ。
続けて、大きな手拍子に迎えられて登場したBLUE ENCOUNTは、「KICKASS」から4人のプレイが激しく主張し合う骨太なナンバーでフロアーを震撼させた。田邊駿一(Vo&Gu)が“新木場、もっとかかってこいよー!”と挑発的な言葉を投げかけ、さらに「Survivor」と「DAY×DAY」というキャッチーなライブアンセムを容赦なく投下されると、彼らがUKファミリー以外の出演アーティストであることなど関係なく、フロアーは熱狂的なムードに包まれていく。ラスト1曲を残して、田邊が“正直に想いを伝えるのが苦手な人がバンドをやってる、特にTOTALFATはそういう先輩だと思うから、伝えたいことは言葉ではなく、音楽で届けたい”と言うと、その出会いに感謝を込めて「THANKS」で終演。どこまでも熱くエネルギッシュなパフォーマンスが鮮烈な印象を残した。
ライブエリアの外で展開している“CHILL GARDEN”では、SPiCYSOLのメンバーによるアコースティックライブも行なわれた。ショートバージョンで披露された「#goodday」や「Honey Flavor」といった楽曲に、虫の鳴き声も重なり合う空間。集まったお客さんはライブハウスの熱狂とは一味違うリラックスしたムードに酔いしれていた。
後半戦の口火を切ったのはTOTALFATと同じく八王子発の次世代メロディックパンクバンドINKYMAPだ。初っ端からKubotyが飛び入りするというサプライズでも湧かせると、「Shine」や「Take The Lead」というポジティブなナンバーの連発にフロアーから力強くこぶしがあがる。最後に“仲間の歌です”と紹介した「Still In A Dream」まで、ライブハウスという場所が巻き起こすミラクルな瞬間を信じ続ける真っ直ぐなアクトだった。
荘厳なベートーヴェン「交響曲第9番」のSEにのせて登場したBIGMAMA。金井政人(Vo&Gu)がアコースティックギターにのせて歌い出し、次第に解放的溢れるバンドサウンドが加わると、東出真緒(violin)のクラシカルなバイオリンが絡み合う「No.9」でフロアーを圧倒的な多幸感で包み込んでいく。“もっと自由に! あなたのスタイルで!”と呼びかけ、演奏をつないだまま「MUTOPIA」、ポップなメロディーが弾けた「最後の一口」へと、MCを一切挟まないままライブは進んでいった。会場にウォーウォーという野性的な雄叫びが響きわたるなか、Kubotyを呼び込んだ壮大なロックシンフォニア「ファビュラ・フィビュラ」に続き、Shunも加わった真骨頂の「CPX」では、東出、柿沼広也(Gu)、Kuboty の3人がステージ際に並び立つ圧巻のパフォーマンスでも魅了。そのまま、Kubotyと共に届けた「荒狂曲"シンセカイ"」まで、言葉でこそ多くは語らなかったが、“GO AHEAD TOTALFAT, GOOD BYE Kuboty”というテーマに、BIGMAMAらしく寄り添う熱いステージだった。
いよいよ各ステージ残すところ1組ずつ。FUTURE STAGEのトリを飾ったグッドモーニングアメリカも“UKFCチーム”以外からの出演だ。サウンドチェックの段階から「コピペ」でフロアーを掌握すると、かつてKubotyがギターヴォーカルを担当していたバンドLOWBROWの楽曲をSEにしてステージに現れた。アッパーチューン「アブラカタブラ」や「YEAH!!!!」を畳みかけ、“TOTALFATは好きですか? Kubotyは好きですか? 俺は大好きだー!”と思いの丈をぶちまけた渡邊幸一(Gu)は、これまでたなしん(Ba)主導のファイヤーのコール&レスポンスに参加したことがなかったが、TOTALFATのために満を持して、初めてファイヤーと絶叫。TOTALFATの出会った頃の曲として、前身バンドfor better, for worseのナンバー「A landscape back to us」を挟み、ゲストヴォーカルに加わったJoseと共に特大のシンガロングを巻き起こした「未来へのスパイラル」、そして飛び入りでKubotyが金廣真悟(Vo&Gu)のギターを弾き渡邊とのツインギターを披露した「空ばかり見ていた」まで、まさにTOTALFATへ捧げたステージは、同じ時代を駆け抜けてきた盟友ならではの想いが詰まっていた。
ここまで全11組でつないだバトンを最後に受け取ったTOTALFAT。4人が気持ちをひとつにするようにこぶしを突き合わせて、祭囃子のビートで踊ったサマーチューン「夏のトカゲ」から大トリのステージは幕を開けた。スピードと力強さを兼ね備えたBuntaのドラムに、JoseとShunという声質の違うツインヴォーカル、Kubotyのメタリックなギターが炸裂すると、この瞬間を待ちわびていたフロアーはすでに初っ端から最高潮の盛り上がりだ。
勝利への意志を力強く鼓舞する「Phoenix」から、何度でも新たなスタートを切れると激励する「Room45」へと、ポジティブなエネルギーに満ちた楽曲を畳みかけていくと、終盤は目くるめくコラボ祭りを展開。BIGMAMAの金井と東出を迎えて、いっそう晴れやかな輝きが増した「晴天」、Kubotyの新たな旅立ちに捧げた「Good Bye, Good Luck」を挟み、BLUE ENCOUNTとコラボした「PARTY PARTY」には、the telephonesの長島涼平(Ba)と岡本も加わると、狂喜乱舞のダンス空間を生み出していく。
最後の曲を残して、“俺らがキュレイターをやることが決まってから、本当に今日まで、あれをやりたい、これをやりたいって言ったけど、社長は何ひとつノーと言わなかった。これが俺たちの家です”と誇らしげに感謝を伝えたShun 。さらに“ここに4人で立つのは最後になるけど……わかった! 今度は(UKFCに)Kubotyをゲストで呼べばいいんだ。逃がさないからな!”という嬉しい発言でも会場を湧かせると、ラストは「ONE FOR THE DREAMS」で、集まったお客さんの夢も、人生も、丸ごと肯定する渾身のエールソングで本編を締め括った。
アンコールは、かつてTOTALFATと同じ高校の同級生だったグッドモーニングアメリカと後輩BIGMAMAを交えた同窓生コラボレーションが実現した「Good Fight & Promise You」、そしてイベントのラストを飾るナンバー「Place to Try」に、ステージ脇で見守っていた出演者も乱入して大団円。長く苦楽を共にしたメンバーの脱退という節目に際した2019年のUKFCだったが、湿っぽくならず、その新しい旅立ちを笑顔で迎えようというTOTALFATらしい一夜だった。
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