今年は「春コンinさいたまスーパーアリーナ~思い出は全部ここに捨てていけ~」と銘打ち4日(金)、5日(土)の2日間に渡り、熱きライヴを展開していく。初日を飾ったのはAKBグループきっての体育会系集団SKE48。全力パフォーマンスを最大の武器にしてきた彼女たちだが、この日、大組閣にて移動となる移籍・兼任メンバー加入により新体制が動き出したことによって、グループも新たな場面に突入した印象だ。
この日はとにかく「チーム」としてのSKE48だった。冒頭の『Overture』から最新作『未来とは?』まで彼女たちの歴史を紐解くように披露されたシングルメドレーでは、総勢70名の全SKEメンバーがステージに現れ、一糸乱れぬ動きを見せるというハイレベルなパフォーマンスを見せた。全力なのはもちろんのこと、美しいフォーメーションを長時間に渡り披露する姿は今までにない試みだ。そこに加えられたのは個性というスパイス。個々人がそれぞれを主張するだけでは混沌とするだけだが、SKEには統制のとれたパフォーマンスがある。その中でしっかりと自己主張をできる余地を残すことで、ただ揃っているだけでなく個性がぶつかり合いながら一つの塊になるという、チームとしてこの上ない最上のステージングを作り上げることができるのだ。この日『隕石の確率』でハチャメチャに動きながらも、それをしっかりとパフォーマンスとして昇華した古川愛李はまさしく調和の中の個を体現する動きを見せていた一人だった。
その意味で組閣により加入したメンバーは、この個性派集団にさらなる魅力を加えてくれることだろう。渡辺美優紀はさすがのオーラで魅了すれば、山田菜々は爽やかな空気を、山内鈴蘭ははじける元気をもたらし、佐藤すみれは可愛らしさのスペシャリストのような立ち振る舞いで早くも存在感を発揮した。そして大きな風を呼び込みそうなのは田中菜津美、谷真理佳、そして宮澤佐江だ。

田中は中学2年生ながら堂々たる立ち振る舞いでMCを担当。いきなり自己紹介がてら「握手会人気がイマイチなので交通費泥棒と呼ばれてます。」と先制の一撃を加えれば、うまく話せない先輩たちに対し「今の発言は本来ならNGです」ときっぱりと言い放ち、笑いを巻き起こした。大舞台でも物怖じしない強心臓ぶりは見事としか言えない。同じくHKT48の谷も負けじと『ここで一発』で松村香織、須田亜香里という強力なコンビに向かって「私、センターやりたいんですよ~。」と語り無理やり割って入っていく。ここまでグイグイと前面に出てくるメンバーが加わったことで笑いの面でも底上げされるはず。何より今回の兼任で大きな存在感を発揮したのは宮澤だ。チームSリーダーという大きな使命を託された彼女は、早くも「SKEの新しい夢を叶えられるよう、微力ですが力になれるよう頑張ります。」とチームSリーダーとしての心構えを真摯に伝え、ステージでも堂々と卓越したテクニックを披露。何よりユニット曲で見せた『クロス』でのオーラは超個性派な彼女たちの中でもきらりと輝いていた。
彼女らに負けじと他のメンバーも成長ぶりをしっかり見せる。松井珠理奈、玲奈のツートップのけん引力はさることながら、珠理奈はファニーさを得て、玲奈はどっしりと身構えたリーダー気質を身に着けた。そして須田、常に全力の彼女は常に200%の笑顔を輝かせながら頭が外れそうなほどの勢いで踊る。その一方で『美しい稲妻』などのシリアス曲で見せる真剣な眼差し、エンターテイナーとしての才能を如何なく発揮。ツートップに次ぐ声援を浴びていたのも納得の活躍だ。そこに高柳明音、大矢真那、中西優香、木下有希子ら初期~中期のメンバーがしっかりとフォローしながら花を添える。4、5期メンバーも伸びやかに楽しむ姿を覗かせれば、ドラフト生の惣田紗莉渚が早くもMCで存在感を見せるなどの後輩たちも自らの見せ場を創り出せていることに底力を垣間見た。

オリジナルメンバーたちと兼任メンバーが個性と調和を併せ真のチームになった時、AKB本体をも凌駕するほどの熱量を持てるのではないのであろうか。個人の活躍とグループの団結が合体することは大変難しいことだが、うまく融合すればこれほど強力なものはない。ましてやこれだけ超個性派が揃ったグループだ、期待値は想像以上である。まだ動き出したばかりで本人たち、そしてファンの間でも戸惑いはあるだろう。だが、彼女たちは自身を変えるほどの力量を持っている。新生SKE48はさらなる高みを目指して駆け抜けてくれることだろう。(C)AKS

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