【上坂すみれ インタビュー】
サブカルネタも満載で
ちょっとリニューアルしたアルバム
イベントごとに乗り切れない
サブカル好きへの応援歌
今作では2曲、上坂さんが作詞されているのですが、「女神と死神」は80年代歌謡曲っぽい曲で、これは女神と死神の禁断のラブソングですか?
タイトルは一番最後に決めたんですけど、80年代の歌謡曲にみられる歌詞がタイトルとまったく関係ないというものがやりたかったんです。80年代には雰囲気もの歌謡曲というか、一人称と二人称が行ったり来たりする歌詞が結構あって。そこでボキャブラリーが古めかしくて、お話があるようでないようなトレンディー感があって、具体的なことはあまり言わない雰囲気ものの歌詞を目指しました。
女神と死神の禁断のラブソングと言ってしまった自分が恥ずかしいです。
もう1曲の「夜勤の戦士のテーマ」はユーロビートのサウンドで。こちらは夜に働いている人の応援歌?
一見前向きなヒーロー像を歌っているようですけど、俯瞰で見ると主人公が一生懸命夜勤をしている時に流れている応援歌みたいな感じです。こんなにカッコ良い言葉を歌っているけど、“現実は侘びしく夜中に働いています”という、ある意味でのギャグです。だけど、その労働する姿はとても素晴らしいとも歌っています。
ファンの中には夜勤してライヴに来る人もいるでしょうしね。
そうなんです。イベントやライヴに来てくれた人に“どちらから来られました?”とかよく訊くんですけど、夜勤明けで来てくれている人も結構いらっしゃって。そんな人たちに宛てた歌でもあって、そういう意味では私からみんなへの“お疲れ様の歌”ですね。
お馴染みのTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの作詞・作曲・編曲「アウターモスト -超自然恋愛-」は、オカルトをテーマにしたとのことで。確かに、恋もある種の超常現象ですよね。
とてもスタイリッシュでお洒落に作ってくださって、さすがインテリジェンスがすごいと思います。TECHNOBOYSさんの曲はハモりとコーラスが多いので、レコーディングは一番時間が掛かりましたね。あと、特殊な譜割りで難しい言葉をテクニカルに歌うところが多くて、頑張って歌いました。フジムラトヲルさんがレコーディングに立ち会ってくださったんです。
フジムラさんから言われて印象的だった言葉はあります?
今回ではありませんけど、TECHNOBOYSさんのCDに参加して「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」を歌った時、“上坂さんの声はテクノポップによく合う”と言ってくださって。“テクノポップに合う声って何だ?”と思いましたけど、テクノポップ好きとしては嬉しかったです。
そして、大槻ケンヂさんの作詞による「SPY」もあって。
これは作曲していただいたNARASAKIさんにお会いした時に“今度ぜひアルバムに参加してください!”と言ったら作ってくださって。「パララックス・ビュー」(2016年1月発表の2ndアルバム『20世紀の逆襲』収録曲)と同じ作詞は大槻ケンヂさん、作曲・編曲はNARASAKIさんというメンバーで作ってくださいました。基本的に楽曲はお任せではあったんですけど、大槻さんと番組でご一緒した時にいろいろお話をさせていただいて、その話がもとになっています。私がなぜロシアが好きなのかっていうのは、大槻さんの仮説によると“ソ連の科学者にチップを埋め込まれて、強制的にソ連好きになったソ連のスパイなんだよ、君は”って(笑)。すごく説得力があるなと思ったんですけど、それが歌になっていてびっくりしました。
チップを埋め込まれていたんですね。
私はその記憶を消されているらしいので知る由もありませんけど、大槻さんによればそういうことらしいです(笑)。
ラストのリード曲「ネオ東京唱歌」はドレスコーズの志磨遼平さんの作詞・作曲で。
レトロな感じがあるかと思えば、時代が分かるような分からないような、新しくも古くもない不思議な歌ですね。
冒頭の歌は戦後のレコードから聴こえてきそうな感じで。
そこは甲高い声でそういうふうに聴こえるような歌い方を指導していただきました。
歌詞《トカトントン》という擬音は大規模な祭典が行なわれる都市の建設ラッシュを表現しているようなイメージでしょうか?
《トカトントン》は太宰 治のお話を引用していて、都市が出来上がっていく様子の擬音とも掛かっています。この曲はさまざまなイベントごとやアニバーサリーに乗り切れない人たちへの応援歌みたいなイメージです。でも、それもひとりひとりの生き方だと、サブカル好きを肯定してくれているような歌だと思いますね。
サブカル好きはアニバーサリーやイベントとは無縁だったりするんですね。上坂さんは東京オリンピックへの関心は?
ちょっと前にはラグビーも流行っていたましたけど、そちらは?
ラグビーを題材にしたドラマ『ノーサイド・ゲーム』は観ましたけど、それで満足してしまって。ドラマの余韻に浸っていたら、気付いた時にはワールドカップは終わっていました(笑)。五郎丸さんは出ていたんですか?
それは前回のワールドカップですね。
そうですか…。そういう私みたいなアニバーサリーやイベントに付いていけない人がいるんです。きっと前の東京オリンピックの時にもいたはずです。そういう人たちとこのアルバムで気持ちを共有できれば嬉しいです。
取材:榑林史章
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アルバム『NEO PROPAGANDA』2020年1月22日発売
KING RECORDS
- 【初回限定盤A(Blu-ray付)】
- KICS-93891
- ¥3,600(税抜)
- 【初回限定盤B(PHOTOBOOK付)】
- KICS-93892
- ¥3,600(税抜)
- 【通常盤】
- KICS-3891
- ¥3,000 (税抜)
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『上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2020』
3/20(金) 埼玉・サンシティ越谷市民ホール 大ホール
3/21(土) 埼玉・サンシティ越谷市民ホール 大ホール
3/28(土) 大阪・NHK大阪ホール
3/29(日) 大阪・NHK大阪ホール
4/05(日) 愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
4/19(日) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
ウエサカスミレ:2011年に声優デビュー。アーティストとしては13年放送のTVアニメ『波打際のむろみさん』の主題歌「七つの海よりキミの海」でデビューを果たす。昭和歌謡、メタルロック、ロリータ、プロレス、髭等、多方面に興味を示し知識を持つ、唯一無二の声優アーティスト。上坂すみれ オフィシャルHP
「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」
MV
「ネオ東京唱歌」MV
『NEO PROPAGANDA』
全曲試聴動画