【遥海 インタビュー】
私の歌唱を通して
“言葉”の意味を伝えたい
ハートは常にしっかりと、
重荷にならない程度に持っていたい
そこから2曲目の「answer」など、他の収録曲もそれを基準に選ばれていったと?
「answer」に関してはライヴでもずっと歌ってきた曲でした。自分の中にあるたくさんの疑問、そこに自分は答えを求めすぎていたのかもしれない…と改めて気づけて。それも踏まえて入れようと。大切なものって探しても見つからなかったり、逆に意外と身近にあったりするじゃないですか。そのような体験を自分も今回経験したので。
3曲目の英語詞である「Hearts Don’t Lie」はいかがでしたか?
この曲は2018年にはあった曲でした。当時プリプロもしたんですが、どうしても私の人生の経験不足や体験不足から歌を理解し切れていなくて。うまく歌を伝えたり、表現し切る自信がなかったんです。“自分が歌うにはまだ早い”と、そこでそのまま封印してしまっていて。いつか歌えるタイミングが来たら絶対に歌おうと温めていました。音楽って、ある時ピンとこなかった曲でも、時を経てふとしたことでよりリアルに感じる場合がありますから。まさにそれがこの曲で。改めてこの今の自分にぴったりな曲になりました。
4曲目の「Fever Dream」ですが、これまでの遥海さんの楽曲にはなかったタイプの曲ですね。
そうなんです。私の歌声を知っている方々の多くはパワフルな歌手のイメージを持たれていると思うんですけど、それだけじゃないぞ!って(笑)。
この曲はどこか穏やかで安堵を感じました。
それこそ地声を使わず、重力を感じさせないぐらい軽く伝わる曲にしたかったんです。エアリーな雰囲気とでもいうか。なので、今回のシングルは曲ごとにタイプは違えど、一本筋の通った一枚になったかなと思います。
確かにタイプもさまざまで幅も広いですが、どれもどこか遥海さんが浮かんできたり、これまで歩んできた道やこれから歩んで行くであろう道を想起させる楽曲ばかりです。中でも「Pride」は過去にコンテストで惜敗した際の挫折やこれからへの秘めた気概も含め、聴いていてかなりの信憑性を感じました。
この曲はこれまで私が歌ってきた楽曲の中でもかなり音数が少なく、構成もシンプルでした。その分、歌が全面に出るし歌でアクセントやドラマ付けをしなくてはならない面もあって。そのような実力も試されましたが、私はこの曲を歌うため、この歌を多くの人に伝えるために生まれたんじゃないかと思わせてくれるぐらい、今の心情にぴったりな曲でもあったんです。なので、明確に自分の意思も含めて歌うことができました。
「Pride」の歌詞に《どんな言葉もどんな嵐も邪魔できない私の未来 守りたいもの マイ・プライド》との印象深いフレーズがありましたが、遥海さんにとってのマイ・プライドを教えてください。
私の場合は“プライド=ハート”ととらえています。プライドって持っていないとダメだし、守らなくちゃいけない反面、持ちすぎると重荷になったりするじゃないですか。生きていてすごく心が痛むことも多い今の時期、誰にも邪魔されないものをしっかりと持っていることって大事だと改めて感じていて。そういった意味でもハートは常にしっかりと、重荷にならない程度に持っていたいです。
今後はどのようなシンガーになっていきたいですか?
喜怒哀楽をたっぷりと込めて歌えるシンガーになりたいです。“それだけ歌がうまいんだから海外で勝負したほうがいい”とか“活動の場を日本から世界に移したほうがいい”とアドバイスをくださる方もおられますが、私はハーフではあるけど日本人でもあるので、日本に居る方々の誇りになれるシンガーを目指していきます。いや、日本人だけでなく、みんなの誇りになるようなシンガーになりたい…かな。私、自分がハーフであることが昔からすごくコンプレックスだったんです。種類は違えど、私のような何かコンプレックスを持っている方々の光になれたら嬉しいです。
取材:池田スカオ和宏