11月22日@日本工学院専門学校

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サカナクション、
スペシャルトークイベント
『Visual & Talk Session』を開催

11月22日、日本工学院専門学校にて、スペシャルトークイベント「5都市開催サカナクション"Visual & Talk Session"」が行われた。同イベントは、サカナクション・山口一郎が進行を務め、作品のコンセプトを秘蔵映像を織り交ぜながら説明するトーク・セッションである。この日は、会場に約300名が集まった。

まずは、サカナクションと深い関わりのあるスタッフたちのインタビューでアルバム『834.194』ができるまでの約6年間を辿る映像が映し出される。2013年に山口が「音楽をやめようかな」と呟いたこと、2014年にラジオで「グッドバイ」を流した際に山口が涙を見せたこと、2015年には『NF(サカナクションに関わるクリエイター・アーティストと共に音楽に関わる音楽以外の新しいカタチを提案するプロジェクト』の今日へと繋がる活動の基盤となる思想が生まれたこと、2016年にはシングル『多分、風。』の発売日が延期になったこと、2017年に行われた「陽炎」の制作スケジュールが遅れたこと。そして2018年、ベストアルバム『魚図鑑』の発売を経て、最新作『834.194』へ。実はこのインタビュー映像は、今作の発売の延期が発表される約2週間前に収録されたもの。その延期となった結果も含め、なぜ6年ものあいだアルバムが発売されなかったのかがよく分かる、「サカナクション」というバンドの苦悩に直接触れているような、そんな映像だった。

続けて、山口が登壇しトークセッションへ。まず「前回(の「Visual & Talk Session」)は3〜4年前だったよね」と一言。久しぶりのこのトークセッションだとは言いつつも、山口は前作となるアルバム『sakanaction』完成以降に陥った「どうしたらいいのか…」、「音楽とどう向き合えばいいのか」という葛藤(インタビュー映像の中でひとりのスタッフがこれを「沼」と言っていたが)を赤裸々に話す。そこから、“音楽以外のことから音楽に対してアプローチをかけなくてはならない"という気付きが生まれ『NF』へと繋がったことなど、当時のことを振り返っていた。

ラストに設けられた参加者からの質疑応答では、様々な質問が投げかけられる。「なぜサカナクションの音楽は“雨"と“夜"の描写が多いのか」という質問には、「最近は“さよなら"の曲が書けない」のだと答えていた。別れを経験しても、今は情報社会で携帯ひとつさえあれば、また会える約束もできるし、つながっているから、昔と違って寂しい気持ちはなかなか生まれない。でも、“雨"と“夜"には、寂しい気持ちがずっと変わらない色を持ったまま存在している、と。ほかにも、ひとつひとつの質問に正直に、丁寧に答えていく姿が印象的だった。山口が描くこれからの展望が我々リスナーに共有されるという、これ以上に大切な時間はなかなか無いだろう。

メンバーだけでなく、多くのスタッフの意思をも乗せた「サカナクション」という船が、どこへ目指し、どんなルートを辿って舵を切るべきか。その果てに選んだのが『834.194』だったのである。そして、ロックバンドが抱く夢をアップデートさせ、ステージをさらに拡げていくのは彼らなのだ。その決心が、この日の山口の目には宿っていた。

取材:大槻杏奈、椎名康予、須藤 大晴(日本工学院専門学校 蒲田校コンサート・イベント科)
撮影:末田波輝、中山咲樹(日本工学院専門学校 蒲田校コンサート・イベント科)
11月22日@日本工学院専門学校
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OKMusic編集部

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